エストニアの政治と歴史認識

[著者]小森宏美

独立回復とその後の国民国家としての社会統合にあたって、エストニアほど歴史認識と言語が重要な役割を果たした例は少ない。本書は、「歌う革命」とソ連邦からの独立回復、EU加盟にむかう政治過程をふり返るなかで、歴史認識・叙述がいかに政治に結びつきその政策を正当化してきたか、そして集団間の摩擦・衝突を引き起こしたかを検証し、歴史とシティズンシップの関係をさぐる。

定価=本体 2,600円+税
2009年3月16日/
四六判上製/264ページ/ISBN978-4-88303-240-2
 


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[目次]
 はじめに 11
 1章 歴史と歴史叙述 17
     1 独立まで 19
          歴史叙述 34
      2 独立の達成と喪失 37
          権威主義体制の評価 40
     3 三つの「占領」時代 48
          独立の喪失 50
          裏切り者がいたのか 53
          「移民」 55
          「占領期」をめぐる歴史 59
 2章 ペレストロイカ期の歴史と政治 63
     1 独立回復への序奏 65
          急進的民族主義派 68
          IMEから人民戦線へ 76
          最高会議 83
     2 「歴史が動いた日」 98
     3 「歌う革命」についての一考 102
 3章 歴史と法 105
     1 憲法 108
     2 言語法 115
          言語政策のヨーロッパ化 120
          国家語能力の変化と教育 124
          グローバル化の中の言語 129
     3 国籍法 131
          国籍政策の出発点 131
          安全保障としての国籍政策 137
          「ネイション」観と国籍法改正 139
     4 外国人法 148
          制定過程 148
          履行上の問題と法改正 154
 4章 歴史と外交 157
     1 独立回復 158
     2 ロシア連邦との関係 164
     3 国境交渉 172
 5章 歴史とヨーロッパ化 185
     1 制度としてのヨーロッパ―?EU加盟に向けて 186
          EU加盟をめぐる議論 191
          国民投票 199
          ロシア語系住民とEU 201
     2 EU加盟後の「解放」 208
          リフラ事件 210
 6章 歴史とシティズンシップ 217
     1 シティズンシップの主観的要素 218
     2 ロシア語系住民にとってのシティズンシップ 225
     3 現代の国民国家と歴史―むすびにかえて 228

 あとがき 233
 参考文献 xviii
 註 v
 年表 i


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