脱「日本語」への視座
近代日本言語史再考 U

[著者]安田敏朗

多言語社会日本の歴史構成― 「国語」や「日本語」は多言語状況と、いかにむきあってきたのか。国民国家日本の「国語」「日本語」の呪縛から逃れ、抑圧と排除にもとづかない、相互承認にもとづく社会的アイデンティティを構築し、わたしのことばを手にするために必要とされるものとは。

定価=本体 2,800円+税
2003年6月30日/四六判並製/400頁/ISBN978-4-88303-120-7


イメージを拡大

[目次]

 はしがき  11
     1 多言語社会日本をめぐって  11   
     2 本書の構成  17   
     3 「国語」と「日本語」 ――『情報学事典』から  21   
     4 「国語」と「日本語」のせめぎあい ――帝国公用語の可能性  26   
     注  34

第1部 多言語社会日本の来歴  41
 第1章 英語第二公用語論から  43
     1 はじめに  43   
     2 公用語と「国語国字問題」  44   
     3 一九九〇年代の「国語国字問題」  49   
          1 「21世紀日本の構想」  49
          2 「日本語」の国際化と英語帝国主義論  50
     4 批判の視座  52   
          1 国家戦略ということ  52
          2 「個」の領域への介入  53
          3 だれのための「国際交流」か  55
          4 英語について  57
          5 「正しい日本語」とはなにか  58
     5 おわりに  61   
     注  65
 第2章 多言語性認識の諸相から  69
     1 はじめに ――「バイリンガリズム」概念の受容  69   
     2 社会的多言語性認識の変遷  71   
          1 帝国日本の社会的多言語性認識  71
          2 帝国崩壊後の社会的多言語性認識  75
          3 いまにひきつがれる社会的多言語性認識  78
          4 近年の動向  82
          5 小括  85
     3 個人的多言語性認識のありかた  86   
          1 ひくい評価  86
          2 ことなる評価  96
          3 たかい評価  99
          4 小括  102
     4 おわりに  103   
     注  104
 第3章 近代日本言語史から  113
     1 はじめに  113 
     2 「日本語」の帝国史  114   
          1 「国語」の構築と「言語」の近代化  114
          2 「日本語」の構築と「言語」の帝国化  116
          3 帝国日本の言語編制  119
     3 多言語性認識の問題  120   
          1 言語政策論のなかから  120
          2 包摂の力学のなかから  122
          3 言語論のなかから  124
     4 おわりに ――「多言語主義」の解釈  126   
     注  127
 第4章 言語編制・言語政策・言語教育から  131
     1 はじめに  131 
     2 国民国家的言語編制  134   
          1 「国語」概念の成立  134
          2 「内地」における「国語」  136
          3 「国語」の志向  138
          4 国民国家的言語編制のなかの植民地  141
          5 「国語」をめぐるふたつの言語観  144
     3 帝国的言語編制  146   
          1 「東亜共通語」概念と「日本語」  146
          2 「東亜共通語」、「日本語」の志向  148
          3 帝国的言語編制のなかの諸地域  150
          4 帝国的言語編制のなかのふたつの言語観  156
     4 帝国日本の言語編制  158   
          1 編制の構造  158
          2 帝国日本の言語編制のなかの植民地 ――「南方」からの還流  161
     5 おわりに ――言語政策と言語教育のあいだ  165 
     注  169
 第5章 国語国字問題から  179
     1 はじめに  179   
     2 第一の山 ――「文明」の受容のために/「世界」としての西洋  182   
     3 第二の山 ――「文明」の輸出のために/輸出対象としての東アジア  184
          1 「外部」の獲得と「国語」形成の相互作用  184
          2 漢字の「共有」の問題  186
          3 表記の簡易化をめぐる議論 ――国語調査委員会から臨時仮名遣調査委員会  186
          4 植民地での簡易化実行  187
     4 第三の山 ――「普遍」を目指す議論/「世界」の再解釈  190   
          1 ローマ字表記の統一 ――臨時ローマ字調査会をめぐって  190
          2 ローマ字表記と「外部」の範囲 ――エスペラントと「日本語」普及  193
          3 「大東亜カナモジ文化圏」/「大東亜ローマ字文化圏」  195
          4 「日本語」の簡易化をめぐって ――国語審議会、国語協会など  197
     5 第四の山  200   
          1 敗戦と「国語民主化」  200
          2 サンフランシスコ講和条約以後  204
     6 おわりに ――第五の山としての「国際化」、「英語第二公用語」論  209   
     注  210
 第6章 漢字政策史から  221
     1 はじめに  221   
     2 「国語の独立」と漢字  225   
          1 漢字を排除する「国語」 ――共時的現在の重視  225
          2 漢語を「同化」する「国語」 ――通時性の重視  229
          3 漢字共有の是非と「国語」 ――「東亜」へ  231
     3 漢字政策と国語政策  235   
     4 「国語民主化」と漢字政策  238   
     5 おわりに  241   
     注  242

第2部 多言語状況と学問・実践  249
  第7章 方言学のばあい  251
     1 はじめに ――方言学ということば  251
     2 国語政策  254
     3 「地域語」のかたりかた  258
     4 政策の対象としての「方言」  262
     5 おわりに ――「方言」は国家をこえるか  264
     注  269
 第8章 国語学のばあい  271
     1 はじめに ――国民国家の形成と国文学・国史学  271
     2 国語の通時的・共時的構築  275
     3 植民地朝鮮の言語問題と国語学 ――時枝誠記と言語過程説  278
     4 敗戦後に引き継がれたもの  284
     5 おわりに ――朝鮮における植民地支配の影響  285
     付節  286
     注  295
 第9章 日本語学のばあい  297
     1 はじめに  297
     2 国語・国語学・国語科学  299
          1 「国語」をめぐって  299
          2 「国語学」をめぐって  299
          3 「国語科学」をめぐって  301
     3 日本語・日本言語学・日本語学  312
          1 「日本語」をめぐって ――「国語」との距離  312
          2 「日本言語学」をめぐって ――「国語学」との距離  314
          3 「日本語学」をめぐって ――佐久間鼎と「科学」  318
          4 「大東亜新秩序」と文法 ――金田一京助のばあい  335
     4 おわりに ――「国語学」か「日本語学」か  341
     注  345
 第10章 法律文体口語化のばあい  357
     1 はじめに  357
     2 「満洲国」以前 ――判決文の口語化と国語協会  358
     3 「満洲国」にて ――日本語口語文での法律起草と「大東亜共栄圏」  362
     4 敗戦後の議論  370
     5 おわりに  373
     注  377

あとがき  385
初出一覧  394


HOME