[目次]
序論 研究動向と本研究の位置づけ 7
1 プッサン研究の成立と展開 7
2 美術史的解釈学とプッサン 12
3 本研究の目的と構成 19
第T部 寓意を呼び込む修辞的な技巧
第一章 《幼いピュロス王の救出》 ―詩学と倫理学の交錯をめぐって 27
1 ローマ到着後のプッサン 27
2 古典的な作風への転換 32
3 《幼いピュロス王の救出》の概要 37
4 一六三〇年代前半のプッサンの戦略 40
5 《幼いピュロス王の救出》における構想の発展 52
6 女性群像におけるラファエッロとの競合 56
7 詩学と倫理学の交錯する場 61
第二章 《エルサレム落城》 ―政治的理念の表象 64
1 はじめに 64
2 プッサンの「新しさ」と二点の《サビニの女たちの掠奪》 66
3 第一作の《エルサレム落城》と図像の伝統 79
4 ウィーンの《エルサレム落城》とその特質 85
(1)第一作との相違 85
(2)プッサン独自のモティーフの由来 86
5 政治的理念の表象 89
(1)ティトスの視線 89
(2)織り込まれた政治的寓意 94
6 おわりに 98
第U部 新ストア主義とプッサン
第三章 《マナの収集》 ―織り込まれた新ストア的範例 103
1 はじめに 103
2 図像的伝統における創意 105
(1)A・ヴェネツィアーノ版刻《マナの収集》とその利用 105
(2)「配置」の発見 112
(3)前景の主要モティーフの着想源 115
3 時間表現とペリペテイア 117
(1)王立絵画彫刻アカデミーの討論 117
(2)時間表現 123
(3)ペリペテイアの問題 125
4 記号論的、イコニーク的解釈の試みと問題点 127
(1)テュールマンの記号論的分析 127
(2)イムダールのイコニークの試み 131
5 織り込まれた新ストア主義教訓:剛毅と節制の寓意 135
(1)カイリンク、シュトゥンプフハウスの読解 135
(2) Nec adversis frangitur, nec prosperis aestuat. 137
6 おわりに 140
第四章 《アルカディアの牧人たち》(ルーヴル美術館蔵) ―「知恵」と「恒心」のテーマをめぐって 141
1 《アルカディアの牧人たち》の概要と銘文解釈の問題 141
2 女性像の表情と役割 149
3 「知恵」と「運命」のトポスと「恒心」のテーマ 154
4 おわりに 160
第V部 フロンドの乱の時代における恩寵、運命、知恵
第五章 《エリエゼルとリベカ》 ―象徴的次元の前景化 165
1 ローマへの帰還後のプッサン 165
(1)第二の「七つの秘蹟」に見出される「適切さ」と新しさ 165
(2)パリにおける新しい顧客とプッサン 178
2 《エリエゼルとリベカ》の概要と造形的特質 180
3 排除されたラクダ 184
4 素描からタブローヘ 190
5 「悲劇」へのプロット化と象徴的次元の前景化 196
第六章 「英雄的風景画」の成立と物語画 ―フロンドの乱への応答 198
1 「英雄的風景画」の誕生 198
2 フォキオン伝連作の概要 202
3 「運命のいたずら」 205
4 「真実は時の娘」 ―フォキオン伝連作における語りと寓意 209
5 《ソロモンの審判》における知恵と正義の寓意 213
第七章 《コリオラヌス》 ―戦争と平和の寓意 225
1 はじめに 225
2 図像学的考察と形態の着想源 228
3 コリオラヌスの情念表現 233
4 物語表現、意味構造の特質 238
5 平和と戦争の「コンチェット」 243
6 おわりに 246
第八章 一六五〇年代の聖書物語画における語りと寓意 248
1 《キリストと姦淫の女》―正義の寓意 248
(1)はじめに 248
(2)作品の概要 248
(3)図像的伝統 250
(4)プッサンの特質 253
2 《サフィラの死》―慈愛の寓意 257
(1)作品の概要 257
(2)構図のプロトタイプ 263
(3)借用から創造へ 266
3 《足萎えの男を癒す聖ペトロと聖ヨハネ》―信仰と救済の寓意 269
(1)作品の概要 269
(2) 視覚的な着想源 271
(3) 構図の生成過程 274
(4)おわりに 279
結論 プッサンの物語画の意味構造 281
あとがき 287
注 1
文献目録 27
人名索引 46 |