西洋美術研究 |
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2004年9月30日発行 2004年9月30日/B5判並製/272ページ/ISBN978-4-88303-141-2 |
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加藤哲弘
芳賀京子 紀元前5世紀にアテナイのアクロポリスへの入口に立てられたアルカメネス作のヘルマ柱は、古代世界を通じ、いくつものコピーが制作された。このコピー群を検討することにより、古代世界で彫刻家がコピー制作に独創性を加えるとすればそれはどのような手法によるのか、注文主はコピーを用いてどのようなメッセージを伝えようとしたのかを考察する。そして、この作品が造形言語として有していた意味を明らかにすることにしたい。 元木幸一 画像の著作権裁判の草分けといえるデューラーのマルカントニオ・ライモンディ訴訟は、画像ではなく、署名の複製を禁ずる判決で決着をみた。どうしてこのような判決がでたのだろうか。当時の板絵と版画の複製状況を分析し、板絵ではヨーロッパ的規模で複製が行われていたこと、版画ではコピーがコピーを連鎖的に生んで行ったことなどを明らかにし、そのような状況下での判決の謎解きを試みる。 セオドア・レフ 西洋の名画を展示するルーヴル美術館は、近代の画家たちにとって重要な学びの場であった。そのことは伝統を遵守するアカデミックな画家のみならず、オリジナリティを追求する革新派の画家たちにおいても同様である。1850年から1870年までのルーヴル美術館における模写画家たちの記録を当時の「原簿」から丹念に復元してみると、マネとその周辺画家、後に印象派となる画家たちの多くが、古画の模写に取り組んだ実態が判明する。 池上裕子 《黒の絵画》を描き続けて純粋なモダニストと呼ばれたアド・ラインハートと、ポップ・アートの旗手としてオリジナリティというモダニズムの神話に1つの終止符を打ったアンディ・ウォーホル。両極端に位置すると理解されがちなこの2人の美術家は、ともに反復的手法を突き詰めることで「絵画の死」というモダニズム美術の難題と対峙していた。本論文では、絵画の進展、死、そして再生の全ての局面に関わる反復という戦略のパラドックスを、彼らの作品を通して検証する。
木俣元一 秋山聰 加藤哲弘 小西信之
小佐野重利/芳賀京子[解題] 芳賀京子[翻訳] 小佐野重利[解題・翻訳] 中村俊春[解説・注釈] 平川佳世[翻訳] 杉山奈生子[解題] フランス美術文献研究会[翻訳] 陳岡めぐみ[解題・翻訳]
渡辺晋輔 森雅彦 阿部成樹
秋山聰[編]
金沢百枝 《天地創造の刺繍布》は天地創造場面とともに「月暦」や「四方の風」などのモティーフが配されたロマネスクの宇宙図ともいえる作品である。その刺繍布下縁部には、著しい損傷があるものの、聖十字架発見の物語が描かれている。大部分を天地創造場面が占める刺繍布に、なぜ聖十字架伝が描かれているのか、聖十字架伝の図像学的系譜や聖十字架伝が使われるコンテクストの分析から、二主題のつながりについて考察する。
近藤學 |