中国の地域社会と標準語
南中国を中心に

[著者]陳於華

現在まさに進行中である方言差の著しい中国社会における標準語(普通話)化の現状。
南中国における標準語の社会的機能、複数の言語(変種)の使われ方、とりわけ、各地域での標準語の運用実態を解明し、地域社会の標準語化のモデル化を目指すとともに、地域的標準語(地方普通話)の特徴の解明を試みる。

定価=本体 3,100円+税
2005年2月23日/A5判上製/200頁/ISBN978-4-88303-156-6

 


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[目次]

はじめに   009

第1章 序 論   015
 1.1. 地域社会の標準語化への視点   015
 1.2. 中国および対象地域の言語事情   019
 1.3. 中国における標準語化の歴史と現状   021
     1.3.1. 中国大陸における標準語化   021
     1.3.2. 香港の言語政策と標準語化の動向   029
 1.4. 先行研究と本研究の仮説   032
 1.5. 本研究の目的   035
 注   038

第2章 標準語化の各段階とその特徴   041
 2.1. 調査の方法と概要   041
 2.2. 各地域における言語使用状況   043
 2.3. 各地域における標準語化の段階とその特徴   049
 2.4. 標準語化と属性的要因   053
 2.5. まとめ   057
 注   059

第3章 標準語の運用実態   061
 3.1. 調査の方法と概要   061
 3.2. 「道教え」場面における言語(変種)の運用実態   063
 3.3. 「道教え」場面における標準語の使用度   074
 3.4 .まとめ   077
 注   078

第4章 標準語の使用能力   079
 4.1. 標準語の使用能力について   079
 4.2. 標準語のランクと判定基準   081
 4.3. 判定者について   084
 4.4. 判定結果の考察   086
 4.5. まとめ   091

第5章 地域的標準語(地方普通話)の特徴   093
 5.1. はじめに   093
 5.2. 各地域の方言の特徴   095
 5.3. 「福州普通話」の特徴   098
     5.3.1. 重複式の造語法の多用   098
     5.3.2. 「有」構文の拡大用法   099
     5.3.3. 「(不)会」は副詞として   103
     5.3.4. 「移動動詞+目的語」構文の多用   103
     5.3.5. 福州語的表現形式と逐語訳   104
     5.3.6. 福州語的意味・用法   105
 5.4. 「広州普通話」の特徴   108
     5.4.1. 語気助詞(終助詞)の多用   108
     5.4.2. 同形語の広東語的意味・用法   114
     5.4.3. 「移動動詞+目的語」構文の多用   118
     5.4.4. 「有+動詞(句)」構文の使用   119
     5.4.5. 広東語的表現形式と逐語訳   120
     5.4.6. 広東語的語彙の使用   121
 5.5. 「香港普通話」の特徴   125
     5.5.1. 英語や方言外来語の使用   126
     5.5.2. 「台湾国語」や「シンガポール華語」の影響   128
     5.5.3. 「広州普通話」との類似と相違   129
 5.6. 地域的標準語の特徴   135
 注   140

第6章 地域社会の標準語化に関わる諸要因   143
 6.1. はじめに   143
 6.2. 福州と広州の社会概況   144
 6.3. 標準語化と地域方言   145
 6.4. 標準語化と言語計画   147
 6.5. 標準語化と地域の経済地位   148
 6.6. 標準語化と地域方言の勢力   151
 6.7. 標準語化と音声メディアの使用言語   153
 6.8. まとめ   154
 注   156

終章 結論と今後の課題   157
 注   161

付録 「外来者への情報提供場面」におけるコミュニケーション・ストラテジーの運用   163
 1. はじめに   163
 2. データの収集方法   164
 3. 先行研究と本研究の位置づけ   165
 4. 「外来者への情報提供場面」の特性   166
 5. コミュニケーション・ストラテジーの運用   166
 6. 相手言語の熟達度とCSの運用との関連   183
 7. おわりに   185

主要参考文献   186
資料1 現代中国語方言区分地図   195
資料2 中国語の南北区分   196
資料3 中国語諸方言系統図   196

あとがき   197

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