[目次]
はじめに 11
序章 問題の日常的忘却としての「NIMBY(Not In My Back Yard)」を中心に 29
第1部 人文・社会科学の政治経済学序説
第1章 知の序列──学術の政治経済学序説 53
1.「職業の貴賎」と「学術の序列」 53
1.1.「職業の貴賎」と社会学の階級階層論 53
1.2.自己省察の対象としての「学術の序列」 55
2.「学術の序列」の基本構造 57
2.1.学術の諸領域の格差 57
2.2.スポーツとの比較 61
3.「学術の序列」の社会的基盤 62
3.1.テクノクラシーにとっての学術知 63
3.2.大衆的権威主義 67
3.3.「みせびらかしの消費」としての学術 74
4.世俗的価値の反転としてのアカデミズム 77
4.1.非実学=精神的貴族の証明としての「哲学」 78
4.2.身体蔑視の価値観 81
5.おわりに 84
第2章 社会科学の射程=境界線・再考──狭義の社会科学と広義の社会科学 85
1.はじめに 85
2.人文・社会・自然という領域の実態 86
3.言語科学のばあいを参考に 90
4.狭義の社会科学と広義の社会科学をかんがえる 97
5.予算獲得競争といった次元での政治労働をこえて 100
6.おわりに 102
第3章 科学の対象としての文化・再考──文化の社会学序説 105
1.研究対象としての「文化」 105
2.「下位文化」「大衆文化」の再検討 109
3.「生活文化」がてらしだす「文化」概念 114
4.科学的対象たりえる「文化」の諸相 118
5.おわりに 122
第2部 ことばの政治経済学──疑似科学=イデオロギー装置としての言語論
第4章 言語研究者の本質主義──近年の俗流言語論点描 1 131
1.はじめに:俗流言語論の存在基盤 131
2.日本語特殊論1:「漢字不可欠論」の新傾向について 133
3.日本語特殊論2:「カタカナ」語論をめぐって 136
4.専門家支配の追認=無自覚な偽善としての「いいかえ」 141
5.おわりに 144
第5章 漢字依存と英語依存の病理──近年の俗流言語論点描 2 147
1.はじめに 147
2.近年の漢字表記論点描:いわゆる「人名用漢字」をめぐる騒動を中心に 149
2.1.「人名用漢字拡大案」騒動 149
2.2.対「中国」の文脈での漢字表記 154
2.3.「日本事情」系(?)の漢字論 155
2.4.脳科学系の言語教育論 159
3.近年の英語教育論の動向点描:早期教育の是非/いわゆる国際化/表記論など 162
4.そのほか 164
5.おわりに 165
第6章 日本語特殊論をつらぬく論理構造──近年の俗流言語論点描 3 167
1.はじめに 167
2.表記体系の「特異性」論:3種類のまぜがき表記体系を中心に 170
2.1.「社会的事実」としての「3種類のまぜがき」の自明性 170
2.2.知的反動としての日本語表記特異論 171
2.3.漢字表記混入による、はなしことば体系への影響の検討 173
2.4.盲人など、非識字層の言語意識 177
3.「日本の美の象徴」としての「敬語」 178
3.1.あらたな本質主義=知的反動としての1990年代 178
3.2.特殊性/美化/有用性 181
3.3.権力/親疎関係と敬語 184
3.4.「フェミニズム言語理論」批判という知的反動 186
4.おわりに 192
第7章 辞書の政治社会学序説──近年の俗流言語論点描 4 195
1.はじめに 195
2.安田敏朗『辞書の政治学』をもとに 196
2.1.理念としての記述主義と現実としての規範主義 196
2.2.『問題な日本語』の提起する問題群と提起自体の問題性 205
2.2.1.表記法および「よみ」の並存状況 206
2.2.2.転化問題についての説明原理 210
3.教養主義と権威主義のたそがれ 215
第8章 日本語ナショナリズムの典型としての漢字論──近年の俗流言語論点描 5 221
1.はじめに 221
2.固有名詞表記および同音対立をめぐる漢字不可欠論 223
2.1.「苗字」など固有名詞表記の合理化論 223
2.2.「オトよりも表記が本質」とする議論1:伝統主義にたつ書家のモジ論 229
2.3.「オトよりも表記が本質」とする議論2:地名の漢字表記擁護 237
3.現状/前史の合理化イデオロギーの政治的意義 241
4.おわりに:疑似科学としての日本語論をこえて 245
第9章 公教育における第二言語学習の選択権──言語権とエスペラント履修 249
1.はじめに 249
2.第一言語以外をまなばせる公教育空間の社会的機能 250
3.「言語権」からみた、公教育における第一言語/第二言語 254
4.生徒/教員の言語権覚醒の媒介項としてのエスペラント:あらたな言語権の確立 258
5.おわりに 266
第3部 配慮と分離の政治経済学
第10章 新憲法=安保体制における受苦圏/「受益」圏の分離・固定化としての琉日戦後史
──「復帰」をはさむ、2つの4半世紀に貫徹する「1国2制度」 273
1.はじめに 273
2.「施政権返還」(1972年)=《ふしめ》によってわけられる2つの4半世紀 274
3. 4半世紀「新憲法」のソトにあった琉球列島への「本土」のまなざし 280
4.「新憲法」のもとにはいった琉球列島の4半世紀と「本土」のまなざし 287
5.駐留軍用地特別措置法「改正」の意味再考 294
第10章補論 日本国憲法下における沖縄人の地位
──
代理署名拒否訴訟「沖縄県第三準備書面」を素材にした日本国憲法再読 303
1.はじめに 303
2.背理法により、「沖縄人を日本人にふくめない」現状を論証する 305
3.「違憲状態」をのりこえるために 313
第11章 イデオロギー装置としての戸籍──戦後沖縄にみる戸籍制度周辺の諸矛盾を中心に 317
1.はじめに:日本の戸籍制度の特異性 317
2.施政権返還後の、いわゆる無国籍児の事例をめぐって 322
2.1.「集団無責任」体制としての実務家集団 322
2.2.戸籍簿と住民登録の癒着 326
3.沖縄戦による「滅失戸籍」再製がうきぼりにするもの 333
3.1.「臨時戸籍」の位置づけ:照射する官僚主義=一元性至上主義 333
3.2.通称ほか個人名の共存状態 337
4.おわりに 344
第12章 障がい者文化の社会学的意味 347
1.マイナーな知識としての障がい者文化 347
2.障がいゆえの文化と社会的文脈ゆえの文化 350
2.1.障がいと技術革新 350
2.2.多数派社会による規定 351
2.3.多数派にとっての「常識」への妥協 352
2.4.障がい者文化の自立性と差別意識 355
3.障がい者の多様性とネットワーク 356
3.1.聴覚障がい者のなかの異質性 356
3.2.視覚障がい者のなかの多様性 357
3.3.身体障がいの実態のバラつき 358
3.4.障がいごとのグループ/ネットワークの差異 359
4.文化の維持と多数派社会 361
4.1.家族ほか地域社会の障がい者文化への影響 361
4.2.盲人/聾者にとっての近代公教育の意義 362
4.3.全身性障がいにとっての収容施設の意義 365
4.4.障がい者文化の再生産と多数派の視線 365
5.文化的アイデンティティと、ほかの障がいへの差別意識 367
5.1.病理学的「障がい」概念の二重の基準 367
5.2.被差別存在としての共通性と連帯意識 368
6.障がい者文化に社会学がとりくむ意義 369
6.1.すぐとなりに共存する異文化としての「障がい者文化」の発見 369
6.2.当事者による理論化をうながす意義 371
おわりに 373
参照文献 377 |