[目次]
はしがき 11
1 多言語社会日本をめぐって 11
2 本書の構成 17
3 「国語」と「日本語」 ――『情報学事典』から 21
4 「国語」と「日本語」のせめぎあい ――帝国公用語の可能性 26
注 34
第1部 多言語社会日本の来歴 41
第1章 英語第二公用語論から 43
1 はじめに 43
2 公用語と「国語国字問題」 44
3 一九九〇年代の「国語国字問題」 49
1 「21世紀日本の構想」 49
2 「日本語」の国際化と英語帝国主義論 50
4 批判の視座 52
1 国家戦略ということ 52
2 「個」の領域への介入 53
3 だれのための「国際交流」か 55
4 英語について 57
5 「正しい日本語」とはなにか 58
5 おわりに 61
注 65
第2章 多言語性認識の諸相から 69
1 はじめに ――「バイリンガリズム」概念の受容 69
2 社会的多言語性認識の変遷 71
1 帝国日本の社会的多言語性認識 71
2 帝国崩壊後の社会的多言語性認識 75
3 いまにひきつがれる社会的多言語性認識 78
4 近年の動向 82
5 小括 85
3 個人的多言語性認識のありかた 86
1 ひくい評価 86
2 ことなる評価 96
3 たかい評価 99
4 小括 102
4 おわりに 103
注 104
第3章 近代日本言語史から 113
1 はじめに 113
2 「日本語」の帝国史 114
1 「国語」の構築と「言語」の近代化 114
2 「日本語」の構築と「言語」の帝国化 116
3 帝国日本の言語編制 119
3 多言語性認識の問題 120
1 言語政策論のなかから 120
2 包摂の力学のなかから 122
3 言語論のなかから 124
4 おわりに ――「多言語主義」の解釈 126
注 127
第4章 言語編制・言語政策・言語教育から 131
1 はじめに 131
2 国民国家的言語編制 134
1 「国語」概念の成立 134
2 「内地」における「国語」 136
3 「国語」の志向 138
4 国民国家的言語編制のなかの植民地 141
5 「国語」をめぐるふたつの言語観 144
3 帝国的言語編制 146
1 「東亜共通語」概念と「日本語」 146
2 「東亜共通語」、「日本語」の志向 148
3 帝国的言語編制のなかの諸地域 150
4 帝国的言語編制のなかのふたつの言語観 156
4 帝国日本の言語編制 158
1 編制の構造 158
2 帝国日本の言語編制のなかの植民地 ――「南方」からの還流 161
5 おわりに ――言語政策と言語教育のあいだ 165
注 169
第5章 国語国字問題から 179
1 はじめに 179
2 第一の山 ――「文明」の受容のために/「世界」としての西洋 182
3 第二の山 ――「文明」の輸出のために/輸出対象としての東アジア 184
1 「外部」の獲得と「国語」形成の相互作用 184
2 漢字の「共有」の問題 186
3 表記の簡易化をめぐる議論 ――国語調査委員会から臨時仮名遣調査委員会 186
4 植民地での簡易化実行 187
4 第三の山 ――「普遍」を目指す議論/「世界」の再解釈 190
1 ローマ字表記の統一 ――臨時ローマ字調査会をめぐって 190
2 ローマ字表記と「外部」の範囲 ――エスペラントと「日本語」普及 193
3 「大東亜カナモジ文化圏」/「大東亜ローマ字文化圏」 195
4 「日本語」の簡易化をめぐって ――国語審議会、国語協会など 197
5 第四の山 200
1 敗戦と「国語民主化」 200
2 サンフランシスコ講和条約以後 204
6 おわりに ――第五の山としての「国際化」、「英語第二公用語」論 209
注 210
第6章 漢字政策史から 221
1 はじめに 221
2 「国語の独立」と漢字 225
1 漢字を排除する「国語」 ――共時的現在の重視 225
2 漢語を「同化」する「国語」 ――通時性の重視 229
3 漢字共有の是非と「国語」 ――「東亜」へ 231
3 漢字政策と国語政策 235
4 「国語民主化」と漢字政策 238
5 おわりに 241
注 242
第2部 多言語状況と学問・実践 249
第7章 方言学のばあい 251
1 はじめに ――方言学ということば 251
2 国語政策 254
3 「地域語」のかたりかた 258
4 政策の対象としての「方言」 262
5 おわりに ――「方言」は国家をこえるか 264
注 269
第8章 国語学のばあい 271
1 はじめに ――国民国家の形成と国文学・国史学 271
2 国語の通時的・共時的構築 275
3 植民地朝鮮の言語問題と国語学 ――時枝誠記と言語過程説 278
4 敗戦後に引き継がれたもの 284
5 おわりに ――朝鮮における植民地支配の影響 285
付節 286
注 295
第9章 日本語学のばあい 297
1 はじめに 297
2 国語・国語学・国語科学 299
1 「国語」をめぐって 299
2 「国語学」をめぐって 299
3 「国語科学」をめぐって 301
3 日本語・日本言語学・日本語学 312
1 「日本語」をめぐって ――「国語」との距離 312
2 「日本言語学」をめぐって ――「国語学」との距離 314
3 「日本語学」をめぐって ――佐久間鼎と「科学」 318
4 「大東亜新秩序」と文法 ――金田一京助のばあい 335
4 おわりに ――「国語学」か「日本語学」か 341
注 345
第10章 法律文体口語化のばあい 357
1 はじめに 357
2 「満洲国」以前 ――判決文の口語化と国語協会 358
3 「満洲国」にて ――日本語口語文での法律起草と「大東亜共栄圏」 362
4 敗戦後の議論 370
5 おわりに 373
注 377
あとがき 385
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