[目次]
はしがき 001
第1部 言語意識を照らし出す
第1章 言語意識とアコモデーション
──「外国人」「車いす使用者」の視座からみた「過剰適応」(テーヤ・オストハイダ)
はじめに 009
1. 言語外的条件による過剰適応 010
1.1. 「過剰適応」とは 010
1.2. 先行研究 011
1.2.1. 高齢者とのコミュニケーションに関して 011
1.2.2. 外国人とのコミュニケーションに関して 013
1.2.3. 身体障害者とのコミュニケーションに関して 015
2. 《フィールド・ワークT》 外国人とのコミュニケーション 017
2.1. 本研究について 017
2.2. 外国人の経験と意識 017
2.3. 実際の会 話 に見られる過剰適応 020
2.3.1. 第三者返答 020
2.3.2. 理解確認の過剰使用 023
2.4. 日本人の経験と意識 024
3. 《フィールド・ワークU》 車いす使用者とのコミュニケーション 027
3.1. 本研究について 027
3.2. 車いす使用者の経験と意識 027
3.2.1. 「丁寧な弱者扱い」 027
3.2.2. 「理解不足のため接触を回避」 028
3.2.3. 「特に丁寧か無視」 029
3.2.4. 「目線の違い」 029
3.3. 車いす使用者に対する第三者返答 030
3.3.1. 意識調査から 030
3.3.2. 実験調査から 032
おわりに 033
参考文献 034
第2章 漢字圏における受動的多言語使用(ルドルフ・ライネルト)
1. はじめに:受動的多言語使用とは 037
2. 本稿の目的、構成内容、背景 038
2.1. 目的 038
2.2. 本稿の構成 039
2.3. 背景 039
2.4. 相互理解度に関する先行文献 040
2.5. 相互理解度にプラスに働く要因 041
3. 受動的多言語使用の研究方法と漢字圏への応用 043
3.1. 言語間の距離 043
3.2. 言語間の距離、四つの技能別の考察 044
3.3. ある言語、その母国語 話 者に対する態度( language attitude) 049
3.4. 言語接触 049
4. 受動的多言語使用の漢字圏におけるパイロット調査 050
4.1. 漢字による相互理解の可能性 050
4.2. パイロット調査 050
4.3. 結果 053
5. 実験結果から理 論 へのフィードバック 054
6. おわりに 055
参考文献 056 第3章 私たちはどのように言語を管理するのか(木村護郎クリストフ)
1. はじめに 061
2. 言語政策研究の限界と言語管理の理 論 062
3. 言語管理モデルの再検討 070
3.1. 言語イデオロギー 071
3.2. 事後評価 074
3.3. 管理過程の前後 077
4. 管理過程の再検討 ― 職場における多言語管理の事例から 078
4.1. 「事件」の推移 080
4.2. 言語管理の過程 081
5. 展望 085
参考文献 086
第4章 言語学と言語意識──日本にはいくつの言語があるか(パトリック・ハインリッヒ)
1. はじめに 091
2. 文化的カテゴリーとしての言語 092
3. 隔絶言語と造成言語 095
3.1. 造成言語、隔絶言語、そして臨方言化された言語変種 096
3.2. 言語の自立性と他律性 099
4. 日本の隔絶言語と造成言語 102
5. なぜ隔絶言語の概念は必要なのか 105
参考文献 108
第5章 「第2言語」から見たドイツと日本の言語意識──移民に対する言語教育を中心に(平高史也)
1. はじめに 113
2. DaZ と JSL をめぐる習得研究 115
2.1. DaZ の習得研究 115
2.2. JSL の習得研究 116
3. DaZ と JSL をめぐる教育 118
3.1. DaZ 教育 118
3.2. JSL 教育 121
4. DaZ と JSL をめぐる政策と理念 123
4.1. DaZ をめぐる政策と理念 123
4.2. JSL をめぐる政策と理念 127
5. おわりに 130
参考文献・サイト 133
第2部 言語意識をさかのぼる
第6章 言語の隠蔽機能──言語意識と批判的談話分析について(山下仁)
はじめに 139
1. 呼称表現研究と隠蔽機能 140
1.1. 呼称表現に関するエピソード 140
1.2. ブラウンとギルマンの研究 141
1.3. アモンによる呼称表現の隠蔽機能 142
1.4. 障害者か障碍者か 145
2. 言語意識について 147
2.1. 日本における言語意識 147
2.2. 気づきとしての言語意識 150
2.3. 批判的談 話 分析と言語意識 153
3. 「方言コンプレックス」の隠蔽機能 156
3.1. 国語のおはなし 156
3.2. 『〈国語〉と〈方言〉のあいだ』 158
3.3. 方言コンプレックス 161
おわりに 162
参考文献 165
第7章 国語国字問題のなかのドイツ語史──なぜドイツの言語事情が参照されたのか(高田博行)
1. 「フィロロジーノ説ヲ頻リニ」した文化言語化計画 167
2. 「文字を更へたためし」 ― ラテン文字とドイツ文字 170
3. 言語は「精神的血液なり」 ― フンボルトとシュタインタール 172
4. 「人工的彫琢を蒙りて」、「かくして有力なる独乙の標準語に定りぬ」 176
5. 「猶一層簡単に之を為すべし」 ― 正書法と仮名遣い 179
5.1. プロシア学校正書法(1880年) 179
5.2. 臨時仮名遣調査委員会( 1908 [明治 41 ]年) 181
5.3. 臨時国語調査会( 1924-25 [大正 13-14 ]年) 183
6. 「長くてもわかりよい自国語の方を、独逸国民は選んだのである」
― 国語純化 185
6.1. 「漢語の覇絆を脱する覚悟」 185
6.2. 「さきごろヒットラーはその非をたしなめた」 188
7. 結び 194
一次資料 194
二次文献 195
第8章 言語学史に占めるフンボルトの位置──ガーベレンツ、コセリウを参照して(渡辺学)
0. はじめに:「言語意識」のありよう ― フンボルトとガーベレンツ 197
1. 十九世紀における言語学者フンボルト像 200
1.1. ベンファイ 200
1.2. シュタインタール 202
1.3. シュライヒャー 204
1.4. ホイットニー 206
2. 現代ドイツの言語哲学、言語学史におけるフンボルト 210
3. 伝統・継承性と断絶・革新に照らしたフンボルト、あるいは言語学の修史学(歴史叙述)の特性 214
参考文献 218
第9章 人々の集まり・相互行為・認知──ことばと共有性(丸井一郎)
1. 導入 223
2. 生活世界・生活形式・相互行為 226
2.1. 生活世界と生活形式 226
2.2. 言語相互行為の定位 230
3. 発生的視点から 235
3.1. 共有性という基礎構造:個体発生から 235
3.2. 共同性と「人々の集まり」:系統発生から 241
4. まとめ 246
引用および参考文献(邦文・欧文) 248
第10章 言語意識と文化分析の言語学 Sprachbewusstsein und kulturanalytische Linguistik
(ヨアヒム・シャルロート[渡辺学:訳])
1. 言語態度、言語反省、言語イデオロギーと言語意識 251
2. 言語態度 252
3. 言語省察 255
4. 言語イデオロギー 256
5. 言語意識 257
5.1. 一般言語学における言語意識の概念 258
5.2. 社会言語学における言語意識の概念 259
〈補論〉 知識の社会学 260
6. 結 論 :言語意識と文化分析的言語学 269
文献一覧 274
あとがき 279
執筆者紹介 280 |