[目次]
序章
1 研究目的 20
2 韓国華僑研究史 23
(1)台湾における韓国華僑研究 24
(2)韓国における韓国華僑研究 26
(3)中国における韓国華僑研究 30
(4)日本における韓国華僑研究 31
3 本書の構成と資料の運用・紹介 35
4 用語説明 38
第1章 一九四五年以前における華僑社会
第1節 朝鮮半島への移住(一八八二年〜一八九四年) 44
1 清の支援と華僑社会の形成 44
2 商業ネットワークと商業の担い手 47
(1)東アジア貿易ネットワークと華僑貿易商人 47
(2)朝鮮内陸販売ネットワークと行商 52
3 多様な華僑の出身地 54
第2節 単身出稼ぎ型の華僑社会(一八九五年〜一九一〇年代) 56
1 商業ネットワークの変化 56
(1) 貿易ネットワークの変化 57
(2)「内陸販売ネットワーク」の変化 62
2 職業の多様化と小商人の登場 63
3 出身地の単一化 65
4 単身出稼ぎ型社会 66
第3節 定住型の華僑社会へ(一九二〇年代〜一九四五年) 67
1 小商人中心の華僑社会の安定化 67
2 女性人口の増加と定住化 72
3 華僑商業の衰退 74
4 人口の流出・再流入と労働者の急増 78
第4節 一九四五年以前における華僑社会の特徴と「中国人」意識 82
1 「中国人」意識の形成 83
(1)移民の合法化と「海外公民」 83
(2)朝鮮在駐の本国政府機関との関係 85
(3)中華商会と華僑社会のネットワーク 91
(4)華僑教育と中国文化の維持 93
(5)高い流動性と中国文化の吸収 96
(6)山東省という統一された故郷 97
2 「中国人」意識の明確化――華僑に対する否定的イメージと排華事件 98
(1)華僑に対する敵対意識の形成 98
(2)排華事件 102
第2章 東アジアの冷戦体制の形成と国家の分裂
第1節 朝鮮半島の分断 107
1 朝鮮半島を巡る国際情勢と朝鮮半島の分断 107
2 米軍政庁と韓国華僑との政治的関係 110
(1)華僑に対するアメリカの基本方針 111
(2)朝鮮南部における中国人の引き揚げ 112
(3)中国人の保護 114
3 米軍政庁と韓国華僑との経済的関係 117
(1)米軍政庁と対中貿易 117
(2)華僑経済の繁栄期 120
第2節 中華民国政府による統合と韓国華僑の合流 125
1 国民大会と韓国華僑 126
(1)国民大会開催までの過程とその歴史的意義 126
(2)韓国華僑の国民大会への参加 129
2 韓国華僑からの報告 130
(1)周慎九の陳情書 131
(2)王興西の意見書 132
3 自治区組織の形成 137
4 中華民国政府中心の華僑社会へ 140
第3節 朝鮮戦争と韓国華僑 142
1 中国の分裂と朝鮮戦争 142
2 戦時期における中華民国大使館の動き 144
3 戦時期における韓国華僑社会 146
(1)共産主義組織の形成と共産主義容疑による逮捕 147
(2)北朝鮮における反共組織と北朝鮮華僑の韓国への移住 152
(3)釜山への避難 154
4 韓国華僑の参戦 159
(1)朝鮮戦争における中華民国の派兵構想の挫折 159
(2)心理戦への参戦 160
(3)戦闘部隊としての参戦 162
(4)情報部隊としての参戦 164
5 朝鮮戦争の影響 167
(1)韓国華僑の反共の立場の確立 167
(2)中華民国政府との関係の強化と華僑組織の一元化 169
第4節 東アジアにおける冷戦体制と韓国華僑の「祖国」意識 171
1 中国・朝鮮半島の分裂体制の固定化と反共体制の確立 171
2 国民意識の自覚と「祖国」意識 173
第3章 韓国の制度的差別と韓国華僑
第1節 排他的制度のはじまり 177
1 韓国政府樹立以前における華僑と韓国人との関係 177
(1)政治的関係 178
(2)経済的関係 180
2 「国籍法」による国民からの排除 182
(1)「血統」による国民範囲の確定 182
(2)帰化者への制限と帰化の条件 189
3 「外国人の入国出国と登録に関する法律」による外国人への管理と監視 194
(1)入国外国人に対する管理と監視 195
(2)居住外国人に対する管理と監視 199
4 経済的規制と華僑の経済的勢力の衰退 205
(1)警戒から規制へ 206
(2)輸出入政策と為替政策 207
(3)関税政策 210
第2節 強まる法的規制と排除 213
1 外国人土地法 214
2 チャイナタウンの消滅 220
(1)一九六〇年代のチャイナタウン 220
(2)チャイナタウンの消滅過程 221
3 出入国管理法 225
4 国民認定の装置――住民登録法 231
第3節 華僑の生きる道 234
1 華僑貿易の没落 235
2 飲食業の険しい道 240
3 職業制限 245
第4節 韓国人と華僑の境界線及び韓国華僑の「祖国」意識 247
1 韓国人と華僑の境界線 247
2 国民意識の明確化と「祖国」意識 249
第4章 中華民国と韓国華僑の相互関係
第1節 中華民国政府の対韓国華僑政策 252
1 中華民国政府の華僑政策 253
2 中華民国駐韓大使館の対韓国華僑政策 257
3 華僑団体に対する管理 258
(1)華僑協会 259
(2)「中華飲食業協会」と指導の一元化 268
(3)「漢城公産処理委員会」とその他の団体 270
4 華僑学校に対する管理 271
(1)自治区(華僑協会)と華僑学校の普及 271
(2)華僑学校に対する管理 274
5 中国国民党駐韓直属支部 275
(1)「中国国民党駐韓直属支部」の設置 276
(2)「中国国民党駐韓直属支部」の役割 277
第2節 韓国華僑社会における中華民国の必要性 278
1 中華民国政府の保護と支援の必要性 279
(1)韓国華僑の権益の保護 279
(2)華僑学校に対する支援 283
2 調停者と管理者の必要性 288
(1)「韓国華僑協会総会」と「中華飲食業協会」の紛争 288
(2)教師の生徒殴打・公金横領事件と「漢城華僑中学」の改革問題 290
3 中華民国の必要性とピラミッド構造 291
第3節 中華民国の政治動員と韓国華僑の積極的な呼応 292
1 中華民国への求心力と華僑社会の愛国活動 293
(1)「韓国華僑青年反共救国総会」の愛国活動 293
(2)帰国観光 296
2 華僑社会における愛国募金運動の展開 301
3 中華民国政府と韓国華僑社会の協力関係 304
第4節 中華民国の国民意識の強化と「祖国」意識 306
1 韓国華僑社会の中心地――中華民国 306
2 中華民国の国民意識の強化 310
第5章 韓国・中華民国の反共共同体と韓国華僑
第1節 韓国における反共体制と反共生活 315
1 反共イデオロギーの形成過程 315
(1)朝鮮戦争以前 315
(2)朝鮮戦争以後 316
(3)朴正煕政権以降 318
2 韓国華僑にとって反共国家の韓国で生きること 321
(1)「在韓華僑孫承億の強制退去命令取消の請求訴訟事件」 321
(2)生活場面における反共イデオロギー 324
3 中華人民共和国勢力の封鎖 326
第2節 中華民国の反共体制と反共イデオロギーの内面化 337
1 中華民国における反共体制――韓国との比較の視点から 327
2 華僑学校における反共教育 332
(1)反共教育の目標 332
(2)反共教育の内容 334
3 華僑新聞における反共イデオロギー宣伝 341
(1)二項対立の対比と真実性の強調 342
(2)韓国華僑社会を対象にした反共イデオロギー宣伝 346
4 韓国より早い華僑社会の反共イデオロギーの日常化 348
第3節 韓国・中華民国の反共外交と韓国華僑 350
1 韓国と中華民国の反共外交 351
(1)反共外交のはじまり―― 一九五〇年代 351
(2)反共外交の頂点―― 一九六〇年代 358
(3)反共外交の衰退―― 一九七〇年代 362
(4)名目だけの反共外交―― 一九八〇年代 367
2 反共共同体の強調と韓国華僑の反共活動 372
(1)両国の政府関係者による反共共同体の強調 372
(2)韓国華僑の反共活動 376
3 韓国人との反共共同体の形成と経済的犠牲 385
第4節 「反共価値観」と「祖国」意識 386
1 反共意識の確立から「反共価値観」への発展 387
2 韓国華僑の反共の信念と「祖国」意識 389 第6章 韓国華僑の抱く「祖国」と「祖国」意識の崩壊
第1節 韓国華僑の抱く「祖国」としての中華民国のイメージ 395
1 教科書における中華民国のイメージ 395
(1)一つの中国――台湾大陸一体論 396
(2)指導者・国民党・国家の三位一体 398
2 華僑新聞における中華民国のイメージ 400
3 中華民国の国家イメージと韓国華僑 403
第2節 「祖国」に対する強い「愛国」感情 405
1 蒋介石の死去時の「忠誠心」の表出 405
2 アメリカとの国交断絶時の「愛国心」の表出 409
3 韓国との国交断絶時の「愛国心」の表出 413
第3節 韓国華僑の支持基盤 417
1 一九七〇年代以前の支持基盤 418
(1)中国全土を想定した国家体制 418
(2)華僑の国内政治参加への保障 420
2 一九七〇年代における中華民国の変化と韓国華僑の支持基盤 421
(1)中華民国の台湾化のスタート 421
(2)中華民国の民主化 423
(3)一九七〇年代における韓国華僑の中華民国の支持基盤 426
3 一九九二年韓国との国交断絶の際の韓国華僑の支持基盤 431
(1)韓国華僑社会内部の冷戦体制の現存 431
(2)改善されてない韓国の差別構造 433
(3)中国全土を想定した国家体制の現存 433
第4節 韓国華僑の「祖国」意識の崩壊 434
1 「祖国」意識崩壊の契機―― 二〇〇〇年台湾総統選挙 434
2 「祖国」意識崩壊の背景―― 一九九〇年代以降の中華民国の台湾化 438
(1)台湾のみを想定した国家体制への移行完了 439
(2)華僑参政権の縮小と僑務の台湾化 440
3 見捨てられない李登輝に対する希望―― 一九九六年以降の韓国華僑の支持基盤 443
終章 結論
1 段階的に強化され、形成された「祖国」意識 448
2 中華民国を「祖国」として選択せざるをえない構造 449
3 「幻想」と「現実」の「祖国」の二重構造 450
附章 二〇〇〇年以後の韓国華僑社会の変化
第1節 韓国社会の差別構造の改善と残された課題 455
1 国籍法の改善 455
2 外国人土地法の改善 458
3 永住権と地方参政権の導入 459
4 残されている差別構造 462
第2節 中華人民共和国派の誕生と中華民国の求心力の急速な低下 465
1 「漢城中国僑民協会」の誕生 465
2 「漢城華僑協会」と反共系列の団体の変化 467
第3節 韓国華僑のアイデンティティの変化 469
1 「中華民国人」から「中国人」へ――中・高年世代のアイデンティティの変化 470
2 韓国・台湾・中国を彷徨うアイデンティティ――若い世代の韓国華僑 474
あとがき 479
註 026
付録 羅亜通氏へのアンケート調査 020
参考文献 008
事項索引 003
人名索引 001 |