[目次]
序章 「多言語社会」という幻想 1
1 はじめに――解釈としての「多言語社会」 1
2 帝国日本の多言語性認識 6
3 敗戦後の多言語性認識 8
4 近年の「多言語社会」論 11
5 移民国家論の排他性と日本語――語られない「多言語社会」 14
6 「多言語社会」になぜ共通言語が必要なのか――「共生」という視点 19
7 おわりに 26
注 29
第1章 多言語化する日本社会 35
1 はじめに――『事典 日本の多言語社会』概要 35
2 日本の多言語化をどうとらえるか 37
2-1 ふたつの軸 37
2-2 軸内の齟齬 38
2-3 軸間の齟齬――多言語化の評価をめぐって 41
3 おわりにかえて――歴史的視点・革新的視点を 47
注 51
第2章 言語政策史研究再考 53
1 はじめに 53
2 敗戦までの「日本の言語政策」の展開――「帝国日本の言語政策」として 56
2-1 多岐にわたる地域と政策主体 56
2-2 調整のない政策主体――国語対策協議会から文部省国語課まで 57
2-3 あとづけされる政策理念 60
3 敗戦後の「日本の言語政策」の展開 62
4 おわりに――多言語社会を前提とした「日本の言語政策」 66
注 70
第3章 多言語社会と「国語」――「国語」とは何か 73
1 はじめに 73
2 構築される「国語」と国語学 77
2-1 共時的構築 77
2-2 通時的構築 82
2-3 「国語」の構築がもつ意味 83
2-4 「国語」の構築と国語学 86
3 「国語」・「日本語」と帝国日本 89
4 脱帝国と「国語」 92
5 複製される「国語」 94
6 回帰する「国語」 96
6-1 「国語」の相対化と絶対化 96
6-2 英語教育よりも国語教育をという論調 98
7 おわりに――ことばはだれのものか 102
注 104
第4章 多言語社会という政治――国語審議会・文化審議会、そして教科日本語 107
1 はじめに 107
2 改革・統制される「国語」――国語審議会:一九三四― 一九六一 109
2-1 「将来の文化の創造」のための「国語」 109
2-2 共時性と通時性と――「二つの使命」について 111
2-3 改革と革命のあいだ 112
3 目安としての「国語」・倫理化する審議会――国語審議会:一九六一―二〇〇一 114
4 格差社会を隠蔽する「国語」――文化審議会国語分科会:二〇〇一― 117
5 おわりに――教科「日本語」をめぐって 121
注 127
第5章 自伝と文体をめぐって 133
1 自伝・日本・近代 133
2 自伝・翻訳・伝記 141
3 自伝・文体・メディア 147
注 151
第6章 「文体ノ改善」の行方――日本語口語文体の戦中・戦後 157
1 はじめに 157
2 官制による国語審議会と文体 158
2-1 諮問について 158
2-2 「漢字ノ調査ニ関スル件」と「仮名遣ノ改定ニ関スル件」 161
3 国語愛護同盟・国語協会・国語審議会 164
3-1 国語協会と国語審議会 164
3-2 国語愛護同盟と「文体ノ改善」 167
3-3 権威づけとしての天皇 168
4 戦争と文体 169
4-1 「大東亜建設に際し国語国策の確立につき建議」 169
4-2 文化語と生活語 170
4-3 話しことばへの統制 173
5 敗戦と文体 175
5-1 継続する国語改良 175
5-2 敗戦と詔書 177
5-3 憲法の口語化――翻訳文体について 179
6 おわりに――政権与党の文体意識 185
注 188
第7章 敗戦後日本語研究への一視角――国立国語研究所設置をめぐる二、三のことども 195
1 はじめに 195
2 研究所設置にいたる時期区分 196
3 先行研究の問題点からみる本章の論点 198
3-1 GHQとの交渉という視点の欠如 198
3-2 山本有三のみに焦点をあてる論調――複合的要因を 200
4 第一段階での研究所構想――文部省案と「国語合理化」 203
5 第二段階での変化――CI&Eカンファレンス・リポートから 206
6 おわりに――第三段階にふれつつ 218
注 220
第8章 日本語という媒介 231
1 ことばは何を媒介するのか 231
2 「国語」の前提 233
2-1 階層共通語から国民共通語へ――同時代的媒介性の獲得 233
2-2 「方言」のゆくえ――歴史的媒介性の獲得 235
2-3 同時代性と歴史性のあわいのなかで 236
3 「国語」は何を媒介するのか――上田万年の議論を中心に 237
3-1 「精神的血液」としての「国語」 237
3-2 「東洋全体の普通語」としての「国語」 239
3-3 植民地獲得と一体化する「国語」 240
4 植民地「国語」のゆくえ――『国民文学』の議論を中心に 240
4-1 「国語」と「口語」と 240
4-2 還流する「国語」イデオロギー 241
4-3 『国民文学』での議論 243
5 「東亜共通語」という媒介 248
6 連鎖する「国語」 250
注 251
第9章 漢字という媒介 255
1 はじめに――植民地支配と「国語教育」 255
2 漢字を「共有」すること 258
3 口語と植民地 261
4 混乱する漢字音――村上廣之と国語政策論 263
5 おわりに――「台湾語的国語」という視点 269
注 272
第10章 漢字論をめぐって――書評 野村雅昭『漢字の未来 新版』を軸に 277
1 はじめに 277
2 『漢字の未来 新版』の概要 280
3 議論になる点 285
3-1 国語施策 285
3-2 上田万年からの系譜 289
3-3 漢字に投射されるもの 290
3-4 善導の思想 292
4 他の漢字論とならべてみて 294
4-1 「同化」すべき「他者」――山田孝雄・佐藤喜代治・時枝誠記 294
4-2 「災害」としての「他者」――子安宣邦の批判と野村雅昭の反批判 298
4-3 「じやまもの」としての「他者」――津田左右吉 300
4-4 共同歩調論――倉石武四郎・藤堂明保 302
4-5 漢字訓の排除――川田順造 303
4-6 「畸形」論――高島俊男 304
5 おわりに 305
注 308
終章 「群れる」ということ 313
注 319
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