ゴヤ幻想
『黒い絵』の謎

[著者]小山田義文

46歳で聴覚を失ったゴヤは、70代半ばから俄然、自邸〈聾の家〉を飾る『黒い絵』連作を描き出した。暗く渦巻き奔騰する作品内面のドラマを読み解きつつ、ゴヤを通底する東西の絵画・文学を渉猟する。

定価=本体 2,500円+税
2002年3月15日/四六判上製/256頁+口絵8頁/ISBN978-4-88303-090-3



[目次]

序説
 1 ゴヤ略伝風年譜 9
 2 〈聾の家〉 27
 3 ゴヤの病因──鉛中毒説と梅毒説 33
          聴覚喪失
          鉛中毒説
          『気違いの囲い場』
          精神病院訪問
          病み上がりの自画像とデュ−ラ−のヌ−ド自画像
          芸術家と聾
          鉛とスピロヘータ

『黒い絵』
 1 一階食堂の絵 53
     『レオカディア』 54
          『手紙を読む女』
          妻の肖像
          六十九歳の自画像
          『ボルド−の乳売り娘』
     『二人の老人』 65
     『わが子を食らうサトゥルヌス』 67
          ボスの「怪鳥・サタン」
          クロノスとサトゥルノス
     『ユ−ディト』 74
          クラ−ナハ・アッロリ
          ルクレチア
          サロメ
          クリムト
          宿命の女
     『魔女の夜宴』 85
          プリアポスの祭り
        魔女狩り 90
          フュ−ゼリ『夢魔』
          北斎秘画
          ヴァルドゥング「魔法にかけられた馬丁」
          魔女狩り原因論
     『聖イシ−ドロへの巡礼』 116
          『鰯の埋葬』

 2 二階サロンの絵 123
     『運命』 124
          運命の三女神とプリアポス
          ゲ−テとヴァレリ−
     『アスモデウス』 131
          『バルコンのマハたち』
          『フロリダブランカ伯爵像』
          『カルロス四世の家族』
        巨岩・巨人・飛翔 141
          巨人二像
          「飛翔する魔術師たち」
          「枯れ枝」
          飛翔の夢
          ニ−チェ・ナポレオン・ベ−ト−ヴェン
     『異端審問所の行進』 169
        異端審問所と『ロス・カプリチョス』 174
          「嘘と不実の夢」
          蛇性の女
          仮面と蝶の羽根
          「犬め、こいつを食らえ」
          寝取られ男
          「さあ吹け!」
          ク−ルベ『世界の起源』
     『二人の女と一人の男』 202
          エゴン・シ−レ「エロス」
          「遊んでる方がまし」
          浣腸器・ビデ・ウォッシュレット
          レオナルド「交合図」
          マスタ−ベ−ション
          新オナニズム
     『政治家たち』 223
     『決闘』 225
          ヘラクレス伝説
     『ス−プを飲む老人』 232
     『犬』 234

 3 『黒い絵』流転 243

あとがき 249


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