〈ブリュッケ〉とその時代

個人主義と共同体のあいだで

[著者]大森淳史

自由、共同体体験としての芸術創造、「生」の変革を求めて――
20世紀初頭、ドイツの片隅で誕生した小さな芸術家グループ〈ブリュッケ〉。その活動形態や理念、「ドイツ表現主義」、果ては「頽廃芸術」として位置づけられていく過程を、美術史に留まらず、「アナーキズム」を接点に思想史・文化史との関連から捉えることで、時代全体を彷彿させる壮大な試み。

定価=本体 5,000円+税
2019年3月20日/A5判上製/424頁/ISBN978-4-88303-482-6


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[目次]

序章 9
     本書のテーマ 9
     先行研究その他 20

第1部 個人主義と共同体のあいだで――芸術家グループ〈ブリュッケ〉を中心に
第1章 芸術と生活の一体化? 30
  「自由な団結(Vereinigung)」と「自由な芸術家」 30
  希望に反した進学 32
  建築の勉学が持つ意味 35
     建築・工芸の改革運動の理念と「空間芸術」 35
     キルヒナーのミュンヘン遊学 42
  「自然民族」における芸術と生活の一体化 46
第2章 芸術家グループとしての特質 49
  グループ結成当時のドレスデンの美術界 50
  十九世紀の芸術家団体 52
     芸術協会――市民主体の芸術愛好家団体 52
     芸術家協会(芸術家組合・芸術組合)――芸術家の組合的組織 54
     分離派 56
     世紀転換期の小芸術家グループ 59
  〈ブリュッケ〉に直接影響を与えた可能性のある芸術家グループ 61
     〈ファーランクス〉 62
     〈ショレ〉 64
  〈ブリュッケ〉と併行する芸術家グループ 66
     〈フォーヴ〉 66
     〈青騎士〉とカンディンスキー 67
第3章 「芸術家グループ」としての戦略 74
  規約のない理想の共同体 74
  〈ブリュッケ〉の名称をめぐって 77
  「われわれの綱領」 82
  『世俗を憎む(Odi Profanum)』 88
  会員組織――「能動的会員」と「受動的会員」 94
  展覧会 99
     ドレスデン時代 99
     ベルリン時代 108
第4章 〈ブリュッケ〉の木版画 114
  木版画への執着 115
  木版画制作の開始時期 116
  日本の多色刷り木版画との接触 120
  世紀末の版画運動の影響 125
  表現媒体としての木版画 138
第5章 共同体体験――「理想の共同体」の核心にあったもの 160
  「十五分間ヌード」――アトリエの親密で高揚した空気 161
  都会を離れて 167
  自然のなかの裸の人々 172
  改革運動との同時代性 182
  アナーキズムの影響 193
  『ブリュッケ年代記』――プリミティヴ・アートとの関係の示唆と共同体の解消 208

第2部 世紀転換期の文化批判と改革運動
第6章 ニーチェ崇拝――貴族主義と個人主義 227
第7章 文化批判 239
  ポール・ド・ラガルド――民族的宗教と新たな貴族制 241
  ユリウス・ラングベーン――民族の教育者としての芸術家 244
  社会貴族主義――社会ダーウィニズムとニーチェの貴族主義との合体 249
  「精神の貴族」と「精神の労働者」 255
第8章 改革運動 258
  近代文明からの逃避と理想社会の夢想 258
  入植運動――〈新しき共同体〉とアスコーナ 262
  青年運動 266
  裸体文化運動 274
第9章 個人主義を超えて 280
  個人主義的アナーキズムを超えて 280
  工芸・建築における改革運動 284

第3部 国民芸術か、頽廃芸術か 「ドイツ表現主義」をめぐって
第10章 ドイツの「表現主義者」 ?296
  「表現主義者」、「ポスト−印象主義者」、〈フォーブ(野獣たち)〉 296
  ドイツにおける用語としての「表現主義者」 300
第11章 ねじれた敵愾心と「ドイツ表現主義」 307
  「チューディ事件」――近代美術派館長の不運 308
  『ドイツ人芸術家の抗議』――噴出した偏狭な敵愾心 311
  『ドイツ人芸術家の抗議』への反発――近代美術派の反論にも民族主義の影 313
  「表現主義」概念のゲルマン化 317
第12章 国民芸術か、頽廃芸術か 325
  第一次世界大戦前の表現主義と美術館 325
  ヴァイマル時代における表現主義美術と美術館 329
  受難の始まり 333
  表現主義におけるドイツ的本質をめぐって 339

おわりに 347

     註 353
     参考文献 390
     謝辞 403
     掲載図版一覧 ix
     索引 i


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