[目次]
序論 9
第1章 西ドイツの戦後社会とヒトラーの遺産 17
1 戦争責任と「エリートのカルテル」 17
アメリカの二つの立場と経済エリートの復活 17
ナチ犯罪と西ドイツ司法――司法エリートの連続性 24
「過去の清算」と終止符 32
2 再統一とネオナチ 38
外国人への暴力 38
右目が見えない警察 46
「富の国粋主義」 48
3 ドイツは危険な存在となるか 52
「強い国家」という万能薬 52
保守本流と右翼急進主義 55
知識人主体の「新右翼」の登場 57
第2章 西ドイツにおける歴史意識と歴史記述 63
1 歴史像の争い 63
フィッシャー論争 64
歴史家論争 66
ナチ犯罪の相対化 69
「ロイヒター報告」 71
軍事史研究局(MGFA)の論争 74
2 八〇年代以降の批判的歴史研究 76
ハンブルク二〇世紀社会史協会 76
「下からの社会史」――歴史ワークショップ 81
3 歴史教育の問題点 85
4 ドイツ人のロシア像 88
第3章 ドイツとポーランド――やっかいな隣人関係 93
1 歴史的経緯 93
ワルシャワ蜂起 93
オーデル―ナイセ線 97
2 「ポーランド問題」と「ドイツ問題」 101
ポーランドに対するドイツ人の知識不足 101
難民団体の活発な動き 106
ドイツ・ポーランド教科書会談 111
第4章 戦後西ドイツ社会の文学と映画にみる義務・国家・アウシュヴィッツ 115
1 「義務」と権威への盲従 115
国家への隷属 116
「自転車乗り」となった市民階級 118
恐ろしく正常な犯罪者たち 121
2 文学のなしえたこと 127
拒絶すること 127
ファシズムへの批判的取り組み 129
告発する作家 131
3 ユダヤ人虐殺と映画 133
輸入されるドイツの罪 133
みずからの手になる『ホロコースト』 135
『シンドラーのリスト』――「傑作」による歴史の終結? 137
第5章 戦争、軍隊、軍備 143
1 「旧国防軍」への評価 144
セルビアでの国防軍のユダヤ人殺戮 144
「ディートゥル大将兵舎」 147
2 「死の商人」の伝統 150
「ほとんどドイツ製のミサイル」スカッドB 150
どんな犠牲を払ってでも武器輸出を 153
3 「防衛政策大綱」の危うさ 156
NATOの空洞化と米国への挑発 156
「平和を積極的に促進する」「危機対応軍」 159
第6章 抵抗活動の賛美 165
大衆的な支持をえられなかった抵抗運動 165
「裏切り者」か「英雄」か――七月二〇日ヒトラー暗殺未遂事件 167
共産党員による抵抗運動への評価 169
忘れ去られた抵抗者 172
軽蔑すらされた、最高の情報提供者コルベの活動 175
「脱走兵」の復権の意味 178
「七月二〇日」記念館のゆくえ 181
第7章 犠牲者たちへの償い 183
西側陣営に参入するための代償としての償い 183
補償リストから除外された人々 185
ナチスへの高額の年金 188
強制労働従事者へのわずかばかりの賠償金 191
犠牲者の選別とドイツ社会の道徳的限界 193
第8章 連邦首相、連邦大統領と、ヒトラーの長き影 199
1 連邦首相 201
ナチ党員が首相に 201
反ブラント・キャンペーンの演出者たちの過去 204
「後に生まれたことの恩恵」 208
コールの支援者、リース博士とアウシュビッツ 211
2 連邦大統領 216
「第二の罪」 216
「国家は愛していません、妻を愛しています」 218
「思い出すことのできぬ男たち」 219
ヴァイツゼッカーの演説とその機能 220
「有色の民族には、知性不足があるのを否定できない」 223
「差引勘定を行うことなどできない」 227
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