言語相互行為の理論のために
「当たり前」の分析

[著者]丸井一郎

「異なる」と「同じ」を作り出すもとはなにか────。
ある人々のことばと行いと集まりの中に見分けられる様々な事象や表現の中で、なにが「当たり前」で、他の人々には「当たり前」でないのか。
日常の世界で私であることの自明性を言語相互行為から解明(解体)する。

定価=本体 3,000円+税
2006年9月25日/四六判並製/293頁/ISBN978-4-88303-186-3



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[目次]

まえがき  009

第T部 言語相互行為としての談話 015

1 対象領域の定位  015
2 言語相互行為の理論の概略  021
  2-1 諸前提  021
  2-2 言語相互行為の類型(タイプ)と範型(パタ−ン)  022
  補説1:買い物行動の手順  024
  2-3 対面談話の位置づけ  027
  2-4 言語行為概念と意義目的関連  030
3 言語相互行為の諸基盤  035
  3-1 言語相互行為における協調  035
  3-2 協調の様式  037
  補説2:競合・統合様式を指標とした部分的な日独語対照の構想  040
  3-3 個別類型的な相互行為原則  043
4 方法的な制限と相対化  047

第U部 日独語などに見る対面談話の組織 049

1 解明の枠組み  049
  1-1 導入  049
  1-2 場面理解・参加様態・参加役割  050
  1-3 談話組織の基礎  053
2 ドイツ語談話の分析例  057
  2-1 相互行為の枠組み  057
  2-2 競合性と論弁性  065
  2-3 担当者性と参加様態:日独比較の例  069
3 日本語対面談話の一側面:共同参加  071
  3-1 相互指向表現と「三歩形式」  071
  3-2 相互指向表現の関連体系  075
  補説:冗談パターンの差異  078
4 差異の背景  079

第V部 相互行為の枠組み設定 083

1 対象と課題  083
  1-1 導入  083
  1-2 電話による談話行為の特異性  083
  1-3 相互行為枠について  085
  1-4 調査方法  087
2 開始部  088
  2-1 誰が最初にしゃべるか  088
  2-2 受信側の第一発話の特徴  089
  2-3 発信側の第一発話の特徴  091
  2-4 開始部の経過パターン  095
     2-4-1 ドイツ語  095
     2-4-2 日本語  100
3 終結部  108
  3-1 概観  108
  3-2 日本語  108
  3-3 ドイツ語  112
4 まとめと展望  115

第W部 談話行動における論弁性 119

1 導入  119
2 論弁的なものの様々な類型  121
  2-1 一致と不一致  121
  2-2 事実的な不一致による論弁  122
  2-3 想定された不一致による論弁  124
  2-4  不一致のない論弁  128
     2-4-1 一致のための論弁  128
     2-4-2 一致に基づく論弁  129
  補説:文学テクストにおける論弁  131
  2-5  論弁における統合性と競合性  132
3 論弁性への指向の出現様態  134
  3-1 日独比較のパイロット調査  134
  3-2 日本語談話の中の論弁性  137
     3-2-1 論弁の必要がない  138
     3-2-2 論弁を慎重に行う  139
     3-2-3 仲が良いからできる  143
  3-3 ドイツ語談話での観察:通常性成立の指標  144
4 遠望  147

第X部 相互行為の評価概念と評価表現 151

1 問題の輪郭  151
  1-1 評価概念の問題諸領域  151
  1-2 相互行為の通常性と評価概念  153
  1-3 様々な意義関連の考察  155
2 概念化の諸段階  158
  2-1 予備考察  158
  2-2 定型表現化、とくに語彙化  160
  2-3 社会行動の要因に関わって  163
  2-4 通常性の基盤に関わって  165
3 相互行為の協調様式と評価行為  167
  3-1 解釈行為と評価行為  167
  3-2 協調様式との関連  169
4 評価表現の意味論的側面  171
  4-1 外的関連  171
  4-2 内的関連:語義の三つの次元  174
5 歴史性  179
6 結び  182

第Y部 「異文化間コミュニケーション」をめぐって 185

1 前理論的に  185
  1-1 導入  185
  1-2 「異文化」領域の外形的な分類  186
  1-3 習俗的な異文化のイメージ  188
2 異文化間相互行為の像  190
  2-1 操作的な文化の概念  190
  2-2 異文化性の出現様態  193
  2-3 二つの相  194
3 通常性の衝突  197
  3-1 通常性成立のマクロコンテクスト  197
  補説:エリアスと「文化」の概念  199
  3-2 通常性と協調様式  200
  3-3 通常性のコスト:批判的相対化  202
4 中間的な方法的反省  204
5 再び協調様式と意義関連について  206
  5-1 相互性と協調の基本  206
  5-2 基本様式と特定様式の意義関連  209
6 相互行為原則への補足  212
  6-1 地域と類型ごとの差異  212
  6-2 学校制度における相互行為原則の差異  215
7 まとめ  221

第Z部 個在と共存・個的領域と共有領域 225

1 共存性と個在性  225
2 意義関連体系としての個的領域と共有領域  228
3 個的領域と共有領域における異文化性の概観  231
4 個的領域に属する意義関連  235
  4-1 身体と身体行動及びその延長  236
  4-2 行動の構想と実行  237
  4-3 「内的世界」  239
  4-4 談話的・話題的領域性  241
     4-4-1 談話における領域性とは何か  241
     4-4-2 領域性と談話の微細組織  243
  補説:個人の像と方法論的含意  246
5 共有領域の意義関連  248
  5-1 行為内的・談話的共有領域  248
  5-2 基本的及び特性的共有領域  252
     5-2-1 言語相互行為の像  252
     5-2-2 対面談話における共有領域の様態  254
  5-3 特性的共有領域の諸相  258
     5-3-1 共有領域の成立様態における差異  258
     5-3-2 共有領域と話題組織  259
     5-3-3 談話組織一般における共有性の様態  261
6 相対化と補足:まとめに代えて  265

あとがき  269
引用・参考文献及び資料  270
索引  286


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