[目次]
序章 日本語学の流行のなかで 9
1 問題の前提 9
2 日本語学の「土台」 13
3 本書の構成 21
1章「日本帝国大学言語学」の射程――上田万年から金田一京助へ 25
1 アイヌ語学の浮上 28
1 比較言語学の政治性 28
2 比較言語学の科学性 32
3 比較言語学への懐疑─歴史言語学への傾斜 35
4 科学としてのアイヌ語学 38
2 「日本帝国大学言語学」の展開――語族から類型へ 42
1 明治末年の金田一京助─―『新言語学』翻訳まで 42
2 言語類型博物館としての帝国日本―─『新言語学』「自序」と拓殖博覧会 45
3 歴史言語学の限界と記述言語学、そして佐久間鼎 54
2章 一九三〇年代言語研究の展開――『国語科学講座』をめぐって 59
1 国語学への疑義――学の内的状況の変化 59
2 国語の論理から日本語の論理へ――学の外的状況の変化 62
3 『国語科学講座』の構成 66
4 流行としての科学 73
1 「国語科学」ということば――大衆性・郷土性・『教育・国語教育』 73
2 唯物論という科学 80
5 『国語科学講座』にみるあらたな潮流 81
1 異分野の研究者の参入――その特徴と限界 81
2 言語地理学と国語方言学 86
3 言語社会学 92
4 音声学 105
5 国語学から日本語学へ 112
3章 佐久間鼎の一九一〇年代─―アクセント研究と現代音声日本語の「発見」 115
1 アクセント研究と「科学的国語学」 115
2 「国語統一」と方言─―科学の対象として選別される標準語 120
3 アクセント統一と話者の心理 129
4 口語の位置 135
5 脱階級としての口語 139
4章 佐久間鼎の一九三〇年代 (1)─―ゲシュタルトとしての口語 145
1 「体制的全体」としての言語研究─―記述言語学をこえて 145
2 「発話の現前」─―事理相即の言語学へ 151
3 「現代日本語」と「語法の科学」 154
4 「現代日本語」と「東京語」、そしてゲシュタルトの限界 159
5章 佐久間鼎の一九三〇年代 (2)─―健康化する日本語 165
1 総動員体制と健康 165
2 現代音声日本語と健康――体制的全体の愛護と口語・生活語 167
3 「健康な日本語」から排除されるもの 177
1 敬語 180
2 方言――「東京語=標準語」の理論 182
3 手話 197
4 かなづかいと翻訳文体 202
6章 佐久間鼎の一九四〇年代前半─―日本語学の完成 209
1 実践としての音声学 209
2 集大成としての『日本語の特質』─―無根拠な文化論批判・『国語文化講座』・国語学とのすみわけ 214
3 日本語の優生学・「大東亜共通語としての日本語」 223
4 現代音声日本語と古代 230
5 国語学からの反応 238
7章 現代音声日本語とメディア─―ラジオと教科書 247
1 ラジオと現代音声日本語 247
2 国民科国語と現代音声日本語 255
8章 佐久間鼎の敗戦後 269
1 「国語表記のローマ字化─O式ラテン字の提唱」 270
2 「日本語の本領とその改善の方途」 273
3 二論文のゆくえ─―『日本語のかなめ』 278
終章 科学・学問、そして「学問」 281 |