[目次]
地図 xiv
凡例 xviii
写真 001
序章 015
0.1 はじめに 015
0.2 新自由主義・社会概念・社会分化 017
0.2.1 思惟のカーテン 017
0.2.2 ポスト社会主義状況に於ける社会概念と人類学的営為 020
0.3 語り・記述・実在 033
0.4 本書の構成 038
第一部 ソヴィエト史とソヴィエト「文化」 043
第1章 ブリヤーチアの歴史的文脈 045
1.1 ブリヤーチアとは何か 045
1.1.1 共和国成立と連邦制 047
1.1.2 ブリヤート共和国の現状 055
1.1.3 民族について 058
1.2 セレンガ郡とその三つの村 065
1.2.1 郡の構造とその民族構成 065
1.2.2 トホイ(ザグスタイ) 068
1.2.3 ズルガン=デベ(ノヨホン) 075
1.2.4 ヌル=トゥフム(ウブル=ゾコイ) 079
第2章 氏族からコルホーズへ──作業仮説による記述 085
2.1 セレンガ・ブリヤート人の氏族 085
2.1.1 前革命期 085
2.1.2 20世紀後半の氏族構成 090
2.1.2.1 ザグスタイ 091
2.1.2.2 ノヨホン 092
2.1.2.3 ウブル=ゾコイ 093
2.2 ソヴィエト型村落の形成 095
2.2.1 社会的計画・開発・集団主義 095
2.2.2 ザグスタイ 102
2.2.3 ノヨホン 105
2.2.4 ウブル=ゾコイ 110
第3章 ソヴィエト「文化」の建設 115
3.1 民族文化の連邦制 115
3.1.1 スターリン・テーゼ 115
3.1.2 ブリヤート「民族」学の形成へ 118
3.2 「文化」のソヴィエト的実践 121
3.2.1 建設されるものとしての「文化」 121
3.2.1.1 「文化」の理念 121
3.2.1.2 「文化」諸機関 123
3.2.1.3 「文化」の実践の諸形態──ソヴィエト初期の識字教育とその後 128
3.2.2 ソヴィエト儀礼大系 132
3.3 小結 144
第二部 集団範疇と民族的知識の民族誌 147
第4章 集団範疇の諸審級──民族と共同性について 149
4.1 理論的照準 149
4.1.1 説明の術語としての民族 151
4.1.2 民族「問題」の発生 153
4.1.3 共同性概念と民族概念 155
4.2 対モンゴル人観 159
4.2.1 何と自称するか 159
4.2.2 背景 162
4.3 民族範疇 164
4.3.1 即自的なものとしての民族 165
4.3.2 民族への分類 167
4.4 西/東区分 171
4.4.1 「ロシア化」と「文化」 171
4.4.2 ウラン=ウデに於けるtailgan儀礼 174
4.4.3 婚姻についての覚書 177
4.5 「文化」の語りとソヴィエト的定義 181
4.5.1 導入的考察 181
4.5.2 術語「文化」「文化的」の用法 184
4.5.3 小結 188
4.6 共同性の振動 192
4.6.1 ポスト・ソ連に於ける少数派意識と準拠枠 192
4.6.2 共同性の社会哲学──Chingis Khaan崇拝とその含意 201
4.7 共同性表象の蹉跌──新生児の命名をめぐって 205
4.7.1 命名の民族的規準 205
4.7.2 言説と実在との距離 208
4.8 結語 214
4.8.1 共同性の範囲と民族とのずれ 214
4.8.2 共同性と準拠範疇,及びその変容 217
4.8.3 民族の環境について 220
4.8.4 言説の主語の一つとしての民族範疇 225
4.8.5 民族分析の諸基準 228
第5章 民族の断片化──言語変種・親族名称・「多」言語状況 231
5.1 言語変種と親族名称 231
5.1.1 前提の再考 231
5.1.2 ブリヤート語の変種について 234
5.1.4 実際の名称使用と呼称 250
5.1.5 中間的議論 256
5.2 「多」言語状況と民族意識の相関性 259
5.2.1 言語と民族 259
5.2.2 言語は幾つあるのか 262
5.2.2.1 ブリヤート語とロシア語のダイグロシア 262
5.2.2.2 ブリヤート語とロシア語のコードスィッチ 267
5.2.2.3 住民の「ブリヤート語」の解釈 272
5.2.3 考察 276
5.2.3.1 言葉共同体概念の問題 277
5.2.3.2 民族言語イデオロギーと言語行為 281
第6章 転換する環境に於ける経済と社会 287
6.1 議論の枠組 288
6.1.1 集団主義という解釈子について 288
6.1.2 「文化」人類学の批判的検討 292
6.1.3 作業仮説 296
6.1.4 私的部門の所有形態 297
6.2 コルホーズの再編 299
6.2.1 民営化の開始 299
6.2.2 コルホーズと私的部門のバランスの変化 310
6.2.3 コルホーズの経済外的機能 317
6.3 「コルホーズ社会」の構造変容 323
6.3.1 中間考察 323
6.3.2 フェルメルと公共性 325
6.4 結語 332
6.4.1 コルホーズと私的領域の構造変容 333
6.4.2 公共性・批判理論・経済人類学 341
6.4.2.1 公共性という問い 341
6.4.2.2 批判理論としての経済人類学に寄せて 346
第7章 oboo儀礼とその言説環境 351
7.1 oboo儀礼の現在 351
7.1.1 「宗教復興」の文脈 351
7.1.2 oboo 355
7.1.3 yekhe oboo 362
7.1.4 氏族・親族oboo 369
7.2 宗教施設の復興と定型的語り 371
7.2.1 宗教施設の復興 371
7.2.1.1 寺院と祈祷堂 371
7.2.1.2 suburgan 375
7.2.1.3 yekhe khuralと arshaan 376
7.2.2 仏教とシャーマニズムについてのある解釈をめぐって 378
7.3 議論 381
7.3.1 予備的考察 381
7.3.2 儀礼と言説 386
7.3.2.1 yekhe oboo儀礼とtailgan儀礼との比較 386
7.3.2.2 語りの偏差 392
7.3.2.3 語られることと語られないことの間 398
7.4 結語 413
第8章 学校教育と民族的知識の社会的循環 417
8.1 新ロシアに於ける教育の多元主義 420
8.1.1 ポスト・ソ連の制度変化 420
8.1.2 ブリヤーチアの「民族化」する学校教育 423
8.1.2.1 セレンガ郡の学校の現状とカリキュラム 423
8.1.2.2 教育の文脈に於ける民族語の理解 433
8.1.2.3 学校の現場にて 436
8.2 集団行事を通じた民族的知識の表出 440
8.2.1 予備的考察──知識の社会的布置について 440
8.2.2 学校の集団行事 444
8.2.3 民族教育の工具類──書籍とファイル 447
8.3 郷土研究の文脈 454
8.3.1 郷土研究の概念とその内容 454
8.3.2 「私の故郷」キャンペーン──“民族学者になろう” 456
8.3.3 学校教育で論じられる氏族と民族 461
8.4 中間的考察 463
8.5 授業に於ける集団範疇 468
8.5.1 授業「ブリヤーチア史」──「氏族」について 469
8.5.2 授業「倫理」──言語とug garbalについて 475
8.6 学校の外で 494
8.6.1 氏族への言及・準拠 495
8.6.1.1 日常会話の中で 495
8.6.1.2 1998年国会議員選 500
8.6.2 準拠の諸相と情報の公共性 511
8.6.2.1 父系出自分節-tanの名称の問題 511
8.6.2.2 婚礼の参加に見られる集団範疇の準拠と実践 514
8.6.2.3 活字メディアでの情報量と知識の偏在 521
8.7 結語 534
8.7.1 知識受容という営みの二重性 534
8.7.2 集団範疇の解釈子の変容 540
8.7.3 民族的知識の公共性と私事性 550
結語 555
9.1 民族誌について 555
9.2 社会と探求について──自由主義からプラグマティズムへ 560 補遺 567
A フィールドワークについて 568
B イルクーツク州での村落形成と氏族の事例 575
C ブリヤート共和国に於ける民族政治の度合い 577
C.1 民族関係について──政治と文化 577
C.2 絵図事件──政治と宗教 585
C.3 1998年大統領選の分析──政治と民族 592
D エラヴナ郡のoboo伝承に見るラマとシャーマン 601
E ヌル=トゥフムでの子供oboo 604
F ブリヤート民族教育学に関する覚書──M・Vasil’evaの著作を読む 606
F.1 はじめに 606
F.2 Vasil’eva『ブリヤート民族教育学』を読む 606
F.2.1 著者について 606
F.2.2 構成と民族教育学という術語について 607
F.2.3 データと問題意識 609
F.2.4 民族教育の中身 610
F.2.5 伝統と儀礼との関係 611
F.2.6 理想的人間像 612
F.3 結語に代えて 614
G サハ=ヤクーチアに於ける民族教育の理念──モデルの一つとして 617
H ブリアーチアの文書館と出版動向概観 621
H.1 文書館紹介 621
H.2 ロシアに於ける近年のブリヤート研究:文献改題 623
I 移行期社会の解釈から諸概念の再構成へ──ユーラシア社会人類学研究の観察 628
I.1 国家と民族文化 630
I.1.1 文化と政策の間 631
I.1.2 宗教と儀礼 633
I.2 農村の社会構造・脱集団化・所有 635
I.3 生態人類学・学校教育・発話データ 638
I.3.1 トナカイ飼育 638
I.3.2 「民族化」する学校 640
I.3.3 発話をデータにした民族誌 641
I.4 シンボルとしてのヨーロッパとナショナリズム 642
I.5 市民社会をめぐって 644
I.6 終わりに 647
参考資料 651
後書き 710 |