[目次]
図表・地図・写真一覧 xv
凡例 xviii
序
0.1 記号 002
0.2 リアリズム/リアル主義 005
0.3 ズレの所在 007
0.4 メタ言語 010
0.5 本書の構成 012
0.5.1 議論の概要 012 / 0.5.2 調査の概要 017
第T部 言語、意識、テクスト
第 1 章 ボアズ人類学と言語 023
1.1 言語、未開、意識 025
1.2 言語相対性 027
1.2.1 副次的合理化 028 / 1.2.2 音と意味 029 / 1.2.3 語彙と意識 030 /
1.2.4 対照性と類似性:アナロジカルな増幅 032
1.3 レヴィ=ストロース構造人類学 034
1.3.1 無意識 034 / 1.3.2 アナロジー、ブリコラージュ、トーテミズム 035
1.4 ヤコブソンからシルヴァスティンへ 037
1.4.1 転換子 038 / 1.4.2 詩的機能 039 / 1.4.3 メタ語用、較正、テクスト化 043 /
1.4.4 儀礼:行為のポエトリー 047
1.5 記号の思想 049
1.5.1 記号、対象、解釈 050 / 1.5.2 類像、指標、象徴 052 /
1.5.3 潜在態、現実態、規則態 055 / 1.5.4 名辞、命題、論法 056
第 2 章 儀礼のポエティクス 059
2.1 儀礼と人類学 060
2.1.1 儀礼化 060 / 2.1.2 ことばの民族誌 061
2.2 儀礼スピーチと形式性 064
2.2.1 パラレリズム 064 / 2.2.2 行為のダイアグラム( diagram ) 067
2.3 テクスト化/コンテクスト化 069
2.3.1 媒介行為 069 / 2.3.2 超言語学 070 / 2.3.3 権威化 072
2.4 発話参加者と引用 074
2.4.1 ゴフマンのフレーム理論 074 / 2.4.2 引用、模倣、憑依 076
2.5 意図性と発話行為論 079
第 3 章 構造、歴史、存在 083
3.1 サーリンズの構造 084
3.1.1 王権論 084 / 3.1.2 ロノ神の死 086 / 3.1.3 出来事の不在 088 /
3.1.4 言霊とトーテミズム 089 / 3.1.5 パース記号論の不在 094
3.2 トーマスの歴史的転回 095
3.2.1 サーリンズ以後 095 / 3.2.2 文化の客体化と植民地期 098
3.3 ストラザーンと存在論 101
3.3.1 モノ、分人、出来事 102 / 3.3.2 ナヴェン:ベイトソンのメラネシア 105 /
3.3.3 存在論的転回:儀礼、パフォーマンス、アナロジー 107
3.4 記号論的接合 110
第U部 文書と序列
第 4 章 フィジー植民地政策と文書 117
4.1 フィジー諸島小史 118
4.2 初期植民地政策 121
4.3 ダワサム地域 124
4.3.1 地理的概要 124 / 4.3.2 集団構成 128
4.4 アーカイヴ記録国家 131
第 5 章 首長位の系譜 135
5.1 首長位と即位儀礼 136
5.2 歴史の記号「アンディ・リティア」 142
5.2.1 二つのレジーム 142 / 5.2.2 固有名詞と時空間の個別化 149
5.3 二分された贈与、王位の「証左( na ivakadinadina )」 151
5.3.1 モノ化した社会指標性 152 / 5.3.2 ビロ( bilo )とゲレ・ヴァカラトゥ( qele vakaRatu ) 155
5.4 儀礼を巡る集団間の思惑と「文書」 158
第 6 章 文書の体制 167
6.1 作成方法 169
6.2 メタ文書化されたフィジー 172
6.3 『一般証言』あるいは象徴 177
6.3.1 集団の「起源化」 179 / 6.3.2 「氏族 > 系族 > 家族」のオントロジー 188 /
6.3.3 宣誓 190 / 6.3.4 テクストの詩的終焉と権威化した知識の序列 194
6.4 『氏族登録台帳』あるいは指標 195
6.4.1 系族と土地所有/証言と台帳の対照ペア 196 / 6.4.2 登記儀礼 200 /
6.4.3 文書への疑念 203
第V部 神話と形式
第 7 章 儀礼、神話、文書 209
7.1 裸のヴァヌア 210
7.1.1 儀礼開催の画策 210 / 7.1.2 ペニ・ワンガの反応 215 /
7.1.3 反対派の主張:マタニヴァヌアとサウトゥラガ 218
7.2 神話的邂逅 224
7.2.1 ナンボロ系族とナワライ系族の接触 224 / 7.2.2 外来王「ナゾウ」 227 /
7.2.3 「彼ら先達」としてのダワサム:言及指示的次元の整合性 238 /
7.2.4 相互行為的次元の整合性と結束性 246 / 7.2.5 古き正しき「道」 250
7.3 土地の民とよそ者 252
7.3.1 長老会議 252 / 7.3.2 知らない・出来ない「よそ者」 255 /
7.3.3 認識論・行為論・存在論 262 / 7.3.4 出自の暴露 265
7.4 「土地」というオリゴ 271
7.4.1 ハイポタクシス( hypotaxis )とパラタクシス( parataxis ) 271 / 7.4.2 リアルの所在 276
第 8 章 1930 年との指標的類像性 279
8.1 賛成派の主張 281
8.1.1 三幅対フレーム 281 / 8.1.2 土地の結束性 288
8.2 反対派の反論 291
8.2.1 親族名詞・呼称 291 / 8.2.2 偽文書の引用 295 / 8.2.3 フレーム修復儀礼 298
8.3 最終審議前半と相互行為的転換 301
8.3.1 ロコ・トゥイの質問 301 / 8.3.2 出自の暴露 306
第 9 章 知識とダイクシス 313
9.1 ダイクシスと語彙ペア 314
9.1.1 ダイクシス 314 / 9.1.2cake (delana) / ra 315 / 9.1.3liu / muri 316 /
9.1.4donu /
cala 317
9.2 魔法のフォーミュラ 319
9.2.1 マナ、それは真実である 319 / 9.2.2 二者間の「類象性」 323
9.3 最終審議後半と構造的転換 328
9.3.1mai / yani (アンディ・リティアの到来) 328 / 9.3.2 政府の「印鑑」 335
9.4 神話の不在/不在の存在 339
9.4.1 土地(ヴァヌア)という「文書」 339 / 9.4.2 心の中の本 345 /
9.4.3 引用の連鎖と非決定性 348
第W部 儀礼、映像、憑依
第 10 章 儀礼ことばの民族誌 353
10.1 首長を「連れてくる」( kauta mai na Ratu ) 355
10.1.1 儀礼開催 355 / 10.1.2 定型の中の意図と侮蔑 358 / 10.1.3 「道」( sala ) 362 /
10.1.4 最初の時への回帰 364
10.2 即位という「語彙化」 366
10.2.1 ブレの内外の分節 367 / 10.2.2 空間の詩的多層化 373 / 10.2.3 象徴記号化 375
10.3 ヤンゴナを「飲ませる」( veivagunuvi ) 376
10.3.1 凝固した八つの氏族 376 / 10.3.2 「ビロ」の譲渡( soli na bilo ) 379 /
10.3.3 儀礼の秩序 389
10.4 首長を土地に「住まわせる」( veivakatikori ) 390
10.4.1 回顧的較正 391 / 10.4.2 首長のことば「風は正しく吹いている」 397 /
10.4.3 キリスト教による神聖化( lotu ni veivakatikori ) 401
10.5 儀礼の構造 403
第 11 章 映像の体制 407
11.1DVD によるアーカイヴ化 408
11.1.1 土地の決定 408 / 11.1.2 割譲以前 414 / 11.1.3 著作権 418
11.2 「相克」のテクスト化 420
11.2.1 伝令の道( sala ni tukutuku ) 421 / 11.2.2 地の文の語り手 422 /
11.2.3 言文一致体 427
11.3 「ヴァヌア」というメタ・ディスコース 429
11.3.1All vests with the vanua 429 / 11.3.2 バイニマラマと民主化の語り 431 /
11.3.3 「今ここ」の複製 434
第 12 章 記号論的総括 439
12.1 文化記述と記号論 440
12.2 文書から映像へのメディア的変容 443
12.2.1 従属モデルから並列モデルへ 443 / 12.2.2 ビロの譲渡とズレの修正 444 /
12.2.3 亡霊の憑依 446
12.3 ポストコロニアルの登記儀礼 447
結/コーダ 449
添付資料 453
添付資料 1 (調査許可書関連) 454
添付資料 2 (新聞) 458
資料(地図・史料・統計) 460
参考文献 461 あとがき 479
索引 486
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【図一覧】
図 1 .ヤコブソンのコミュニケーションの六機能モデル 041
図 2 .詩的構造化の原理 041
図 3 .記号、対象、解釈の関係 051
図 4 .儀礼スピーチのパラレリズム 066
図 5 .儀礼化されたコロンビア川での水浴 068
図 6 .コミュニケーション出来事の媒介性 071
図 7 .言語および行動的要素と発話範疇の指標的連関 077
図 8 .発話者のカテゴリーと(発話者)個人の存在性の階層 078
図 9 .ダワサム地域における最高首長( Ratu )を中心とした氏族( yavusa )間の忠義( allegiance )関係とその居住村落 128
図 10 .ダワサムという時空間を形成する「証左」、及びそれぞれが喚起する範疇間のホモロジー 164
図 11 .文書を通じた近代フィジーの生成:登記という世俗的儀礼 203
図 12 .ブレの内と外に座した長老たちの配置 368
【表一覧】
表 1 .コードとメッセージ 039
表 2 .三つの記号の三幅対 057
表 3 .十通りの記号の組み合わせ 057
表 4 .現在のダワサム地域の氏族とその居住村落 129
表 5 .ダワサム地域における首長の系譜 138
表 6 .デンゲイ( Degei )の妻と子孫たち 243
表 7 .ロコモウトゥ( Rokomoutu )の子孫たちと彼の息子のヴエティ( Vueti ) 244
表 8 .即位儀礼初日の式次第(ドゥリティ村→デラカンド村) 389
表 9 .即位儀礼三日目の式次第(デラカンド村→ドゥリティ村) 391
表 10 .ダワサム地域の伝令の道(儀礼前) 421
表 11 .再編成されたダワサム地域の伝令の道(儀礼後) 421
【地図一覧】
地図 1 .ヴィティレヴ( Viti Levu )島におけるダワサム地域の所在 125
地図 2 .ダワサム地域の拡大地図 125
地図 3 .タイレヴ地方におけるダワサム地域の位置 127
地図 4 .初代首長「ナゾウ」が辿ったとされる道筋 237
地図 5 .ヴェラタからヴニンダワ、そしてダワサムへの道筋 245
地図 6 .ドゥリティ村からデラカンド村へ(ペニ・ワンガが辿った道) 355
【写真一覧】
写真 1 .ペニ・ワンガ宅の上座中央の肖像(矢印で示された箇所)に飾られた「ビロ( bilo )」と名付けられた「タンブア( tabua )」 152
写真 2 .「首長の土地( qele vakaRatu )」の位置(四角で囲んだ箇所) 154
写真 3 .デライ氏族『氏族登録台帳』の表紙内側の見開き( Vola ni kawa bula, 1930 ) 160
写真 4 .ダワサム氏族『一般証言』 180
写真 5 .ダワサム氏族・ナサンギワ系族『氏族登録台帳』 197
写真 6 .土地が系族ごとに区分けされているダワサム地域 198
写真 7 .『一般証言』におけるヴォニ氏族のナマラレヴ系族とナンボロ系族の序列 213
写真 8 .デラカンド村に建てられ始めた儀礼の行われるブレ 266
写真 9 .ペニ・ワンガの邸宅(ドゥリティ村)へ向かうデライ氏族 365
写真 10 .ブレへ向かうペニ・ワンガとエヴェレティ 366
写真 11 .インベで作られた道に座す女性たちとヴァトゥヌロア 370
写真 12 .ブレの内の装飾 372
写真 13 .ヤンゴナを混ぜ合わせるヴォニ氏族の男性たち 380
写真 14 .ビロを手に持ちスピーチを行うナザニエリ 381
写真 15 .デライ氏族とヴォニ氏族と共に屋敷へと向かうペニ・ワンガ 392
写真 16 .ヴェイヴァカティコリ儀礼の最後を飾る「聖餐」 402
写真 17 . DVD の最終映像頁 419 |