記号の系譜
社会記号論系言語人類学の射程

[著者]小山亘

全体、再帰、批判(内在的批判)、歴史。ボアス以来の人類学、パースからヤコブソンへと展開してきた記号論を融合した社会記号論系言語人類学。「知」が断片と化したこの時代、ことばと社会、文化、歴史の学として体系性と包括性、全体性を求める、その反時代的な営みの可能性を明らかにする。

定価=本体 4,600円+税
2008年1月30日/A5判並製/540頁/ISBN978-4-88303-219-8
 


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[目次]

序 パース記号論、ボアス人類学、フンボルトの宇宙誌、あるいは「文化と自然」について  009

第1章 社会記号論と言語人類学:全体、再帰、批判、歴史
 第1節 導入  020
  (1)概要  020
  (2)「言語学」と「人類学」の間:言語人類学とパース記号論  030
 第2節 言語人類学・社会記号論とは何か?   037
  (1)言語人類学、及び「言語と社会」に関わる関連諸分野:重複と差異   037
  (2)「記号論」の基礎:概要  041
  (3)指標記号  042
  (4)類像記号と象徴記号   045
  (5)記号の第二分類:<一回的な出来事>記号と<規則・タイプ>記号  052
  (6)記号論の射程:言及指示と社会行為の一般理論  054
  (7)言語人類学と記号論の起源:新カント主義と近代的合理性   055
  (8)近代、未開の思考、コロニアリズム  069
  (9)言語人類学、アメリカ、内在的批判  072
  (10)アメリカ言語人類学の歴史  073
  (11)言語人類学の社会史:思想、社会、歴史  080
 第3節 日本的コンテクスト:民俗学、民族学、人類学、生態人類学、インタラクション学派   088
 第4節 英米的コンテクスト 人類学、言語学、記号論  130
  (1)英国の社会人類学  130
  (2)アメリカ人類学  137
  (3)アメリカ言語学  148
  (4)記号論  153
  (5)パース、ヤコブソン、言語人類学  156
 第5節 本書の構成   163

第2章 現代言語人類学の射程:言語構造から、語用、文化コスモロジー、言説分析まで
(榎本剛士・永井那和と共著)
 第1節 本章への導入、及び、本章の概要  196
 第2節 「コミュニケーション・モデル」と現代言語人類学:社会文化的「出来事」としてのコミュニケーション  201
  (1)情報理論的・サイバネティクス(機械論)的モデル  201
  (2)ロマン・ヤコブソンによる「6機能モデル」  207
  (3)現代言語人類学における「出来事モデル」  219
 第3節 オリゴに投錨されたコミュニケーションの全体:文法からコミュニケーションの此岸、そして彼岸まで  228
  (1)名詞句階層とは?  228
  (2)社会言語空間は、オリゴを中心に、同心円状に拡がっている   239
 第4節 言語人類学的事例研究  243
  (1)名詞句階層から社会指標性へ   243
  (2)欧州諸語のT/V体系の使用の切り替え、さらに呼びかけ行為一般に見るレジスター現象  253
  (3)タイの村の文化コスモロジー:タンバイアの研究に見る、「食う、住む、交わる」の構造的相同性  270
  (4)ミクロコズムとマクロコズム:アイコニズムの中世宇宙   287
  (5)日本近代文学における近代主義的コスモロジー:言説分析を通して   309
 第5節 おわりに  333

第3章 メタ言語学としての史的社会記号論:
社会、教育、言語理論の近現代、あるいは、言語帝国主義と言語ナショナリズムの系譜学
 第1節 導入   344
 第2節 問題設定 言語と言語研究の現在  345
 第3節 メタ言語理論の導入:北アメリカ言語人類学の社会記号論  349
 第4節 近現代の歴史的背景 中世後期から19世紀まで  358
 第5節 音声学、改良運動、自然主義的方法  372
 第6節 英国の機能構造主義と状況的言語教授法(SLT)   383
 第7節 アメリカの新ブルームフィールド主義とオーディオ・リングァリズム  390
 第8節 後期近代と歴史哲学 概要と理論的導入   400
 第9節 後期近代:語用論とコミュニカティヴ・アプローチの現代   405

第4章 記号言語理性批判序説:記号論の「可能性=終焉」のかくも長き不在
 第1節 導入  434
 第2節 記号論の終焉は可能か?   435
 第3節 近代人間学の系譜、あるいは、最後の末人達の文化史  438
 第4節 近代記号論的人間学の基礎論:象徴記号の帝国の憲法=構成原理  452
 第5節 記号言語の牢獄の誕生英語の近代と近代の記号論  457
 第6節 記号論の終焉=可能性の不在、あるいは凍りついた弁証法  469

第5章 意味と出来事:現代記号論の系譜
 第1節 導入  472
 第2節 語用論とは何か?   475
 第3節 意味論的伝統  479
 第4節 社会科学的(語用論的)伝統  488
 第5節 語用論〔Pragmatics〕、プラグマティシズム、実践〔practice〕の社会記号論  496
 第6節 言語人類学の系譜 ボアスの宇宙誌的伝統  505

 あとがき 524
 索引 528


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