[目次]
序章 在と不在の複眼的演劇論 ――本書の目指すところ 9
理論編
第一章 プレゼンス ――アブセンス論争 25
一 演劇学・美学の代表的なプレゼンス論 25
二 プレゼンス批判とアブセンス論 44
三 在と不在の二重性 57
第二章 理論的前提とモデルケース 64
一 モデルケース ――ク・ナウカの『王女メデイア』 64
二 逡巡のダイナミズム 77
三 観客の本質的な矛盾 85
四 自己省察とダイナミズム 90
五 逸脱・過剰の演出効果 92
プレゼンス編
第三章 出現の不確実 ――ストアハウスカンパニーの舞台作品を例に 101
はじめに ――プレゼンス編に際して 101
一 フィジカル・シアターの過剰と不在 103
二 プレゼンスの不確実性 108
三 出現の悲劇性 120
四 「不穏」な「宙吊り」状態 131
五 プレゼンス論とアブセンス論の新たな側面 135
第四章 過剰と鬱 ――フランク・カストルフ演出『終着駅アメリカ』におけるパラドキシカルな生き延び策 139
はじめに 139
一 過剰な表現と鬱 140
二 不在の自己破壊的エネルギー 145
三 サバイバルのパラドキシカルな二重性 156
四 主体における過剰と不在 162
五 観客のパラドックス 167
第五章 死者と生者の哀悼劇
――ニードカンパニーの『ディア・ハウス』における自己分裂の演技と観客の想像力 177
はじめに 177
一 自己呈示のプレゼンテーションと不在 179
二 自己分裂と不確実性 184
三 不確実な死者像 196
四 死者と生者の共同体 208
アブセンス編
第六章 身体の救出可能性と挫折のあいだ ――ローラン・シェトゥアーヌ振付の踊らない身体 217
はじめに ――アブセンス編に際して 217
一 脱身体への抵抗 218
二 観客の活発な知覚 224
三 部分と全体 233
四 自己呈示 (Sich-zeigen) と身体像のあいだ 238
第七章 ネガティブな「ある」と「ない」のはざま ――クリストフ・マルターラー演劇の持続性と歴史的時間 249
はじめに ――「不在」と「遅滞」の演劇 249
一 プレゼンスとアブセンスの強い否定性 252
二 観客の共犯者性 265
三 歴史的変遷におけるプレゼンスとアブセンス 271
第八章 「不在の像」との「つきあいかた」 ――マレビトの会のカタストロフィー演劇 287
はじめに 287
一 カタストロフィーの不在 288
二 「不在の像」=不可視の像 295
三 孤立者の「パッション」 305
四 カタストロフィーをめぐる(不)可能性 312
終章 受動の活動 ――「ある」と「ない」をめぐる観客の可能性 321
一 「ある」と「ない」の両義性 321
二 揺らぎのダイナミズム 323
三 受動ゆえの力 332
四 異他の経験 342
注 347
文献一覧 378
初出一覧 392
あとがき 393 |