シリーズ「知のまなざし」
コミュニケーション論のまなざし

[著者]小山亘

コミュニケーション観の探究が社会全体を見る鍵となるのは、なぜか?──
「コミュニケーション論のまなざし」は、個人や社会をどのように捉えようとしているのか。社会で言われていること、コミュニケーションを通して為されていることを、この「まなざし」はどのように捉えるのか。どのようにして、コミュニケーションは、単なる情報伝達ではなく、歴史、文化、社会の中で起こる出来事だということを、この「まなざし」は示していくのだろうか。

【電子書籍版もあります】

定価=本体 1,700円+税
2012年4月30日
B6判並製/218頁/ISBN978-4-88303-313-3


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[目次]

1. コミュニケーション論のまなざし 1
  まなざし@ 大学で学ぶということ 1
      高校にはない科目 1
      専門的で総合的 3
      抽象性と具体性/理論と経験 4
      自己理解/自己分析 5
      大学という「自由の空間」の意味 7
  まなざしA コミュニケーション論の地平 11
     学問の出発点 12
      コミュニケーションを通して個人は創られる? 15
      なぜ複数のコミュニケーション観が存在するのか? 19
      自文化中心主義(エスノセントリズム)の危険性 21
      なぜ理論化が必要か? 23
      「養成ギブス」と「多角レンズ」への招待 25
          練習問題 28

2. コミュニケーション論のための言語学の「知の枠組み」
「言語学」を具体例として見る学問の構成のされ方 31
  枠組み@ コミュニケーション論と心理学、メタ語用論、そして言語学へ 31
     視点という問題=社会と心理を結びつける 31
      喧嘩じゃなくて、じゃれあいだよ 33
      じゃれあいが喧嘩に 34
  枠組みA 言語学とは何か:導入 37
     文法と言語使用(語用) 37
      「意味をコード化する形式」 38
      意味41
  枠組みB 語用論とは何か 44
     「意味」?―言及指示的意味と社会指標的意味 45
      コンテクストが分からないと、意味が分からない 48
      語用論と文法のちがい 50
  枠組みC 文化的意味範疇とは何か 53
     社会指標的な意味との結びつき 54
      体系化の強弱と視点 57
  枠組みD 文化的意味範疇とコミュニケーション 59
     プロトタイプ 59
      コンテクスト依存性が高い文化的意味範疇 63
      コンテクスト依存性の高低 65
  枠組みE 語用論の世界:直示(ダイクシス)と視点 67
     「昨日」という言葉の意味は? 68
      オリゴ(origo) 70
      「システム・センテンス」と「テクスト・センテンス」 76
  枠組みF 言語と方言 79
     区別という難問 79
      実際に使われる言葉は、すべて方言と考える 81
      言語構造は、方言的差異の寄せ集めが体系化されたもの 83
      語用共同体(speech community)と言語共同体(linguistic community)85
  枠組みG 言語の全体:コミュニケーション、方言、言語構造、普遍文法 88
     語彙と文法 90
      象徴・指標・類像 92
      指標性がコミュニケーションの基本的なモード 94
      名詞句階層 97
      語用論に投錨された4つの文法範疇 100
  枠組みH 言語構造の構成と言語変化 104
     音素は言語構造の入口 104
      形態統語範疇 106
      言語構造の構成原理 108
      異音 109
      複数の言及指示対象 111
      語用論レベルでの変異が、なぜ語彙部に持ち込まれるのか 113
  枠組みI 言語の全体への〈まなざし〉としての言語学:総括 119
     統合性と象徴性 120
      学術的営為としての言語学 121
          練習問題 124

3. コミュニケーション論の「知の回路」
コミュニケーション・モデルと言語学とをつなぐ 129
  回路@ コミュニケーションの3つのモデル:視点とメタ語用 129
  回路A 情報伝達モデル 131
     なぜ情報伝達モデルは自然に思われるのか 131
      コミュニケーションの6つの要素 133
      接触回路・コードに焦点化したモデル 134
      個人主義的社会観、社会契約論的な思想に基づいたコミュニケーション観 137
      フィードバック 139
  回路B 6機能モデル 141
     6つの要素の6つの機能 141
      表出的機能 142
      動能的機能 143
      交話的機能 143
      言及指示的機能 145
      メタ言語的機能@―メタ語用的機能 146
      メタ言語的機能A―メタ意味論的機能 154
      詩的機能 156
      それぞれの要素が「視点」が据えられる基点となる 158
      範列と連辞 159
  回路C 出来事モデル 162
     文法とコミュニケーション出来事を統合するモデル 163
      この本を読む、というコミュニケーション出来事 165
      出来事モデルのテーゼ 169
      出来事モデルの歴史的背景=コンテクスト 170
  回路D 出来事の視点から見た文法、意味論、語用論:コミュニケーション出来事と普遍文法、再訪 174
     意味論的現象と語用論的現象のつながり 174
      指標性の大小に基づく階層化 176
      オリゴに投錨される言及指示的テクストの生成(レーマ/テーマ) 179
  回路E コミュニケーションと視点:参加者の視点、観察者の視点、相互行為の基点 182
     視点の多様性 182
      間主観的なコミュニケーション・モデル 184
      行為者と分析者の共通性=メタ語用的解釈 186
  回路F コミュニケーションの変容とオリゴ 188
     個人と社会はオリゴを通して結びつく 188
      コミュニケーション空間の分節のされ方 190
  回路G コミュニケーション空間の編成、オリゴの転移、主観と客観 192
  回路H コミュニケーション論の視点/まなざし:結語 195
          練習問題 198

4. 知の枠組みと回路のための15冊 201
   知の枠組みのための10冊 201
   知の回路のための5冊 205


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