[目次]
プロローグ ――日常性のパラドックス 9
1 「絵画の誕生」と「静物画」 9
2 モノの描写がジャンルを横断 13
第一章 些細なものに神を感じる ――「静物画」の誕生 23
1 「静物画」とは何か 23
2 《ヤドカリと魔女の習作》 29
3 「ヴァニタス(人生のむなしさ)」に見る寓意と描写 37
4 逆説の絵画 ―― 感性と観念、些細なものと重大なものの転倒 49
第二章 オランダ美術の土着性 ――ボッスの「笑い」と美術市場 60
1 ボッスの想像力 60
2 新たなボッス解釈へ向けて 63
3 ボッス作品のコピーの氾濫 74
第三章 アレゴリーからファッションへ ――アルチンボルド《ウェルトゥムヌス》再考 88
1 肖像画と静物画のはざま 88
2 『イル・フィジーノ』 ―― 《ウェルトゥムヌス》に見る「視覚」の論理 93
3 プロテウス的な変容 ―― イメージの可動性 101
4 イメージのハイブリッド化 111
5 ジャンルを逸脱する「境界侵犯」 122
第四章 まるで生きているようだ ――ホルツィウス《ファルネーゼのヘラクレス》 124
1 絵画の起源とオランダの素描 124
2 ホルツィウスの《ファルネーゼのヘラクレス》 133
第五章 美的テクノロジー ――「画家・版画家」レンブラントの芸術的な挑戦 152
1 静物として機能するイメージ 152
2 芸術と商品のはざま 160
3 《モデルを描く画家》 ―― 完成あるいは未完成 165
4 レンブラントの戦略 ―― 版画と絵画の融合 173
第六章 「黒」の美学 ――レンブラントと〈アジア〉 179
1 東方へのまなざし 179
2 オスマン帝国とオランダ 182
3 ムガル朝のミニアチュール研究 189
4 レンブラントと和紙 196
5 「黒」の美学 206
第七章 この先へ進め(プルス・ウルトラ) ――静物画家アルベルト・エックハウトの「ユートピア」 210
1 「静物画」としてのエックハウトの素描 210
2 時代の風を読む ―― エックハウトの歩み 220
3 「地上の楽園」を求めて 223
4 カニバリズムと野蛮 ―― ヨーロッパの対極にあるもの 231
5 オランダ領ブラジルの植民地総督ヨーハン・マウリッツ 235
6 独立国オランダの矜恃 ―― マウリッツの「ユートピア」 239
第八章 「オランダ」の表象としての静物画 ――カルフと中国磁器 243
1 いびつな鏡としての東洋 243
2 東洋の徴 246
3 カルフのなかの東洋 251
第九章 陶磁器の白い輝き ――フェルメールからモンドリアンへ 263
1 オランダとアジアの出会い ―― 海洋国家としてのイメージ戦略 263
2 白い輝き ―― 新しい美意識の誕生 266
3 フェルメールと中国磁器 ―― アジアを表象する白い輝き 274
4 ヴィレム・カルフと中国磁器 ―― 白い輝きの射程 285
第一〇章 「静物画」の自意識 ――終わりの始まり 287
1 モノへのこだわり 287
2 ピーテル・クラースゾーンの静物画 289
3 ホルツィウスの手 295
4 サミュエル・ファン・ホーホストラーテンの《手紙差し》 300
エピローグ 308
1 新しい感性の誕生と静物画 308
2 自律する静物画への道 309
あとがき 313
註 1
人名索引 28
引用図版出典一覧 32
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