作品とコンテクスト
ルンゲ《ヒュルゼンベック家の子どもたち》
ロマン主義の芸術作品における無垢なものへの省察について

[著者]イエルク・トレーガー
[訳者]伊東多佳子

ロマン主義が発見した、無垢ゆえに全能なる「子ども」。
それは我々がかつてあり、また再びなるべきところのもの……


近代ヨーロッパにおける合理性の追求の流れに疑問を持ち、自然であるもの/ことに価値を認めたロマン主義。その時代、「子ども」はそうした自然の力を代表するものとして、あらゆる先天的な叡智の源と見なされるようになる。ロマン主義芸術の基礎を築いた一人、フィーリプ・オットー・ルンゲが描いたこの子どもの絵は、まさにその理念を絵画として結晶させ、内容と形式の一致をなした見事な完成度を持つ作品である。

定価=本体 2,200円+税
2003年12月25日四六判並製/128頁+カラー折込図版/ISBN978-4-88303-131-3


イメージを拡大

[目次]
日本語版への序  5
第1章 場所  10
第2章 英国の例  18
第3章 線的な様式  25
第4章 光と立体  33
第5章 手でつかむということ  44
第6章 意識の展開  52
第7章 閉め出された未来  57
第8章 子どもの独自性  66
第9章 無垢なものへの省察  69
第10章 絵画と観照者  79
第11章 影響  81

訳者解説  93主題のためのテクスト  104
生涯の年譜  112
ルンゲの作品の所蔵場所  116
フィーリプ・オットー・ルンゲについての参考文献選集  118
掲載図版出典一覧  122


HOME