漢字の未来 新版

[著者]野村雅昭

日本語は、漢字からのがれることは、できないのだろうか? 漢字にたよらない日本語によって、よりひらかれた、ことばをめざすにはどうすればよいのだろうか。

定価=本体 2,900円+税
2008年4月30日/A5判並製/320頁/ ISBN978-4-88303-078-1



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[目次]

第1章 漢字はなぜ日本語で問題となるか 009
  1 古代日本語と漢字のであい 010
     ひとつの仮定 010
     漢字の渡来 011
     漢字をうけいれる条件 012
     漢字とのであいの必然性 013
     神代文字はなかった 013
  2 漢字の日本語への定着 016
     漢字による日本語の表記 016
     渡来人のはたした役割 018
     漢字の表音的用法 019
     カナの誕生 020
     漢字の訓読 020
  3 ハレの文字とケの文字 026
     カナの位置 026
     カナは庶民の文字 027
     ハレの文字としての漢字 028
     節用禍 030
     漢字崇拝と反発 035
  4 ヨーロッパ合理主義によるめざめ 038
     ローマ字とのであい 038
     音声言語の認識 039
     カナモジ論のさきがけ 041
     国学者の文字観 042
     啓蒙主義と功利思想 043
  5 日本語の近代化 045
     近代化の条件 045
     国語と日本語 047
     言語の近代化の条件 050
     日本語の近代化の特徴 051
     国字問題としての国語問題 052
  6 国字改良論と擁護論 055
     漢字廃止論のさきがけ 055
     漢字の弊害 057
     漢字擁護派の主張 060
  7 改良運動の展開 063
     改良運動のさきがけ 063
     漢字制限のこころみ 067
     合理化へのあゆみ 070
     弾圧の時代 072
  8 表記の民主化と反動 075
     民主主義と日本語 075
     当用漢字表の性格 077
     国語改革への反動 080
     新・常用漢字表の成立 081
     いま漢字をどうかんがえるか 084

第2章 現代日本語の漢字の機能 085
  1 漢字使用の実態 086
     漢字の使用量 086
     漢字制限と字数 089
     用法別の分析 092
     使用字種の変遷 095
  2 文字の位置 097
     文字の機能 097
     文字は言語の要素か 099
     漢字の音と訓 102
  3 漢字の役割 105
     三種の機能 105
     文字列の分割 106
     単語の特定 107
  4 表記のゆれと漢字 110
     正書法は不要か 110
     和語のカナ表記 112
     同訓異字の不合理 115
  5 漢字の造語力と語彙体系 119
     字音による造語 119
     訓のはたらき 123
     基本語と専門語 125
     漢語と語彙体系 128
  6 造語の将来 131
     外来語の造語力 131
     外来語と漢字 133
     これからの造語 135

第3章 これからの日本語と漢字 139
  1 常用漢字表の役割 140
     制限から目安へ 140
     当用漢字表の功罪 142
     漢字制限は不可能か 145
  2 表記の伝統と規範 150
     伝統尊重の根拠 150
     規範とゆれ 153
     カキコトバの性格 157
  3 国語教育と漢字 161
     日本人のヨミカキ能力 161
     言語能力の向上と国語改革 163
     児童・生徒のヨミカキ能力 166
     漢字はだれのためのものか 169
  4 情報化社会と漢字 174
     言語情報処理の進歩 174
     ワープロは国語問題を解決したか 176
     ワープロと識字能力 180
     情報処理システムのなかの漢字 181
  5 国際化社会と漢字 185
     漢字は外国人にとってむずかしいか 185
     国際語としての日本語 188
     漢字文化圏の現実 190
     漢字共通化の可能性 192
  6 漢字はなくなるか 195
     漢字は200年後にきえる? 195
     漢字減少傾向の停滞 196
     語種構成と漢字含有率 198
     それでも漢字はへる 200
     表記の将来 204
  7 日本語の将来 209
     システムとしての漢字 209
     まず国際共通文字を 212
     えらぶべき道 216

付章 21世紀の漢字論 219
   1 漢字に未来はあるか 220
     常用漢字の崩壊 220
     新聞界の変節 221
     表外漢字の字体 224
     外来語のイイカエ 232
     終末にいたる前に 236
  2 正書法と漢字 239
     正書法とはなにか 239
     表記のゆれと漢字 241
     正書法はなぜ必要か 245
     国際化時代の日本語 248
     語彙体系と漢字 249
     ハナシコトバにもとづく日本語を 251
     イイカエのこころみ 251
     いま必要なこと 254
  3 漢字の位置 257
     表記と書記 257
     情報の記録と文字 261
     書記言語は言語か 266
     文字言語と書きことば 269
     漢字は衣装か 275
     まねかれざる客としての漢字論 280

旧版 あとがき 285
新版 あとがき 291
参考文献 295
索引 305


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