[目次]
はしがき 11
序 章 ナショナリズムの受け止め方――社会思想史的検討へ向けた一試論 21
1 問題の所在 21
2 ナショナリズム評価の変遷 24
3 ナショナリズムとリベラリズム 30
4 現実的な背景 35
5 結びに代えて 41
第1部 色とりどりの理論との対話
第1章 リベラル・ナショナリズム理論の再検討――ウィル・キムリッカの場合 49
1 はじめに 49
2 キムリッカ理論の骨格 51
3 いくつかの疑問 58
4 「民族」という問題系 62
5 言語への着目 66
6 キムリッカ自身の応答と更なる疑問 70
7 キムリッカ理論の射程―旧ソ連・東欧諸国への応用 73
第2章 オリエンタリズム論再考――サイードへの問いかけ 85
1 はじめに 85
2 『オリエンタリズム』という書物との遭遇――最初の出会いから再見へ 87
3 主題の多義性 91
4 専門知への批判的眼差し 96
5 表象の問題―「見る者」と「見られる者」 101
6 おわりに 105
第3章 人類学・ポストコロニアリズム・構築主義――杉島敬志編『人類学的実践の再構築』をめぐって 109
1 問題提起 109
2 「他者」とは何か 114
3 「他者」理解の困難(1)――「本質主義」批判とその限界 118
4 「他者」理解の困難(2)――翻訳としての他者理解 122
5 学問の倫理 128
6 他者の「代表」「代行」可能性 132
7 対抗戦略とその限界 138
第4章 社会学的ナショナリズム論の冒険――大澤真幸『ナショナリズムの由来』をめぐって 147
1 はじめに――理論社会学とナショナリズム論 147
2 書物の構成および特徴 151
3 「原型」?――古典的ナショナリズム 156
〈旧植民地諸国における言語問題〉 157
〈多文化主義とその批判〉 160
〈シヴィック・ナショナリズム/エスニック・ナショナリズム論〉 161
〈資本主義と社会主義〉 167
4 「変形」――現代的状況 170
〈前提としての古典的ネーション論〉 171
〈「アイロニカルな没入」論〉 175
〈サバルタン論〉 179
〈イスラーム主義をめぐって〉 183
〈実践的な提言――クレオール論を中心に〉 185
5 補論「ファシズムの生成」について 191
6 おわりに 193
第5章 多言語主義という問題系――砂野幸稔編『多言語主義再考』に寄せて 201
1 はじめに――多文化主義・多言語主義・多言語状況 201
2 「状況」――類型論の試み 204
3 「主義」――その限界? 209
4 「舗装工事」のディレンマ 211
第2部 社会主義の実験と民族・言語問題
第6章 ソ連の民族問題と民族政策――テリー・マーチンの業績に寄せて 221
1 はじめに 221
2 基本的骨格 224
3 研究対象の幅広さ 228
4 取り上げられる民族の多彩さ 230
5 時間的推移の把握 235
6 第二次大戦およびその後への展望 238
補注1 241
補注2 242
第7章 ある多言語国家の経験――ソ連という国家の形成・変容・解体 249
1 はじめに 249
2 問題提起―ソ連言語・民族政策の「アファーマティヴ・アクション性」 251
3 「現地化」政策とソヴェト版ネイション・ビルディング 253
〈「現地化」政策〉 253
〈ソ連におけるネイション・ビルディングのあり方〉 256
4 「多言語主義イデオロギー国家」のかかえる矛盾 258
〈アファーマティヴ・アクションおよび多文化主義の困難性と矛盾〉 258
〈「言語建設」「民族建設」の問題〉 261
〈「基幹民族」優遇政策の思わざる副産物〉 264
5 反抗と解体 268
補論 カルヴェの所論との対比 274
第8章 旧ソ連地域の民族問題――文脈と視点 289
1 文脈の重層性 289
2 ペレストロイカ期再訪 292
〈問題の諸相――その多様性〉 293
〈いくつかの事例〉 295
〈連邦再編の試みから連邦解体へ〉 300
3 冷戦後/ソ連解体後 302
第9章 歴史社会学とナショナリズム論の新地平――鶴見太郎『ロシア・シオニズムの想像力』をめぐって 309
1 はじめに 309
2 書物の基本的な内容 310
3 理論的観点について 314
4 思想史と現実史の間 318
5 若干の残る問題 320
あとがき 325
索引 i
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