ナショナル・ポートレート・ギャラリー
その思想と歴史

[著者] 横山佐紀

アメリカのアイデンティティの表象を担う歴史ミュージアム。そのプロセスに影響を及ぼす「民間資本」への問い。
歴史的重要人物たちの肖像コレクションにより、アメリカの自己像を表すため、1968年、首都ワシントンに設立されたナショナル・ポートレート・ギャラリー。だがその重要性を定める主体とは誰なのか? 建国期にさかのぼる設立経緯をたどり、初代大統領ワシントンの肖像画《ランズダウン》が国家的アイコンへと高められた近年の事象をケース・スタディに、資金を媒介とする社会とミュージアムの間の力学を明らかにする。

[書評]
《高知新聞》2013年4月28日ほか、評者:藤田一人氏
《図書新聞》2013年6月8日、評者:川口幸也氏
「アメリカ学会会報183号、2014年5月12日、評者:小笠原亜衣氏→記事を読む
『比較教育学研究』49号、2014年、日本比較教育学会編、評者:柴田政子氏

定価=本体 5,700円+税
2013年2月28日
A5判上製/424頁/ISBN978-4-88303-337-9


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[目次]

序章 ナショナル・ポートレート・ギャラリーを読むために 9

第1章 システムとしてのナショナル・ポートレート・ギャラリー ――NPGロンドンの歴史 25
  1 近代的公共ミュージアムの成立とネイション 28
  2 ヴィクトリア朝におけるコメモレーション 34
  3 ロンドン万博とミュージアム 43
  4 歴史ミュージアムとしてのNPGロンドン 51

第2章 アメリカにおける構想の系譜 ――建国期から十九世紀まで 67
  1 共和主義とチャールズ・ウィルソン・ピールのミュージアム 69
  2 ピールによるポートレート・ギャラリー 84
  3 万国博覧会、ミュージアムと愛国の時代 91
  4 ミュージアム設立における資本家の役割 105
  5 手の中のNPG、ポートレート入り伝記集 113

第3章 ナショナル・ポートレート・ギャラリーの誕生 ――大統領コレクションの成立 143
  1 冷戦期の文化と歴史 145
  2 デイヴィッド・E・フィンリーの貢献 154
  3 パーマネント・コレクション選択規則の決定 170
  4 コレクションの収集開始 187
  5 開館と展覧会『この新しき人――ポートレートにおけるディスコース』 197

第4章 歴史表象におけるプライベート・セクターの存在 217
  1 パーマネント・コレクション、展覧会、予算の現在 219
  2 歴史ミュージアムとプライベート・セクターの親密な関係 237
  3 ジョージ・ワシントン像《ランズダウン》の危機 243
  4 《ランズダウン》巡回展の教育プログラムと歴史の忘却 278

終章 ナショナル・ポートレート・ギャラリーとプライベート・セクターの現在 317

  あとがき 331

     注 1
     文献 43
     資料 62
          1 チャールズ・ウィルソン・ピール年譜 62
          2 『ペイトリオット・ペイパーズ(小学校版)』 64
          3 『ペイトリオット・ペイパーズ(小学校版 教師向けガイド)』 72
     参考資料 80
          1 マサチューセッツ歴史協会一八八六年六月の議事録 ロバート・C・ウィンスロップの発言 80
          2 タイム・コレクション(@職業別内訳 /A年度ごとの推移(主要な職業別)/
                B年度ごとの職業別点数) 82
     人名索引 84
     英語目次 88


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