[目次]
序言 本書のねらい 7
第一章 実在の人物か? 虚構の人物か? ――実話から驚異譚へ 11
小説と映画の中の女教皇 12
歴史学によるとらえ方 16
異なる解釈 18
イグナーツ・フォン・デリンガーと女教皇ヨハンナ伝説 20
性別判定の伝説 29
第二章 女教皇は実在できたか ――歴史的舞台としての九世紀 37
不安定な時代のローマ ― 女教皇の前提条件 38
『教皇の書』の伝来 ― 教皇たちの伝記 48
写本の分析 ― 女教皇が実在した証拠か 50
アナスタシウス・ビブリオテカリウスとローマの知識人サークル ― 女教皇の仲間たち? 55
女教皇はレオ四世直後に在位したのか ― 時代的位置づけをめぐる問い 61
女教皇の名前、出自、修学 63
九世紀という時代 ― 女教皇が実在する余地はあったのか 69
第三章 女教皇伝説の成立 ――托鉢修道会の説教から中世後期における伝説の影響まで 71
オパヴァのマルティヌスにおける女教皇 79
オパヴァのマルティヌスにおける女教皇伝説の特徴 84
オパヴァのマルティヌスと教皇の肉体的はかなさをめぐる思想 90
最初の痕跡 ― 小括 97
中世後期における女教皇伝説の影響 98
第四章 女教皇の新しい役割 ――十四・十五世紀の教会政治上の対立における歴史的・法学的主張 105
ヨハンナはケレスティヌス五世のような天使教皇だったのか 105
アヴィニョンの教皇たち ― 女教皇を利用した帝国批判と教会批判? 108
ローマとアヴィニョンに並び立つ教皇 ― ヨハンナはシスマを解決できるのか? 112
教会批判・教皇批判のための道具としての女教皇? ― ウィクリフとフス 118
女教皇によるシスマの終焉? ― 教皇、枢機、そして普遍公会議 122
武器としての、歴史的論拠としての女教皇 126
女教皇ヨハンナと十五世紀ローマにおける人文主義 130
悪魔に誘惑されたのか、それとも聖なる女預言者だったのか ― 語りと文学 134
第五章 道徳上の怪物か、あるいは歴史上の怪物か ――宗教改革期の宗派間論争から近代文学まで 139
プロテスタントの歴史叙述における女教皇 142
すべては単なる伝説なのか? ― カトリック護教論者による反応 151
宗派的利害関心 ― 暫定的結論 156
プロテスタント・カトリック間の論争 157
近現代文学における女教皇 159
第六章 あとがきにかえて ――われわれに女教皇は必要か? 167
訳者あとがき 177
索引 1
人名索引 1
地名・事項索引 5
注 8
参考文献 19
女教皇に言及した史料一覧(一四八〇年頃まで) 30
附録 女教皇伝説・史料編 33
図版出典 48 |