[増補新版]たたかいの社会学
悲喜劇としての競争社会

[著者]ましこ・ひでのり

社会という闘技場 傷ついた自分をみつめ直すために! 
本書は「たたかいにかつ」ための本ではない。
「たたかいにかつことは、いいことだ」という議論にまけそうなとき、
めげない元気を呼びさます。
競争のもつ悲喜劇にたえるための、心の予防ワクチン。

定価=本体 2,500円+税
2007年9月15日/四六判並製/320頁/ISBN978-4-88303-212-9



イメージを拡大

[目次]
はじめに 9

1 なにと「たたかう」のか? 11
     1 予想ゲームに「かつ」 13
     2 困難な状況に「かつ」、なにかを「まもる」 19
     3 記録を「やぶる」、記録に挑戦する、限界に挑戦する 28
     4 ゲーム/レース/裁判に「かつ」 30
     5 はりあい、みせびらかしあい 36

2 競争/ゲームのパラドクス 39
     1 結果論としての「つよさ」と、観衆 39
     2 トーナメントの証明する「つよさ」、リーグ戦の証明する「つよさ」 42
     3 帰納法的な「つよさ」の証明と、「実力格差」 50
     4 勝敗は、なにをモノサシとしているか? 52
     5 「つよさ」による序列の証明は、なんのためになされるのか 59
     補論 裁判ゲームと権力犯罪 62
 
3 相対評価=序列主義の逆説 63
     1 相対評価による配分過程としての公教育 64
     2 専門職資格のパラドクス 70
     3 選抜試験の非合理 72
     4 総和主義選抜原理の矛盾 76
     5 虚無主義的消去法としての相対評価 81
     補論 公教育現場への絶対評価の導入という事態について 84 

4 業績原理の背後の官僚制、大量生産、社会ダーウィニズム 85
 相対主義、流体思考、ディジタル化
     1 神なきあとの秩序、貴族なきあとの序列 85
     2 「流体」=量的資源としての人材 90
     3 ディジタル化作用としての「シキリ」――連続体の権力的切断と恣意性 94
     4 「なきねいり」させる権力 100
     5 「優勝劣敗」「適者生存」という合理化――社会ダーウィニズム 104
     補論 養育の実質的とりたてについて 108

5 あいてを自分の土俵にあげる 109
     1 「異種格闘技戦」 109
     2 ルールを自分用に、しくむ、あるいは「改正」する 112
     3 あいてを自分の文脈にひきこむ 116
     4 専門職による文脈支配――コドモの幼児あつかい/成人のコドモあつかい 126
     5 密室空間――「なきねいり」の温床としての「社会学的密室」 134
     6 「無知はちからである」 139
     7 戦意のないものを「土俵にあげる」 149
     8 植民地主義という「土俵」 155
     9 支配は必要悪か? 162
     補論1 性犯罪被疑者の人権と訴訟ゲームのジレンマ 164
     補論2 「色盲」差別について 164
     補論3 モンゴル勢東西横綱誕生の秘密 165
     補論4 フリースクール「龍の子学園」の教育特区認可 166

6 擬似的生物学イメージによる秩序 167
     1 生得的要素の検討 167
     2 年令秩序を軸に 169
     3 性別という軸から 181
     補論 「男性助産士問題」の本質 210

7 やくわり秩序 211
     1 「少女」という社会的やくわり――保護対象から寄生への反転 213
     2 芸能人/スポーツ選手/棋士などによる代償行為と、嫉妬心 227
     3 「専門家」という権威主義的偶像――大学人ほか教員を中心に 235
     4 警官/軍人など権力の体現者=秩序のプロモーター――「ちち=唯一神」の幻影 250
     補論1 『文学部唯野教授』のえがく大学人像 261
     補論2 非血縁的「インセストタブー」 262

8 優先順位 おいこし、わりこみ、まちぼうけ 263
     1 特別あつかい――救急車、先導車、「お召列車」、専用機などを参考に 264
     2 「わりこみ」ありの「先着順」原理――行列、自動車レースなどを参考に 270
     3 全能感と「わりこみ」 275
     4 人命における優先順位――経済的評価と脳死を参考に 279
     5 「優先順位」判定の政治性と、テクノクラシーの洗練 288

あとがきにかえて――たたかいを「陣痛」「必要悪」とみなす呪縛からのがれるために 293
増補新版に際してのあとがき 302
参考文献 307


HOME