[目次]
はじめに 13
新装版に際して、はじめに 19
序章 言語差別現象論
――「言語学の倫理と社会言語学の精神」の確立のために 23
1. はじめに 23
2. 言語現象への差別 24
2.1. 少数派の言語行為への差別/抑圧 24
2.1.1 進歩イデオロギーがかかえる「未開」=異質性への恐怖感と攻撃性 25
2.1.2 「普遍主義」の僭称による、「寡占」の合理化=正当性 27
2.2 当事者の沈黙/萎縮/抑圧移譲 28
2.2.1 「劣位」の劣等感形成による「優位者」の確立 28
2.2.2. 「劣位」の同化=上昇志向による共同体の「過疎化」あるいは破砕 28
2.2.3. 相対的「劣位」への抑圧移譲、ドラキュラ的悪循環=連鎖的暴力の発動 30
2.3. 優位集団による「マタイ効果」=格差拡大構造の放置 31
2.3.1 公教育/媒体における「寡占」「独占」の放置 32
2.3.2. 人材/経済/知名度の格差拡大の放置 34
3. 言語が媒介する差別 37
3.1. 差別表現があらわれる文脈=関係性の整理 37
3.2. 優位者による「劣位」の固定化としての差別表現 39
3.2.1. 「固定化=矮小化」としての差別表現(ラッセル) 39
3.2.2. 優位者の無知=差別の合理化装置としての差別表現 40
3.2.3. 「劣位」の劣等感形成装置としての差別表現(「ハゲ」「ブス」K.T.P.) 42
4. 「言語学の倫理と社会言語学の精神」の確立のために 43
4.1. 非―社会言語学者の政治性の無自覚と差別性 43
4.1.1. 「社会は捨象できる」と信じる、俗流ソシュール派の政治性=抑圧性 43
4.1.2. 発話/体系を「瞬間凍結」できるとする擬制の物象化の忘却=抑圧 45
4.1.3. 「善意」の搾取者=抑圧者としての調査者 46
4.2. 知識社会学などメタ―言語学の構築 48
4.2.1. 言語政治学ないしは政治言語学のためのメタ理論 49
4.2.2. 「言語研究者の社会学」をパラ言語とする姿勢 50
4.3. 「言語間に社会的優劣は遍在する」という社会言語学的現実主義の止揚
=「言語間に本質的優劣はない」という、超越論的反差別主義の真の実践 50
第1章 同化装置としての「国語」
――近代琉球文化圏の標準語浸透における準拠集団変動・知識人・教育システム 55
1. 国民国家のなりたちと、文化放棄としての近代化 55
2. モデルケースとしての琉球諸島―国民国家にとっての課題としての「辺境」 56
3. 無自覚から「国民」へ―劇的な準拠集団変動のめじるしとしての標準語化 58
4. かきことば、もしくは外国語としての標準語 61
5. 世代間のミゾとしての言語転移過程と、学校教育 63
6. 後進性の〈自覚〉と、「主体」的「文化放棄」 64
7. 欠陥言語説と標準語―虚構としての「普遍的」近代性 66
8. 解放のシンボル・メディアとしての標準語―地域内差別の弁証法 68
9. 人格としての近代と風俗改良としての教育―「国民」国家形成のミクロ過程 70
10. 同化装置としての口語文法から、均質性―連続性の確認作業としての国文学へ 73
第2章 クレオール化装置としての国民教育
――「市民的素養」と地域/少数派文化の変質 79
1. 近代教育の本質を国民国家形成と少数派の関係性からとらえかえす 79
2. クレオール化する、ということ 80
3. 西洋化としての近代化再考 82
4. 「周縁」が連続体の一部となる=移民せずにクレオール化するということ 87
5. 近代という暴力装置再考 95
6. 市民的素養とはなにか? 教育とはなにか? 99
第3章 国語の発明、方言の発明、国史の発明 105
1. はじめに 105
2. ことばの同一性再考 106
3. 国語教科書がはらむイデオロギー 109
4. 社会言語学の公理からみた日本語/琉球語関係 115
5. 「発明された伝統」としての言語/方言と歴史 119
第4章 「沖縄方言論争」というアリーナのゆくえ 123
1. はじめに:「現在完了形」としての1940年 123
2. なにがおきたかのか? 123
3. なにが問題だったのか? 124
4. オリエンタリズムと搾取 127
5. 伝染病としての植民地主義とその撲滅 131
6. 「方言」という表現再考 133
第5章 求心力の中核としての民族語
――言語復活をめざす沖縄人とアイヌ民族を中心に 137
1. はじめに:言語的社会化/国民国家/少数派 137
1.1. 生活世界の枠組み=起点としての第一言語 137
1.2. 集団の境界線としての生活言語 138
1.3. 近代化=国民国家の成立と生活言語の矛盾 139
1.4. 無力感による、少数派の同化 141
2. 沖縄語=「ウチナーグチ」という中核 144
2.1. 琉球列島の言語状況の近現代概観 144
2.2. 「方言使用」解除期の変質 151
2.3. 「うちなーやまとぅぐち」などの浮上 156
3. アイヌ語という中核 158
3.1. 「北海道」の言語状況の近現代概観 158
3.2. 記述の対象から、主張する主体へ 159
3.3. アイヌ語運動の諸相 163
4. おわりに 166
第6章 かな、そして ナショナリズム 175
1. はじめに 175
2. ほん―ろんぶんの ひょーき―システムの ルール 176
3. ほん―ひょーき―システムに おさまった けーい 178
4. かながきえの いわかんの さいけんとー 182
5. どくじ―せー―について―いわゆる「ひょーじゅんご」との からみで 184
6. いわゆる「50おん―ず」システムの きのー 186
7. 「ほーげん」の いちづけお きょぜつした 「げんご」いしきと かきことば 189
8. 「かきことば」にほんご―しよー―しゃ―の 「じ―くーかん」いしき 192
9. 「さべつかそーち」「はいじょシステム」としてのかんじ 197
第7章 戦後日本の言語問題点描 201
1. 定住朝鮮人問題 202
1.1. 阪神教育闘争 202
1.2. 対日講和条約発効後の朝鮮人の位置づけの変化と摩擦 204
1.3. 日韓基本条約締結後の摩擦 205
2. 在日外国人への日本的氏名の強要 206
2.1. 外国人登録の漢字表記とヨミ 207
2.2. 漢字表記朝鮮人名の日本語よみ裁判 208
2.3. 帰化申請てつづきにおける同化圧力 209
3. 標準日本語による公的空間の維持 210
3.1. 裁判所用語としての日本語 211
3.2. 議会用語としての標準語 213
3.3. スパイ/謀議のための「方言」? 214
4. 小括 214
第8章 ことばと権力をめぐって 219
1. はじめに 219
2. 国民国家と国語 220
3. 帝国主義的な言語支配 225
4. 「グローバリゼーション信仰」=集団ヒステリーにおける英米語支配 228
第9章 文化資本における「英米語」 233
1. はじめに―「日本人」論でない、「英米語」論のために 233
2. 外来語における、とびぬけた、わりあい 234
3. 英米語依存の原因 235
(1)仮説1「中等教育の外国語教育≒英米語教育が、英米語以外の外国語水準を阻害」 236
(2)仮説2「専門職も外国語≒英米語を自明とした空間を再生産」 240
(3)仮説3「差別化戦略の定着化=一般化/陳腐化、あらたな差別化」 243
4. おわりに―「英和語」/「本格的英語」という二層言語状態の、もたらすもの 246
第10章 社会学の死角としてのことば
――ことばの政治社会学序説 253
1. 「ことば」と、知識社会学 253
2. 日本の社会学の「ことば」の自明視と、その基盤としての「均質性」幻想 254
3. 近代知識的空間、とりわけ公教育空間における「ことばの政治性と近代化」 257
4. 教育社会学にとって死角のひとつとしての「国語」科 258
4.1. 文学教育と言語教育の混同、および「口語文法」の「没機能」化のしめすもの 258
4.2. 「国語」科の潜在機能と存立構造分析お、国語・国文学にまかせられないわけ 260
4.3. イデオロギー装置としての「国語・国文学」と、その末端としての「国語」科 260
4.4. 教育社会学が「ことばの政治性と近代化」にとりくまないしくみ 262
5. 知識社会学の課題としての「ことばの政治性と近代化」 263
5.1. 標準語化と正書法の力学 264
5.2. 標準語化とコンプレックス 265
5.3. マイノリティー問題 266
5.4. 文化資本論の基礎理論としてのジャーゴン・外来語(カナカナ・漢語)分析 266
6. むすびにかえて 267
あとがき 273
新装版に際してのあとがき 276
参考文献 280
固有名詞を中心とした索引 297
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