『教訓抄』に語られる中国音楽説話の研究

[著者]王媛

鎌倉前期の雅楽家・狛近真は、仏教的解釈を通じて唐代音楽文化をいかに本朝(日本)へと伝え受容しようとしたか。『教訓抄』と唐代文献の照合から解明する。

定価=本体 3,000円+税
2020年6月20日/四六判並製/284頁/ISBN978-4-88303-510-6


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[目次]

序 章 『教訓抄』と古代中国の音楽文化  1
   第一節 『教訓抄』の内容と研究意義  2
   第二節 先行研究と本書の目的  6
   第三節 本書の構成と概要  13
   注  17

第一章 唐代宮廷音楽の伝来と日本における受容  21
   第一節 唐代宮廷音楽の内容  23
   第二節 唐代九、十部楽の主な構成要素――四方楽  27
   第三節 遣唐使と唐代宮廷音楽の伝来  40
   第四節 古代中世における日本雅楽の伝承の担い手  50
   注  56

第二章 『教訓抄』の成立と内容  63
   第一節 狛近真の生涯  64
   第二節 『教訓抄』著述の動機と背景  66
   第三節 『教訓抄』と仏教説話集  71
   第四節 『教訓抄』の概要  81
   第五節 『教訓抄』の古写本と版本  83
   注  87

第三章 「迦陵頻」にまつわる伝承  91
   第一節 仏典に説かれる迦陵頻伽  92
   第二節 浄土変相図に描かれる迦陵頻伽――敦煌壁画と絹絵を例に  98
   第三節 迦陵頻伽が手にした楽器――唐代饗宴楽の反映  105
   第四節 日本における浄土変相図の伝承  113
   第五節 『教訓抄』に伝えられる「迦陵頻」  122
   注  133

第四章 「蘭陵王」にまつわる伝承  137
   第一節 中国の歴史に書かれる蘭陵王高長恭の生涯  139
   第二節 唐代に伝承されていた「蘭陵王」――物語性を有する散楽  143
   第三節 『教訓抄』に伝えられる「蘭陵王」  150
   注  160

第五章 「春鶯囀」にまつわる伝承  165
   第一節 大曲分類の学説検討  167
   第二節 唐代大曲の日本における受容  171
   第三節 「春鶯囀」の中国における伝承  176
   第四節 「春鶯囀」の日本における受容をめぐる説話  179
   注  187

第六章 「蘇合香」にまつわる伝承  191
   第一節 西域からきた香料  193
   第二節 蘇合香の効果と宗教の場での使用  201
   第三節 唐代に現れた楽舞「蘇合香」  209
   第四節 日本に伝承されていた「蘇合香」  216
   注  222

第七章 「甘州」にまつわる伝承  225
   第一節 甘州の歴史的位置  227
   第二節 唐代における楽舞「甘州」の伝承  233
   第三節 『教訓抄』に記される「甘州」  240
   注  248

終 章  251
   第一節 各章における論点の整理  252
   第二節 本書の成果と課題  259
   参考文献  263

あとがき  273


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