越境と覇権

ロバート・ラウシェンバーグと戦後アメリカ美術の世界的台頭

[著]池上裕子

ラウシェンバーグは渡り鳥のように既存の境界を飛び越え、世界に舞い降りた。――
一九六四年のヴェネツィア・ビエンナーレでアメリカ人初の大賞を受賞し、世界的名声を得たロバート・ラウシェンバーグ。彼の越境性に着目し、戦後の国際美術シーンにおけるパリからニューヨークへの覇権の移行を、世界美術史の見地からつぶさに検証する。

[書評・紹介]
『美術の窓』、「新刊案内」、2016年4月号
『美術手帖』、書評欄「今月の一冊」、2016年3月号、評者:中島水緒氏
《図書新聞》2016年4月2日、評者:志賀信夫氏
《週間読書人》2016年5月6日、評者:河本真理氏
《週間読書人》「2016年上半期の収穫から」2016年7月22日、河本真理氏

[受賞]
第38回サントリー学芸賞(芸術・文学部門)、2016年

定価=本体 4,600円+税
2015年12月10日/A5判上製/408ページ/ISBN978-4-88303-389-8


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[目次]

はじめに  7

序章 「大いなる越境者」、ロバート・ラウシェンバーグ  13
   1 . 越境するアーティスト  13
   2 . 修正主義の限界と世界美術史の可能性  26
   3 . 「アメリカ」の両義性  30

第一章 巴里のアメリカ人  アメリカ美術の世界市場開拓  37
   1 . 戦後フランスにおけるアメリカ美術の紹介  41
   2 . アンフォルメルと抽象表現主義―パリ vs. ニューヨーク  48
   3 . 「真実の瞬間」―ラウシェンバーグのパリ初個展、一九六一年  53
   4 . ヌーヴォー・レアリスムとネオダダ、ポップ―展覧会をめぐる闘争  65
   5 . ラウシェンバーグの市場開拓―イリアナ・ソナベンド画廊の市場戦略  73
   6 . 「アメリカ美術の勝利」への反響  89

第二章 ヴェネツィアでの勝利 アメリカのスペクタクルとアレゴリー  99
   1 . アラン・ソロモンと「ニュー・アメリカン・アート」  103
   2 . ラウシェンバーグの「アメリカ」(一)―《無題(白い靴の男)》  119
   3 . ラウシェンバーグの「アメリカ」(二)―《ダンテ・ドローイング》におけるアレゴリー  127
   4 . グランプリ決定の舞台裏―「アンフォルメルを超えて」  140
   5 . 不信と狼狽―国内の反応  151
   6 . 異論と反論―海外の反応  156

第三章 ストックホルムでの衝突 《モノグラム》の栄光と転落  165
   1 . 「ニューヨーク・コネクション」―ポントゥス・フルテンの国際的野心  171
   2 . 「四人のアメリカ人」展、一九六二年  176
   3 . ラウシェンバーグの「山羊」  182
   4 . 「アメリカのポップ・アート―愛と絶望の一〇六の形」展、一九六四年  197
   5 . 「五つのニューヨークの夕べ」―《エルギン・タイ》と《モノグラム》  201
   6 . 反アメリカ美術の動き  212
   7 .「ストックホルムのためのニューヨーク・コレクション」、一九七三年  218

第四章 東京との対話 異文化コミュニケーションとその不全  233
   1 . アンフォルメル旋風  239
   2 . 東野芳明と反芸術、ネオダダ  245
   3 .ラウシェンバーグの東京―《ジョン・ケージに捧げる》と《トーキョー》  254
   4 .篠原有司男の「イミテーション・アート」  262
   5 . 「ボブ・ラウシェンバーグへの二〇の質問」  272
   6 .《ゴールド・スタンダード》のポストコロニアル的逆説  281
   7 .篠原有司男の《イミテーション・ボックス》  290

終章 「アメリカ」を代表するアーティストへ  303

あとがき  317
付録 ロバート・ラウシェンバーグの不安と内省 ダンテ『神曲』地獄篇のための三十四枚のドローイング  324

注  1
参考文献  29
巻末参考資料 ロバート・ラウシェンバーグの展覧会歴とパフォーマンス歴の一覧(一九五一―一九六八年)  44
索引  51


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