作品とコンテクスト
ボッティチェリ《プリマヴェーラ》
ヴィーナスの園としてのフィレンツェ

[著者]ホルスト・ブレデカンプ
[訳者]中江彬

メディチ家内の闘争の内奥で夢想された
楽園の調和、そして断絶


優美な調和に満ちた楽園を思わせる《プリマヴェーラ》。しかし詳細に画面を探査していくにつれ、人物相互や空間表現に潜む驚くべき断絶に気づく。それは何故生じているのか? 新資料を駆使し、旧説を覆しつつ、本書が解明するのは、“楽園”フィレンツェの覇権をめぐる、メディチ家の直系と傍系との政治的・文化的闘争である。

定価=本体 2,200円+税
2002年11月20日四六判並製/158頁+カラー折込図版/ISBN978-4-88303-103-0

 

[目次]

第1章 植物と歴史 5
第2章 人物構成の謎 12
第3章 素材から見た内容 22
第4章 新しい仮説 28
第5章 ローマにあった手本 31
第6章 修復の結果 34
第7章 ロレンツォ・ディ・ピエルフランチェスコとロレンツォ豪華公 46
第8章 月桂樹とフィレンツェ 53
第9章 下向き火炎模様 56
第10章 医師および帯剣者としてのメルクリウス 64
第11章 オレンジの楽園 70
第12章 額縁の乗り越え 78
第13章 発注者の教養と哲学 85
第14章 暴力と愛の統一 92
第15章 冥界の春 99
第16章 孤立と調和 104
第17章 ヤーヌスの2つの顔をもつ様式 114
第18章 瞬間と永遠 117
第19章 歴史的エピローグ 123

訳者解説 127
付録 149
当時の資料に基づくボッティチェリの伝記 150
ヨーロッパの美術館の名品 152
図版出典一覧 155


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