[目次]
はじめに 11
美術全集と社会/美術全集の終焉/本書の見取り図
序章 21
1 用語法 全集、叢書、文庫、その他の用語 21
日本の場合/仏語の場合
2 美術全集が美術全集である場 日本とフランス 30
見える場1 ―図書館、美術館閲覧室、古書店/見える場2 ― 書棚、書斎/表象される場1 ― 本と
冊子の 中の美術全集表象される場2 ― 電子カタログ
第一部 フランス編 41
T章 フランスにおける美術全集書誌学 曖昧さと不透明さ 43
U章 胎動 十九世紀前半から第二帝政期まで 49
1 十八世紀と啓蒙のかたち 49
2 十九世紀前半 美術全集の祖型 51
美術館名品集/教養文庫と美術/美術実用書/モノグラフィ―/美術史書
V章 美術全集の誕生と発展 十九世紀後半から第一次大戦(一九一四年)まで 68
1 一八七〇年代から八〇年代 美術全集の誕生 70
カンタン書店/カンタンの小型全集/他の書店・出版社の全集/二つの中・大型全集 ― 美的エッセ イ対実
証主義記述/フランス美術史学会と「美術史研究」叢書
2 一八九〇年代 アンリ・ロランス出版を中心として 81
3 美術全集の確立 一九〇〇年から第一次大戦まで 84
美術家の大衆化と小型全集(叢書、文庫)/タイトルの類似について/小型美術全集(叢書・文庫)
の多様化/美術全集における近代美術史記述 ― 「アルス=ウナ/美術史概説」/中・大型全集と
レパ―トリ―の拡
大 ― 都市・美術館・名品/「見る」カタログ・レゾネとモノグラフィ―/最初期の「美
術史」全集/図版と全集 ― 「ゴ―ワンズ小美術叢書」を中心に
W章 二つの美術史書 アンドレ・ミシェルとエリ―・フォ―ル 106
美術史書/「ミシェルの美術史」/エリ―・フォ―ルの『美術史』
X章 美術全集の浸透 両大戦間(一九一八〜一九四四年) 121
1 ヴィジュアル化 図版の多用 123
薄手の中・大型の画集的全集の定着/小型判におけるヴィジュアル化/編集のヴィジュアル化/
ヴィジュ
アル化をめぐって
2 「近代美術(史)」と美術全集 137
「新しい」と「今日」の美術全集/「アヴァンギャルド」という「芸術( ART )」/ジョルジュ・ベッソンとク
レス出版
/「近代の」美術/古今の巨匠/ヴィジュアル化と近代美術(史)観 ― 図版の「見栄え」を
めぐって
3 スキラ出版の登場 158
アルベ―ル・スキラ/「フランス絵画の至宝」/タイトルの新しさと執筆者 ― 絵画の文学化/色彩図
版の新
しい見せ方とテクスト
Y章 第二次大戦後 一九七〇年代まで 167
1 「世界」と「文明」の美術全集 169
カテゴリ―としての「世界」と「文明」
2 「形の宇宙」 177
アンドレ・マルロ―/『空想の美術館』と二重括弧の芸術/「形の宇宙」
3 「芸術と大文明」 194
誕生 ― ルシアン・マズノとルロワ=グ―ラン/「芸術と大文明」/「文明」の美術全集を考える
4 第二次大戦後の美術全集 その他の傾向 202
ポケット本(文庫)と美術全集/カタログ・レゾネの全集/「フランス美術 ― 画家のモノグラフィ―」/
フラマリオンの「絵画の古典 ― 全絵画作品」
Z章 ハイ・カルチャ―としての美術(史)の啓蒙 スキラの戦後 216
1 一九八〇年代までの書誌と分析 217
「絵画―色彩―歴史」から「クラシック」まで
2 糊付け図版 228
3 名画主義を超えて 二つの叢書 230
「芸術、思想、歴史」/「創造の小径」
[章 一九八〇年以降 240
1 美術全集の減少 240
2 終わりを生きる美術全集 242
巨匠と名画の全集とガイドブック的全集
3 大型の展覧会カタログと美術全集 244
ポンピドゥ―・センタ―と大型展覧会のカタログ/国立美術館連合―グラン・パレでの展覧会カタログ
と美術全集
4 フラマリオン、ガリマ―ル、タッシェン 全集と叢書 250
「絵画の古典」以後のフラマリオン―「全美術」全集/ガリマ―ルの「発見」叢書/「発見」叢書と芸術
への新しい関心/『ダヴィッド―芸術と政治』をめぐって/ポストモダンな出版社タッシェンと美術全集
5 美術全集と美術史叢書 268
美術史叢書の専門化
第二部 日本編 277
T章 「美術全集の国」の始まり 279
1 『西洋美術全集絵画索引』をめぐって 279
画像レフェランスとしての美術全集/掲載図版画家ベスト一〇
2 兆候 287
審美書院「真美大観」―日本初の美術全集?/明治期の西洋美術史書/全集のイメ―ジ
U章 美術全集誕生 大正期 293
1 幻の全集? 「現代美術叢書」と日本洋畫協会 〜大正三年 293
2 「美術叢書」と向陵社 〜大正五年 294
3 洛陽堂と二つの全集 300
白樺派と「泰西の繪畫及び彫刻」(大正四〜八年)/木村荘八と「繪畫叢書」(大正五〜一〇年)/木
村荘八の概念的エクリチュ―ル
4 日本美術學院の美術全集 315
「泰西名畫家傳」(大正一〇〜十一年)と「世界現代作家選」(大正一〇〜十二年)/野尻清彦(大佛
次郎)の文学的エクリチュ―ル
V章 美術全集の定着 関東大震災後から昭和戦前期(第二次大戦終了まで) 329
1 岩波書店と「美術叢書」(大正十三年〜昭和四年) 330
2 アルスとアトリエ社 332
アルス美術叢書(大正十四年〜昭和三年)/アトリエ社と「画集」/アトリエ社の画集全集と鑑賞用
図版/アトリエ社の「西洋美術文庫」(昭和十三〜十六年)
W章 「美術全集」の登場 平凡社「世界美術全集」 356
1 誕生の契機 円本時代の美術全集 358
2 「世界美術全集」という企画 下中彌三郎と「コスモポリタニズム」 361
「世界」というタイトル/企画者、編集委員/下中彌三郎
3 「世界美術全集」と「ミシェルの美術史」 369
4 「見る」美術史としての「世界美術全集」 380
執筆者とエクリチュ―ル/「見る」全集/家庭の美術館
5 「世界美術全集」以後 387
平凡社「世界裸体美術全集」(昭和六年)/美術史理論叢書他
X章 第二次大戦後と子どもの美術(史) 391
1 戦後の美術全集概観 392
刊行点数、出版社、大型化/戦後の美術全集史の記述法
2 子どもの美術(史) 一九五〇年代 395
「少年美術館」(岩波書店)、「少年美術文庫」(美術出版社)、「少年世界美術全集」(実業之日本社)
/「少年少女世界美術全集」(保育社)と「現代世界学童美術全集」(河出書房)/子どもの美術(史)
Y章 平凡社第二次「世界美術全集」 日本の「美術史学」事始め? 408
「世界美術全集」、戦前と戦後/「ミシェルの美術史」の実現?/「世界美術全集」分析―二つのサン
プル
Z章 平凡社「世界美術全集」以降の「世界」という名の美術全集 420
1 一九五〇年代 421
美術出版社、河出書房、平凡社/国際出版と平凡社
2 一九六〇年代 425
講談社を除く大手出版社からの「世界」の美術全集
3 講談社の美術全集 431
小型の全集(文庫)/六〇年代の講談社の「世界」の美術全集
4 一九七〇年代 437
学習研究社、講談社、中央公論社、小学館
[章 一九八〇年以降の動き 「世界」の退潮と新しい形式 444
1 八〇年代以降の「世界」の美術全集 444
小学館「世界美術大全集 西洋編」 ― 最後の輝き?/美術全集における「世界」を考える/「本場」
としての「世界」と「外」という「世界」
2 テレビと新聞社の参入と全集の雑誌化 454
NHKと美術全集/朝日新聞と雑誌化 ― 週刊朝日とアサヒグラフ別冊/「アサヒグラフ西洋編」執筆
記
終章にかえて 美術全集の黄昏と現代ア―ト 465
近代美術の死?/現代ア―トと場への回帰/あるフランス人ア―ティストの「イン・シテュ」/美術全
集の黄昏とライブ感覚
あとがき 473
注 1
参考文献について 25
日仏美術全集リスト 26
人名索引 40
|