大正自由教育と経済恐慌
大衆化教育と学校教育

[著者]森川輝紀

大衆化社会・経済恐慌・ファシズムへと社会の枠組みが大きく振れていくなかで、地域社会での現実を学校・教師はどのように意識し対処したのか。埼玉県をフィールドとして、近代教育における可能性とその転形への道筋をさぐる。

定価=本体 2,800円+税
1997年2月28日/四六判並製/246頁/ISBN978-4-88303-037-8



[目次]
はじめに 7

第1章 教員社会の形成と啓明会 14
 第1節 埼玉県における小学校教員会の成立 14
     1 教育会と啓明会 14
     2 郡教育会と教員会 16
     3 県教育会の成立と県内教育世論 20
     4 啓明会と小学校教員会 26
 第2節 啓明会運動と社会的基盤 32
     1 在村の啓蒙的教化論 32
     2 『啓明会維持会員名簿』に見る会員層 33
          1)『啓明会維持会員名簿』(以下、『会員名簿』)について 33
          2)会員の卒業年次別、学校種別分布 35
          3)会員の地域的分布 38
     3 『認知希望調綴』による会員層の検討 40
          1)埼玉啓明会員の社会的階層 40
          2)任地希望理由に見る会員教師像 42
          3)埼玉啓明会運動の可能性と限界 46
          4)啓蒙的教化のゆくえ 49 

第2章 恐慌期の社会と学校
 第1節 潮止村の学校改革 56
     1 恐慌と学校 56
     2 大正デモクラシーと「心造」の重視 58
     3 潮止自治学校の内容と進学層 63
     4 経済恐慌と「財造」の重視 66
     5 高等科吸収と自治学校改革 71
     6 新自治学校の内容と進学層 75
     7 青年学校令と新自治学校の変質 78
 第2節 自由学校から全村教育村へ 81
     1 養蚕農村と小学校 81
     2 野上自由教育と『我が子の学習論』 83
     3 樋口小学校のダルトンプラン 88
     4 自由教育と村民 92
     5 自由教育から報徳主義へ 97
     6 全村教育から満蒙開拓へ 103
 第3節 『北足立郡児童文集』と『雑木』 110
     1 都市的地域と学校教育 110
     2 「教員の飽和状態と質的低下」の問題 112
     3 国語教育講習会と学級文集づくり 117
     4 『県陽文集』と生活の綴方 121
     5 綴方研究会の発足 126
     6 『雑木』の主張と活動 129
     7 『雑木』に見る青年教師像 133
 第4節 経済更正運動と「国旗」 136
     1 国民の再統合と「国旗」 136
     2 集団訓練と「無二ノ資本」 139
     3 主観的動機付けと宗教性――儀式の神聖化 143
     4 日の丸の精神的象徴化 147
     5 経済更正運動と日の丸 151 

第3章 敗戦直後の社会と教育
 第1節 学校教育の拡充と再生 158
     1 進学要求のたかまり 158
     2 欠番の第六小学校 159
     3 生活水準の平準化と中等学校の拡充 165
     4 戦時教育の払拭 170
     5 六・三制実施と住民の動向 173
 第2節 新制中学校教育の出発 183
     1 成立期新制中学校教育の実態 183
     2 教科担任制の実態と教科書の受給 186
     3 成立期の教育課程 194
 第3節 教育会から教員組合へ 198
     1 二つの潮流 198
     2 埼国教の結成と提携路線 205
     3 一一・七埼国教大会――提携から闘争へ 208
     4 二・一ゼネストと三教組 213
     5 労働協約の締結と教育運営協議会――教育行政の民主化 217
     6 埼教組の結成と教育会の解散 221

あとがき 226


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