[目次]
はじめに 9
序章 変容する言説 ―〈プリミティヴィスム〉と〈プリミティヴィズム〉 17
1 事件としての発見 17
フォーヴによる〈黒人アフリカ美術〉の発見 17
発見をめぐる言説 19
2 〈プリミティヴィズム〉の誕生と発展 25
フライの言説 25
ゴールドウォーターの〈プリミティヴィズム 〉 31
ヴォリンガーの影響 34
ルービンの〈プリミティヴィズム〉 38
3 マチスによるふたつの《ダンス》をめぐる批評の変遷 42
シチューキンのための《ダンス》 42
バーンズのための《ダンス》 44
作品批評におけるふたつの傾向 46
4 結語 47
第1部 フランスにおける〈プリミティヴィスム〉
第1章 世紀の転換期におけるマチスと〈プリミティフ〉なるもの 54
1 マチスの《カルメリーナ》(一九〇三―〇四年) 54
「優雅さに欠けた、はだかのモデル」 54
〈裸体〉に求められた両義性 56
フォーヴたちの裸婦と《カルメリーナ》 59
マチスと母 61
2 モローの《サロメ》にみる女性/母性 63
サロメの表象と原典との違い 63
アルテミス/ディアナ 66
3 醜い女の系譜 68
絵画における醜さという危機 68
セザンヌの影響 71
醜い女としての《青いヌード(ビスクラの思い出)》 73
〈黒人アフリカ〉 76
4 結語 77
第2章 漂泊するアイデンティティ ―ゴーガンの場合 82
1 ブルターニュでのゴーガン 82
ゴーガンと〈プリミティヴィズム〉 82
ブルターニュでの活動 86
ゴーガンをめぐる批評 89
ゴーガンと〈プリミティフ〉なるもの 91
2 アルルでのゴーガンとファン・ゴッホ 94
ファン・ゴッホの〈ジャポニスム〉 94
《坊主としての自画像》と《自画像(レ・ミゼラブル)》 98
ゴーガンとクリムトの装飾性 100
3 プリミティフな世界への旅立ち 104
タヒチへの移住 104
《われわれはどこから来たか、われわれは何者か、われわれはどこに行くのか》 107
4 結語 111
第3章 文化の境界変動 ―フランスにおける〈プリミティヴィスム〉 116
1 〈アール・ネーグル〉の同化 116
〈プリミティヴィスム〉 116
トロカデロ民族誌博物館 117
〈アール・ネーグル〉の登場 119
〈アール・ネーグル〉の浸透 122
2 〈アール・プリミティフ〉の変貌 125
〈アール・ネーグル〉から〈アール・プリミティフ〉へ 125
呼称の変化とその意味 128
3 〈プリミティヴィスム〉におけるパラダイム・シフト 130
〈プリミティフ〉なるものをめぐる異化作用 130
「大地の魔術師」展 134
4 〈プリミティヴィスム〉とは何か 137
アイデンティティ不安 137
三大変革 138
変動し続ける文化の境界 140
5 結語 144
第2部 アメリカ合衆国における〈プリミティヴィズム〉
第1章 ニューヨーク近代美術館と〈二〇世紀モダニズム〉 150
1 MoMAとバー 150
MoMAの誕生 150
バーの提言 152
〈ホワイト・キューブ〉 153
モーレイとバウハウスからの影響 156
教育機関としてのMoMA 158
2 モダン・アートと〈プリミティヴ・アート〉 161
ダーノンコートの登場 161
展示をめぐるダーノンコートの思想 163
ルービンの「二〇世紀美術におけるプリミティヴィズム
―『部族的』なるものと 『モダン』なるものとの親縁性―」展 166
歴史的必然としてのモダン・アート 169
3 結語 172
第2章 アメリカン・アイデンティティと〈プリミティヴィズム〉 177
1 MoMA開設以前のモダン・アートをめぐる状況 177
二〇世紀初頭のアメリカ合衆国 177
フォト=セセッション 179
モダン・アートへの反応 180
291での〈プリミティヴ・アート〉の展示 182
「アーモリー・ショー」 185
2 MoMAの言説を取り巻く環境 189
差異と同一性 189
MoMAの〈プリミティヴィズム〉への批判 191
3 アメリカ的芸術と国際的芸術 194
アメリカン・アイデンティティ 194
芸術と政治 195
MoMAとホイットニー美術館 197
4 結語 200
終章 名づけ得ざるもの 207
ケ・ブランリー美術館 207
名称の変転 209
ケ・ブランリー美術館の展示 211
ポストコロニアルの議論 217
可能性と疑問 220
「接触領域」としての美術館 222
あとがき 229
索引 1
参考文献 11
図版出典 20 |