色彩からみる近代美術

ゲーテより現代へ

[編者]前田富士男

はじめに色彩ありき――
近代の美術作品において色彩表現はラディカルに追求されたが、その本質への解釈や議論はいまだ尽くされないままだ。捉えがたい色彩、それを「知覚の現象学」から問いなおし、近代美術の理解を刷新する、 26人による研究集成。(色彩考察のための基本資料となる「用語集」「主要研究資料」を所収)

[書評・紹介]
『美術手帖』2013年9月号(美術出版社)
『美術の窓』2013年8月号(生活の友社)

定価=本体 7,000円+税
2013年6月10日A5 判上製/608頁/ISBN978-4-88303-319-5


イメージを拡大

 

[目次]

口絵

I はじめに  9
   近代絵画論の再構築へ――色彩研究の立場から/前田 富士男  11

II 色彩の革命――十九世紀の美術  61
   シュヴルルの色彩論――色彩の同時コントラストの法則とその受容についての一考察/中島 恵  63
   J・M・W・ターナーの色彩研究/加藤 明子  110
   「橙――白――青の男」――ファン・ゴッホの見たフランス・ハルスの色彩/青野 純子  126
   浮世絵の色彩――墨の意味/内藤 正人  138
   絵画の内容としての「気分」と色彩/大木(小田部) 麻利子  152
   アンリの「科学的感性論」とスーラ、シニャック/橋本 まゆ  167

III 色彩への挑戦――二〇世紀における古典的近代  181
  キュビスムと色彩、もう一つの物語/加藤 有希子  183
   マティスの色彩/長井 理佐  204
   モンドリアンにおける「関係」的造形と色彩の位置/福士 理  219
   非物質的絵画への希望――ヴァシリー・カンディンスキーにおける脱物質化と色彩の現れ方/平松 啓央  240
   近代建築と色彩――白い煉瓦壁をめぐって/太田 敬二  259
   色彩と音の響きの感受、あるいは「シンボルの生成」
   ――バウハウス音楽教師ゲルトルート・グルーノウの実践と理論の考察/眞壁 宏幹   274
   ミース・ファン・デル・ローエのガラス建築――光と翳りが織りなす色彩/ 293

IV 色彩のいま――第二次世界大戦後の現代美術  313
   明暗としてのオール・オーヴァー――ジャクソン・ポロックと写真/平野 千枝子  315
   ポップ・アートと色彩/近藤 由紀  328
   ミニマリズムにおける色彩――ドナルド・ジャッドを中心に/水沼 啓和  343
   虹を想い描く――ヨーゼフ・ボイスの色彩論について/三本松 倫代  362
   動きと色彩――イサム・ノグチの環境造形と遊具/寺地 亜衣  378
   一九五〇年代以降の建築と写真における色彩について/保坂 健二朗  392
   メディア芸術試論――インタラクティブアートにおける鑑賞方式と色彩の関係性/脇本 厚司  410

V 色彩のゆくえ――検証の視点  419
   近代テキスタイルと色彩――ヨーロッパの染色史からたどる/石井 美恵  421
   色彩に寄りそって――絵具とヴァルール/松田 千草  441
   作曲パラメータとしての「音色」/藤井 孝一  456
   ウィトゲンシュタイン色彩論の再評価――ゲーテ的自然学の継承者として/粂川 麻里生  467
   パノフスキーの色彩論――『ティツィアーノの諸問題』と「主観的視覚」をめぐって/一條 和彦  480

      資料図
      資料T 用語集  1
      資料U 主要研究資料  37
      索引  74
      あとがき
      著者略歴


HOME