近現代中国における言語政策
文字改革を中心に

[著者]藤井(宮西)久美子

アヘン戦争から現在までの、中国大陸、台湾における言語政策をクロノロジカルに追いながら、中華民国、中華人共和国という相反する国家の言語認識を跡付けていくと同時に、文学とどう向き合い、いかに対処しようとしていたかを、明らかにしていく。

定価=本体 3,600円+税
2003年2月28日/A5判上製/256頁/ISBN978-4-88303-112-2



[目次]

近現代中国における言語政策 序章  009

第1章  中国における「標準語」・「共通語」  015
 第1節 「標準語」・「共通語」 015
 第2節 中国における「共同語」の名称の歴史的変遷 019

第2章  中国大陸における初期の文字改革運動  025
 第1節 日本における「国語」の改革 025
     1.1 日本語における表記法改革の議論 025
     1.2 「国語」の国家語化 029
 第2節 中国における西洋人によるローマ字表記法の考案 033
 第3節 中国人による文字改革の始まり 036
 第4節 清末に実施された言語政策 039
 第5節 中華民国建国当初の動き 041
 第6節 『国語月刊』「漢字改革号」 047

第3章  漢語のローマ字表記法  057
 第1節 「国語ローマ字」 057
 第2節 「ラテン化新文字」 065
     2.1 「ラテン化新文字」成立の背景 065
     2.2 「ラテン化新文字」の成立 066
     2.3 瞿秋白の文字改革論 072
     2.4 「ラテン化新文字」とその後の識字教育 075
 第3節 漢語憧音方案 082

第4章  漢字の簡略化  095
 第1節 中華民国(中国大陸)時代 095
 第2節 中華人民共和国時代 104
     2.1 1950年代・1960年 104
     2.2 1970年代以降の漢字簡略化 108
 第3節 中華民国(台湾)時代 111

第5章  「共同語」とその他の言語との関係  117
 第1節 「国語」(中国大陸)とその他の言語 118
 第2節 「普通話」とその他の言語 122
     2.1 「普通話」と方言 122
     2.2 「普通話」と少数民族言語 132
 第3節 「国語」(台湾)とその他の言語 145
     3.1 「国語」(日本語)の確立 145
     3.2 「国語」思想の流入 147
     3.3 「国語」の中国化と方言 149
     3.4 「国語」の絶対化 153
     3.5 「共同語」としての「国語」 161

第6章  中国における言語政策と民族概念  177
 第1節 「中華民族」概念の形成 178
 第2節 「民族形式」論争 183
 第3節 「中華民族」概念の変容と言語政策 191
     3.1 『漢語憧音方案』と少数民族言語の文字改革・文字創製 191
     3.2 『漢語憧音方案』と「普通話」の推進 195
     3.3 「中華民族」(「一民族」)と「普通話」(「一言語」) 201

終章  207

参考資料 217
参考資料1 マテオ・リッチ(1605)『西字奇跡』 218
参考資料2-1 『漢語憧音方案』 219
参考資料2-2 「ウェード式ローマ字」 219
参考資料2-3 「注音字母」 220
参考資料2-4 「国語ローマ字」 220
参考資料2-5 「ラテン化新文字」 221
参考資料3 盧躇章(1892)『一目了然初階』 222
参考資料4 王照(1901)『官話合声字母』 223
参考資料5 朱文熊(1906)『江蘇新字母』 224
参考資料6 劉復・李家端合編(1930)『宋元以来俗字譜』 225
主要参考文献 227
言語政策関連年表 233

あとがき 243
人名索引 245
事項索引 249


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