作品とコンテクスト
フリードリヒ《氷海》
死を通過して、新しい生命へ

[著者]ペーター・ラウトマン
[訳者]長谷川美子

激動の時代が生んだ破壊と希望が共存するまったく新しい美

凍結した海での難破の光景を、冷気が満ちる清明な空のもとに描いたフリードリヒの代表作《氷海》。啓蒙主義、フランス革命そして王政復古の反動にいたる時代の揺れ――そうした社会状況を、破壊と希望が共存するまったく新しい美に結晶させた画家の思想をたどる。

定価=本体 2,200円+税
2000年11月30日四六判並製/144頁+カラー折込図版/ISBN978-4-88303-051-4

 

[目次]

日本語版の刊行によせて 5

第1章 フリードリヒのアトリエへの訪問 9

第2章 葛藤の画面構成 19

第3章 エルベ川の流氷と極地探検のヴィジョン 25

第4章 崇高――感情の対立の中で 35

第5章 旧体制の復活――ドイツの冬 43

第6章 北方――青いクリスタル 59

第7章 反アルカディアと否定的ユートピア 73

第8章 古典主義とロマン主義――有機的な全体と無定形な断片 81

第9章 人間の悲劇の象徴としての自然 87

第10章 近くの恐怖と遠くの希望――死を通過して、自由と新しい生命へ 105

訳者解説 119
生涯の年譜 142
ドイツの美術館に所蔵されるC・D・フリードリヒの主要作品 145
主要参考文献 146
掲載図版出典一覧 
147


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