日本語点字のかなづかいの歴史的研究
日本語文とは漢字かなまじり文のことなのか

[著]なかの・まき

日本語点字資料を日本語文字・表記論の観点から精査し、そのかなづかいの歴史を明らかにし、「棒引きかなづかい」から「現代仮名遣い」にいたるまでの日本語表記史における日本語点字表記の位置づけを考察していく。

定価=本体 3,800円+税
2015年1月31日
四六判上製/224頁/ISBN978-4-88303-372-0


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[目次]

第T部 日本語点字のかなづかい

   序 章 本書の目的と概要 3

  第1章 現代日本語点字の表記の概要 9
     1.日本語文字としての日本語点字 9
     2.現行の日本語点字表記について 12
          2.1.現行の日本語点字表記と墨字表記の比較 12
          2.2.日本語点字は「表音的」か 15

  第2章 日本語点字の成立とかなづかいの歴史 19
     1.日本語点字の成立 19
     2.日本語点字表記史区分 21
     3.日本語点字表記法書にみる点字かなづかいの歴史 22
     4.まとめ 34

  第3章 近代日本語点字資料『点字 尋常小学国語読本』のかなづかい 39
     1.はじめに 39
     2.『点字 尋常小学国語読本』について 40
     3.『点字 尋常小学国語読本』のかなづかい 43
          3.1.助詞・よつがなの表記 43
          3.2.長音表記 44
     4.まとめ 46

  第4章 近代点字新聞『点字大阪毎日』のかなづかい――第1号から第25号までを対象として 49
     1.はじめに 49
     2.『点字大阪毎日』について 49
     3.『点字大阪毎日』のかなづかい 50
          3.1.助詞の表記 51
          3.2.よつがな 51
          3.3.長音の表記 52
     4.まとめ 61

第U部 近代点字関連資料のかなづかい

  第5章 石川倉次著『はなしことば の きそく』のかなづかい 65
     1.はじめに 65
     2.著者石川倉次について 66
     3.『はなしことば の きそく』について 67
          3.1.『はなしことば の きそく』について 67
          3.2.『はなしことば の きそく』本文の記述から見たかなづかい 68
               3.2.1.かなの使用について 69
               3.2.2.長音表記について 71
               3.2.3.よつがなについて 73
     4.『はなしことば の きそく』のかなづかい 74
          4.1.長音表記について 75
          4.2.長音表記以外のかなづかいについて 78
     5.まとめ 80

  第6章 『尋常小学読本』のかなづかい 83
     1.はじめに 83
     2.「明治33年式棒引きかなづかい」とは 84
     3.『尋常小学読本』について 86
     4.『尋常小学読本』のかなづかい 87
          4.1.和語の長音表記 89
          4.2.字音語の長音表記 91
          4.3.『尋常小学読本』のかなづかいの特徴 92
     5.おわりに 93

  第7章 松本亀次郎『言文対照 漢訳日本文典』のかなづかい 97
     1.はじめに 97
     2.清国留学生を対象とした日本語教育におけるかなづかい 98
     3.『言文対照 漢訳日本文典』について 100
          3.1.松本亀次郎について 100
          3.2.『言文対照 漢訳日本文典』について 100
     4.『言文対照 漢訳日本文典』のかなづかい 101
          4.1.和語の長音表記 101
          4.2.字音語の長音表記 106
     5.まとめ 109

  第8章 点字かなづかいと「棒引きかなづかい」 113
     1.全体のまとめ 113
     2.助詞の「わ/は」「え/へ」「を」について 119
     3.長音表記について―「棒引きかなづかい」は「消失」したのか? 121
     4.折衷的なかなづかいとしての明治33年式棒引きかなづかい 125
     5.点字かなづかいと墨字かなづかい 129

第V部 だれのための日本語文字・表記研究か

  第9章 点字かなづかいと「現代仮名遣い」 133
     1.「現代仮名遣い」は「定着」したのか 133
     2.「現代仮名遣い」への批判 138
          2.1.歴史的かなづかいの影響 139
          2.2.音声と表記のくいちがい 141
               2.2.1.助詞「を」「は」「へ」について 141
               2.2.2.「じ」「ず」「ぢ」「づ」の表記のあいまいさ 142
               2.2.3.長音表記のきまりのむずかしさ 144
               2.2.4.漢字依存 147
     3.「現代仮名遣い」と教育 148
     4.点字かなづかいと「現代仮名遣い」 151
          4.1.点字かなづかいと「現代仮名遣い」 151
          4.2.「現代仮名遣い」と点字かなづかいとの関連性 153
     5.「現代仮名遣い」再検討の必要性 156

  第10章 だれのための日本語文字・表記研究なのか 159
     1.なぜ、「なぜ点字かなづかいは『現代仮名遣い』とはちがうのか」という問いの意味 159
     2.日本語文字・表記研究と日本語点字 163
     3.だれのための日本語文字・表記研究か 168

     あとがき 177
     資料編 185
          筑波大学附属特別支援学校資料室蔵
          『点字 尋常小学国語読本』第2巻(一部抜粋)
     引用文献一覧 205
     索引 211


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