新印象派のプラグマティズム

労働・衛生・医療

[著者]加藤有希子

神経生理学という 19 世紀の最新科学を基盤にした新印象派の「分割主義〈ディヴィジョニスム〉」。色彩の身体的・心理的効果を利用しようとした彼らの実践は芸術創造にとどまらず、日常生活にまで及んだ。スーラ、ピサロ、シニャックら、新印象派の画家たちの、これまで見落とされてきた行為論〈プラグマティズム〉を論証する。

[書評]
『美術の窓』2012年6月号(生活の友社)
《図書新聞》2012年9月1日号、評者:吉田寛氏

定価=本体 4,500円+税
2012年3月30日A5判上製/ 258頁/ISBN978-4-88303- 312-6


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[目次]

  プロローグ 色彩 芸術と生活をつなぐメディア  13

第一章 色彩知覚と神経労働 分割主義と一九世紀神経生理学の倫理  25
   第一節 能動的な知覚 フェリクス・フェネオンの新印象派批評と神経生理学  26
   第二節 「疲労」の管理 補色調和説再考  53
   第三節 神経生理学、その生動する「均衡」倫理  82

第二章 神経生理学の空間 色彩と運動性  97
   第一節 シニャックによる断片表象の戦略的歴史記述  98
   第二節 神経生理学における色彩表象の優位性  112
   第三節 双眼視と色片、「未完」の生命を表象する  122

第三章 新印象派の衛生・医療 その色彩論との交点  135
   第一節 水浴と水療法  137
   第二節 赤と青 色彩による健康管理  151
   第三節 同毒療法の理論と実践  159

  エピローグ 行為する「均衡」 新印象派のプラグマティズムへ  171

   あとがき  181


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