日本の言語景観

[編著者]庄司博史P・バックハウスF・クルマス

公共空間における「書き言葉」の、西欧化・国際化・多民族化の歴史と現状から、日本社会の変容を読みとっていく。

[書評]
《毎日新聞》書評欄、2009年4月12日

定価=本体 2,100円+税
2009年3月30日/A5判並製/204頁/ISBN978-4-88303-185-6


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[目次]

序文 日本の言語景観――西欧化、国際化、そして多民族化(編者) 009

第1章 多言語化と言語景観――言語景観からなにがみえるか(庄司博史) 017
 1 はじめに 017
 2 多言語化の論点 019
     2.1 接触の形態
     2.2 流動性
     2.3 多言語状況の力関係
     2.4 認識・受容
     2.5 多民族性とのかかわり
     2.6 多言語使用、多言語能力とのかかわり
 3 多言語表示事例の検討 026
 4 多言語化と多言語景観とのかかわりについての理論的考察 032
     4.1 多言語景観の一部としての多民族化
     4.2 多言語表示にみられる日本社会の多言語化
     4.3 領域表示としての多言語景観
     4.4 外国語表示の受けとめ方
 5 まとめ 040

第2章 経済言語学からみた言語景観――過去と現在(井上史雄) 053
 1 日本の言語景観の歴史的背景 053
     1.1 理論的前提
     1.2 日本の言語景観の多様性
     1.3 看板の文字の歴史(漢字・かなの使用)
     1.4 文字使用の近代史(カタカナからアルファベットへ)
 2 現代日本の言語景観 056
     2.1 看板の文字使用の変化(東京新宿のカタカナの増減)
     2.2 現代看板の文字使用(東京と山形のアルファベット進出)
     2.3 アルファベットの浸透と表記相対化
 3 外来語・外国語の浸透 062
     3.1 看板の多言語使用の増加(東京新宿の英語志向)
     3.2 デパートの多言語使用の増加(東京のアジア志向)
     3.3 山手線駅前の多言語看板
 4 言語景観の政治・経済・地理 071
     4.1 自治体の多言語サービス(関東地方)
     4.2 言語景観と言語サービス
     4.3 言語景観と言語権
     4.4 言語景観の地理的分布パターンと変化
     4.5 言語景観の保留・限界
     4.6 言語景観と経済原理
 5 おわりに:言語景観研究の展望 076

第3章 言語景観と公共圏の起源(フロリアン・クルマス) 079
 1 はじめに 079
 2 言語景観の諸要素 081
     2.1 ハムラビ法典
     2.2 ロゼッタ・ストーン
     2.3 メネテケル
     2.4 タージ・マハル
     2.5 場所の移動
 3 まとめ 092

第4章 言語景観の中の看板表記とその地域差――小田急線沿線の実態調査報告(染谷裕子) 095
 1 はじめに 095
 2 調査方法と主な結果 097
     2.1 調査方法について
     2.2 採用率の高い文字種の比較
     2.3 文字種の組み合わせ
 3 それぞれの文字種の働き 104
     3.1 日本語表記の慣用と看板表記
     3.2 漢字による店名表記
     3.3 ひらがなによる店名表記
     3.4 カタカナによる店名表記
     3.5 アルファベットによる店名表記
     3.6 二重表記
 4 新百合ヶ丘と生田 115
 5 おわりに 119

第5章 地下鉄案内板にみるローマ字表記――東京における1999年の実態
     (佐渡島紗織+小林良子+齋藤眞美) 123
 1 はじめに 123
 2 先行研究 125
 3 調査方法 127
     3.1 調査対象とした地下鉄路線
     3.2 調査対象とした案内板
     3.3 調査手順
 4 調査結果 129
     4.1 案内板におけるローマ字表記
     4.2 案内板におけるローマ字表記法の幅とその問題点
 5 おわりに 143

第6章 日本の言語景観の行政的背景――東京を事例として(ペート・バックハウス) 145
 1 はじめに 145
 2 公的表示の作成に関する文書 146
     2.1 『東京都公的サインマニュアル(案)』(1991)
     2.2 『品川区街のサイン基本マニュアル』(1994)
     2.3 『旅客案内標識:設置マニュアル』(1997)
     2.4 『ひと目で分かるシンボルサイン―標準案内用図記号ガイドブック』(2001)
     2.5 『公共交通機関旅客施設のサインシステムガイドブック』(2002)
     2.6 『外国人にもわかりやすいまちの表記に関するガイド』(2003)
 3 東京の言語景観に関わる具体的施策 156
     3.1 都による言語景観づくり
     3.2 23区による言語景観づくり
 4 まとめ 165
     4.1 ローマ字と英語
     4.2 中国語と韓国・朝鮮語
     4.3 やさしい日本語
     4.4 案内用図記号(ピクトグラム)
     4.5 終わりに

第7章 視覚障害者にとっての言語景観――東京山手線の点字調査から(山城完治) 171
 1 はじめに 171
 2 視覚障害とは 171
 3 歩行・移動の不自由 172
 4 視覚障害者の移動する際の補助情報について 174
 5 JR山手線各駅手すりの点字表示調査について 178
     5.1 鉄道駅における視覚障害者のための補助情報
     5.2 調査のきっかけと目的
     5.3 調査方法
     5.4 調査結果
     5.5 結果の公表とその後
 6 おわりに 184

第8章 言語景観における移民言語のあらわれかた――コリアンコミュニティの言語変容を事例に(金美善)  187
 1 はじめに 187
 2 コリアン集住地域の言語景観 188
     2.1 東京都新宿区
     2.2 大阪市生野区
 3 韓国語・ハングル景観に影響を及ぼす要因―言語コミュニティと社会的現象 191
     3.1 在日コリアンコミュニティの言語的影響
     3.2 グローバル化
 4 文字間における言語接触現象 200
     4.1 言語と文字の錯綜:かな表記韓国語
     4.2 両言語の音韻体系と表記手段の錯綜:変形カナ
 5 まとめ 203

謝辞/編者 206


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