ドラマトゥルク
舞台芸術を進化/深化させる者

[著者]平田栄一朗

ブレヒトもピナ・バウシュも優れたドラマトゥルクとともに作品を生み出した。
舞台芸術制作の創造性をひろげるキーパーソン「ドラマトゥルク」の活躍と可能性を考える。

近年日本でも「ドラマトゥルク」を名乗る者が現れている。しかし演劇・ダンス界の当事者すら、まだその本当の役割を知らない。ヨーロッパの舞台芸術制作の現場では必須の存在となっている彼らは演出家でも脚本家でも役者でもない特別な位置に立ち、作品にかかわる全ての者・事をつなぎあわせ、より高い次元に導くための知的で人間的な機能を果たしている。ドラマトゥルクの知られざる歴史と役割を初めて詳しく紹介し、日本における導入の可能性についても考える。

[書評]
『週間読書人』2011年2月4日
《日本経済新聞》2011年2月6日
紀伊國屋・書評空間「〈劇評家の作業日誌〉(55)」、2011年5月2日、評者: 西堂行人氏→記事を読む

[受賞]
第16回AICT演劇評論賞

定価=本体 2,800円+税
2010年11月25日A5判上製/271頁/ISBN978-4-88303-278-5


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[目次]

まえがき 7

第1章 概要 13
  はじめに 14
  消失の芸 16
  In Betweenの創造性・パートナー・外側の目 19
  実践的ドラマトゥルギー 23
  劇場での位置づけ 28
  公共劇場の文化的・批判的役割 34
  劇場における三つのドラマトゥルギー 38
      演目ドラマトゥルギー 39
      制作ドラマトゥルギー 42
      観客ドラマトゥルギー 43
  ジレンマ 45
  劇場以外のドラマトゥルク 48

第2章 ドラマトゥルクの歴史 51
  はじめに――アクチュアルな歴史 52
  先駆者レッシング 53
  劇場改革とドラマトゥルクの必要性 55
  初期の成功例 58
  挫折の連続 60
  教養施設と公共劇場への転換 63
  演出家の台頭 66
  二つの影 68
  ベルリナー・アンサンブルの集団作業 72
  ベルリン・シャウビューネ 75
  可能性の拡大と新たな困難 79

第3章 制作ドラマトゥルギー 85
  はじめに 86
  基本1. フィードバック 88
  基本2. 外部からの問いかけ 92
  基本3. コンテクストの見極め 96
  基本4. 「ポストドラマ演劇」のドラマトゥルギー 101
  基本5. ダンスの制作ドラマトゥルギー 107
  企画立案 111
  リハーサルの準備 118
  リハーサル 123
  ゲネプロ 130

第4章 観客ドラマトゥルギー 131
  はじめに――理想と現実 132
  プログラムノート 135
  トーク 141
  演劇教育 145
  ウタ・プラ――テのワークショップ 153

第5章 危機 対応 養成 167
  はじめに 168
  ドラマトゥルクの危機=公共劇場・舞台芸術の危機 170
  ドラマトゥルギー協会の危機対応 181
  大学のドラマトゥルク養成 189
  危機からの脱出 198

第6章 ドラマトゥルクと日本演劇 201
  はじめに 202
  ドラマトゥルク導入の不可能性 204
  イギリス・アメリカ演劇界の難しい状況 208
  現代日本演劇の諸問題と逆転の発想 215
  提案1. 劇場ドラマトゥルク 218
  利点――質の向上・演劇文化の発展・地域の活性化 231
  提案2. フリーランス・ドラマトゥルク 235
  ドラマトゥルクの養成 240
  締めくくりとして――日本とドイツの公共劇場擁護論 243

注  249
主な参考文献 262
あとがき 267


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