[新装版]「同化」の同床異夢
日本統治下台湾の国語教育史再考 

[著者] 陳培豊

「同化」政策の柱とされた国語(日本語)教育を、台湾人はどのように受けとめていたのか。
近代化への希求と支配への抵抗が交錯するなかでの「同化」をめぐる双方の思惑とその差異を、日台両近現代史の対話を通じて明らかにし、台湾近代化の諸問題を問い直す。台湾現代史の構築へ向けた新たな試み。

定価=本体 5,000円+税
2010年8月31日/A5判上製/388頁/ISBN978-4-88303-275-4


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[目次]

第1章 序論 9
 1 研究のモチーフ 10
 2 問題の提起――植民地における先進国なみの就学率 12
 3 先行研究の検討 18
 4 本論文の仮説及び研究視座 23
 5 論文の構成 32

第2章 “民族の中へ”、そして“文明の中へ”――伊沢修二と草創期の国語教育 35
 1 「植民地に非ず」の台湾統治構想――「同化」教育と伊沢修二 36
 2 「一視同仁」の“民族への同化”――伊沢修二の国語教育構想 43
 3 「混和主義」と二つの「同化」の推進 50
 4 「混和主義」の終焉と「一視同仁」の変貌――伊沢修二非職後の国語教育 55

第3章 “民族の外へ”・“文明の中へ”――後藤新平、持地六三郎の教育構想 65
 1 新たな統治方針の開始と頓挫 67
 2 国語教育に関する後藤の構想――本音と建前 73
 3 新たな「同化」論理の登場 79
 4 “民族の外へ”・“文明の中へ”――持地六三郎の教育構想 84
 5 「植民地教育」への転換とその結果 90

第4章 “文明の中へ”・“文明の中へ”――国語教育の草創期における台湾人の受容態度 99
 1 明治期、「同化」教育に対する台湾人の受容 100
 2 「同化」教育を受容する諸要因 107
 3 “文明への同化”を積極的に受容する台湾人 114
 4 統治者との同床異夢――「文明紳士」李春生の思想 121
 5 「文明」を求める協力者の脅威 132

第5章 “文明の中へ”から“民族の中へ”――大正期、台湾の国語教育 141
 1 大正期を迎えた台湾の国語教育 142
 2 幻の「台湾版教育勅語」に見る「同化」教育方針の転換 150
 3 新たな「同化」教育構想の実践 156
 4 「普及の抑制」から「普及による抑制」へ――「同化」教育の転換 165
 5 台湾教育令の制定及び改定 172
 6 新たに構築された「同化」統治の態様 184

第6章 “文明の中へ”そして“(日本)民族の外へ”――「同化」教育に対する台湾人知識人の抵抗 193
 1 旧世代の知識人と二つの「同化」――林献堂 195
 2 新世代台湾知識人の課題――二つの「同化」に対抗する言語の創出 202
 3 台湾における白話文普及運動の意義―「同化」統治体制への挑戦 211
 4 蔡培火の台湾語ローマ字化運動―国語イデオロギーへの実践的批判 217
 5 台湾白話字運動に対する統治者の弾圧から見た台湾統治の構図 227
 6 “文明の中へ”に囚われた一連の言語改革運動の限界 234
 付記 台湾話文について 248

第7章 “民族の中へ”、さらに“民族の中へ”――昭和期の国語教育 253
 1 国語普及運動の実態 254
 2 昭和期の国語普及運動と国語醇正運動 260
 3 「一視同仁」の具現、義務教育――“民族の中へ”の完遂 269
 4 皇民化運動の中の「同化」と台湾人 277

8章 結論 293
 1 明治期、台湾統治に現れた「同化」の系譜 295
 2 「受容による抵抗」がもたらした「同化」の変容 297
 3 “文明への同化”に対する強い志向 300
 4 二つの「同化」と台湾の近現代 305
 5 今後の課題 310

注 313
簡易年表 351
参考文献 361
あとがき 377
人名索引 381


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