帝国スペイン 交通する美術

[編者]岡田裕成

イベリア半島の中世の記憶と、ヨーロッパ各地の版図を包摂しつつ、新大陸アメリカ、アジア太平洋にも広がった、ハプスブルク・スペインの世界帝国。かつては遭遇することのなかった人、モノ、情報の往来する回路が開かれ、美術作品も、歴史と地理の座標上を縦横に行き交うことになった。
多様な文化の相互作用を深く刻み込んだ「交通する美術」を視座に、国内外9人の研究者が示す最新知見。

[書評・紹介]
『地中海学研究』2023年5月、評者:宮下規久朗氏(神戸大学教授)
『月刊美術』2022年9月、No.564、「ART BOOKS 新刊案内」(サン・アート)

定価=本体 4,000円+税
2022年6月30日
A5判上製/336頁/ISBN978-4-88303-550-2


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[目次]

序  岡田 裕成   7

T 中世との接続
大モスクから大聖堂へ――中世イベリア半島キリスト教都市におけるイスラム建築遺産とその変容   26
伊藤 喜彦

中世アンダルス美術の遺産――その存在と不在を読み解く   65
マリア・J・フェリシアノ

「キリストの戦士」としてのサンティアゴ・マタモロスと拡大するイスパニア世界   95
久米 順子

U ハプスブルク・スペインとヨーロッパ
帝国スペインにおけるタピスリー――ネーデルラント総督マリアの仲介と「ブランド」の形成をめぐって   136
今井 澄子

ポンペオ・レオーニとスペイン――エル・エスコリアル修道院聖堂主祭壇衝立の《磔刑》群像をめぐって   169
松原 典子

エル・グレコ、裸体表現の再検討――クレタからスペインへ   204
パク・ジョンホ

V 世界帝国の美術
マドリード王宮のインカ王像――イメージのグローバルな交通と世界帝国の表象   234
岡田 裕成

新大陸アメリカにもたらされたアジアの「屏風/ビオンボ」――その流通と影響   267
アルベルト・バエナ・サパテロ

大海洋を渡った日本の蒔絵螺鈿――マニラ、メキシコ、スペイン   292
川村 やよい

あとがき   323

英文目次   I
人名索引   III