戦時下のピジン中国語

「協和語」「兵隊支那語」など

[著者]桜井隆

これまで言語研究で取り上げられることのなかった従軍記、回顧録、部隊史などから片々たる記述を拾い、当時の言語接触のあり様や日中語ピジン(「協和語」「兵隊支那御」など)を再構築することを試みる 。

[書評・紹介]
《日経新聞》「文化往来」2015年10月15日
『ことば』36号、現代日本語研究会、2015年、評者:安田敏朗氏

定価=本体 7,500円+税
2015年7月31日A5判上製/592頁/ISBN978-4-88303-361-4


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[目次]

序章 ピジン研究における英語とアカデミズムの桎梏 001
  1 浜松ピジン 001
  2 英語情報の偏重 002
  3 卑俗な文章の軽視 003
  4 本書の立場 003
  5 「満州」 004
  6 戦争・事件等の名称 005
  7 引用の方針 005

第1章 日中語ピジン――「協和語」「兵隊支那語」の源 007
  1 はじめに 007
  2 横浜ことば 008
  3 日清戦争 013
  4 義和団事件 017
  5 日本人の「満州」移住――日露戦争以前 019
  6 日露戦争 020
  7 日露戦争後――関東州・満鉄沿線 029
  8 民間人の日中語ピジン 031
  9 ピジン中国語の誕生と確立 037

第2章 「満洲国」のピジン中国語 039
  1 都市部 039
  2 農村部 062
  3 日本人と接触のない者 075
  4 日中間の使用言語 075
  5 その他の使用相手 078

第3章 「満州」ピジン中国語と「協和語」 081
  1 日本の文献に見る名称 081
  2 「協和語」 090

補章1 「満語カナ」という名称 131
  1 名称の変種 131
  2 戦後の名称のゆれ 136
  3 名称の確定――「満語カナ」 137

補章2 絵葉書資料 139
  1 制作年の推定 139
  2 満語カナ 141
  3 絵の助け――発話場面の情報 142
  4 資料の評価 145
  5 資料の検討 150
  6 研究資料としての可能性 151

第4章 「在満日本語」 152
  1 標準語 152
  2 方言の混交 153
  3 中国語の混入 160
  4 朝鮮語話者の影響 163
  5 「在満日本語」――日本人の共通語 164
  6 女性語 165
  7 中国人向け日本語 169
  8 中国人の日本語 170
  9 文学への影響 173
  10 「在満日本語」への評価 176
  11 国語教育者の批判 178
  12 ピジン言語への嫌悪感 181

補章3 中国語への影響 184
  1 日本語の中国語への混入 184
  2 中国人の共通語 186
  3 中国語文学での使用 186
  4 日本語要素の漢字表記 191

補章4 多言語社会「満州」のさまざまな言語接触 194
  1 朝鮮語 194
  2 モンゴル語 196
  3 ロシア語 197
  4 諸民族の離間政策 201

第5章 「兵隊支那語」 202
  1 「満洲」ピジン中国語の定着 202
  2 兵隊の「支那語」 202
  3 大陸の日本陸軍 203
  4 山東出兵 204
  5 日中戦争 205
  6 「満州」を経験した兵士 206
  7 中国語の学習 206
  8 「兵隊支那語」 215
  9 「兵隊支那語」の使用場面 219
  10 中国人からの発話 228
  11 「兵隊支那語」と「満州」ピジン中国語との関係 230
  12 社会的評価 231
  13 話者の数 231
  14 海軍の「兵隊支那語」 233

第6章 「兵隊支那語」の広がり 235
  1 兵隊俗語 235
  2 軍隊内への定着 238
  3 陸軍の集団語 239
  4 国内社会への浸透 240
  5 中国語ブーム 250

第7章 『分隊長の手記』(正・続)に見る
  「兵隊支那語」と兵隊俗語 252
  1 会話場面 253
  2 語彙集 259
  3 特殊な振り仮名 284
  4 アルヨ言葉 285

第8章 各地居留民のピジン――大陸ピジン中国語 287
  1 日本人の居留地 287
  2 上海―発展した租界 288
  3 占領された諸都市 290
  4 大陸各地のピジン中国語 303
  5 ピジン中国語への社会的評価 303
  6 大陸ピジン中国語の消滅 304

補章5 ピジン使用の背景――日本人・中国人の言語意識 306
  1 正則の言語への移行 306
  2 クレオール化 314

補章6 性的卑語 317
  1 ピー 317
  2 サイコ 323
  3 ソーニーマー・マーラカピー 325
  4 野鴨(ヤーチ) 327
  5 性的卑語 328

補章7 筆談 330
  1 筆談の失敗 330
  2 成功した筆談 334
  3 筆談の成否 337

第9章 ピジン中国語の残存語彙 338
  1 日本語の中の残存ピジン中国語 339
  2 中国語の中の残存ピジン中国語 355
  3 日中の残存語彙の相違 363

第10章 虚妄のアルヨ言葉と直訳的アルヨ言葉 365
  1 虚妄のアルヨ言葉 365
  2 直訳的アルヨ言葉 380
  3 アルヨ言葉の存在 386

補章8 候文――変体漢文 387
  1 進上 387
  2 さまざまな候文 389
  3 候文とピジン 395
  4 筆談 396
  5 共通の特徴 397
  6 候文の影響 399
  7 変体漢文 400

第11章 戦時ピジン中国語の言語的特徴 403
  1 ピジンと誤用 403
  2 ピジンの多様性 403
  3 3つのピジン 407
  4 ピジン日本語かピジン中国語か 408
  5 戦時ピジン中国語の特徴 410

終章 日本植民地ピジン研究の今後 446
  1 未解明の問題 446
  2 その他の地域のピジン 446
  3 より広い範囲での意義 453

資料編?
  資料解説 458
  資料1 中谷螢光生「正しき支那語の話し方と日支合?語の解剖」 461
  資料2 中谷鹿二『日支合?語から正しき支那語へ』 499

     引用文献 551
     あとがき 578


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