日系ブラジル人芸術と〈食人〉の思想

創造と共生の軌跡を追う

[著]都留ドゥヴォー恵美里

ブラジル芸術を語る上で欠くことのできない日系人画家の存在。移民から百余年、日本ではあまり知られていない彼らの生と創造の有り様を、ブラジルという土壌に通底する「食人主義」概念―他者を食らう―に照らして辿る。日系コミュニティ内にとどまらず、ブラジル近代芸術の潮流をコンテクストに据えた、かつてない論考。

[書評・紹介]
《京都新聞》2017年5月23日、インタビュー「異質な文化 『食らって』吸収」、
   聞き手:阿部秀俊氏
『Latina(ラティーナ)』2017年7月号、評者:岸和田仁氏

定価=本体 4,200円+税
2017年3月31日A5判上製/244頁/ISBN978-4-88303-424-6


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[目次]

  凡例 8
  はじめに 9

第1章 戦後の日系人画家たち
  1 日系人画家、大舞台へ 15
  2 戦後ブラジルの日系人画家たちの潮流 17
     a 具象画家―半田知雄とジョルジ・モリ 18
     b 抽象画家―マナブ・マベとトミエ・オオタケ 32

第2章 ブラジルの日系芸術家の歴史的・文化的背景
  1 日本人移民と、日系人社会の文化形成 47
     a 移民の開始と文化形成 47
     b 初期の文化活動―結束力と組織化 50
     c 細川周平の文芸に関する時代区分 53
  2 聖美会 60
     a 聖美会の結成―戦前の聖美会 61
     b 活動の再開―戦後の聖美会 62
     c 聖美会以外のグループ 63
     d 聖美会の特徴―自画像/画風の統一性の欠如 65
     e 一九七〇年の聖美会解散騒動からみる日系社会での役割・期待 71
     f 戦後の芸術家と聖美会・日系社会―日系芸術家にとっての聖美会 75
  3 藤田嗣治の訪伯? 81

第3章 二〇世紀ブラジル芸術の政治的背景と日系人画家たち 戦後を中心に
  1 政治的変遷と芸術 89
     a 二〇世紀ブラジルの政治体制の変遷 89
     b 芸術と政治―インスティテューションの設立 90
  2 ブラジルの幾何学的抽象とアンフォルメル 93
     a コンクレチスモとネオコンクレチスモ―サンパウロとリオデジャネイロの場合 93
     b アンフォルメル 97
     c 日本とブラジルのアンフォルメルと批評家 102
  3 〈場違いの思想〉とブラジル・日本、そして日系人 104
  4 日本人移民以外/以前から持ち込まれた「日本」 110

第4章 ブラジルという土壌
  1 モデルニスモの誕生 118
  2 通底概念「食人主義(アントロポファジスモ)」 120
     a  『食人宣言』執筆の背景 121
     b 『宣言』にみる〈食人〉の思想―宣言のディスクールから 125
     c 対立の図式―〈敵〉と〈我々〉 127
     d オズワルドにとっての二つの〈食人〉 138
     e 「カライバ」の多義性と繁殖力 142
     f 食人主義の位置づけ 146
  3 日系人芸術と〈食人〉 148
     a 「食われる」 149
     b 「食らう」 152

  おわりに 155
  注 160
  参考文献 170
  謝辞 176
  掲載図版一覧 179

  年表 001
  インタビュー
     1 トミエ・オオタケ 007
     2 ジョルジ・モリ 014
     3 エウザ・オダとユタカ・トヨタ 019
     4 田口秀子 027
  資料
     1 『1 BIENAL DE Sao Paulo』(1951年) 035
     2 オズワルド・デ・アンドラーデ『食人宣言』(1928年)の掲載誌面 042
     3 オズワルド・デ・アンドラーデ『食人宣言』1928年 043

  事項索引 i
  人名索引 vi


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