ビフォー ザ バウハウス

帝政期ドイツにおける建築と政治 1890-1920

[著者]ジョン・V・マシュイカ
[訳者]田所辰之助池田祐子

バウハウスの栄光の影に隠されたドイツ建築・デザイン史――
世紀転換期ドイツの産業化/世界政策と併行して展開した、プロイセンはじめ諸王公国における建築・工芸・デザインをめぐる改革、アーツ・アンド・クラフツ運動の受容と田園都市運動の推進の諸相をあきらかにし、ドイツ工作連盟でたたかわれた建築とデザインの「定型(規格)化」か、芸術の「独自性」か、をめぐる論争の今日的意味を問う。

[書評・紹介]
《図書新聞》2015年11月7日号、評者:本村健太氏
『SD 2015』(2015年12月)、評者:田路貴浩氏

定価=本体 7,400円+税
2015年4月15日A5判上製/ 576頁/ISBN978-4-88303-333-1


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[目次]

謝辞 9

序章 ドイツ帝国におけるデザイン改革の政治性
  バウハウスとヴィルヘルム帝政期の建築文化 13
  芸術教育運動と工作連盟、ヴィルヘルム帝政期のドイツにおける地域 22
  ヴィルヘルム帝政期ドイツの歴史とドイツのデザイン史:生産的対話 27
  工芸ならびに建築の改革における中間層の政治性 30
  ヘルマン・ムテジウスと工芸に対するプロイセンの商業政策 32
  政府行政の現場における工芸 37

第1章 ドイツ中・南部諸国におけるデザイン改革  1890−1914年
  ミュンヘン:ドイツ分離派と工芸運動の揺籃 45
  ミュンヘンの建築界と政府援助に対する期待 52
  ダルムシュタットの芸術家コロニー:芸術の新世代に対する封建的パトロネージ 57
  ダルムシュタットに学んで:ヴュルテンベルクとその〈ビジネス・モデル〉 71
  ザクセン?=?ヴァイマール=アイゼナハ大公国における工芸改革 87
  ザクセンへの波及効果 96
  ザクセンの起業家と展覧会の文化 98
  結語 102

第2章 プロイセン商務省とアーツ・アンド・クラフツ運動の教え
  プロイセンの工芸教育と管轄官庁の分離 105
  プロイセンとイギリス、先達からの学習とその展開 110
  イギリスの改革についてのムテジウスの調査 113
  『様式建築とバウクンスト』:階級社会における改革 128
  『英国の住宅』:ドイツの現在、その喫緊の課題について 136
  結語:ベルリンへもたらされたイギリスの教え 147

第3章 プロイセンの工芸改革―文化・階級・近代経済
  プロイセンの工芸教育改革 149
  ムテジウスの工芸学校改革:その政治的、歴史的背景 157
  用語の転換:芸術業(Kunstgewerk)、芸術産業(Kunstindustrie)、工芸(Kunstgewerbe) 160
  プロイセン商務省管轄下の工芸学校とその種別 166
  テオドール・メラーの政治、その反映としてのムテジウスの工芸改革 168
  プロイセン産業局:ドイツ工作連盟の前身 178
  文化省と工芸の「芸術家」 185

第4章 国家ならびに民間による改革推進力のドイツ工作連盟への収斂
  一九〇六年のドレスデン:芸術のカルテル化の始まり? 193
  教育的プログラムとしての展覧会 200
  第三回ドイツ工芸展の政治的経済 219
  「ムテジウス問題」と工作連盟の設立 225
  工作連盟:デザイン・フォーラム、そして経済拡張政策の代理人 232

第5章 ヘルマン・ムテジウスの設計活動――政府の仕事と工作連盟の実践の狭間で 
  郊外住宅運動とベルリンの新興市民層 239
  ラントハウス、改革へのムテジウスの野心と建築におけるその実現 241
  ベルリン:郊外開発のための闘争 273
  ムテジウスのラントハウスとその住み手たち:重なり合う改革の目標 284

第6章 ヴィルヘルム帝政期の田園都市運動とその文化的断層
  拡がる亀裂:実利主義か個人主義か、ヴィルヘルム帝政期の改革運動 293
  ドイツ田園都市運動の影響とその矛盾 295
  ヘレラウの田園都市:工場を核とするコロニー、その改革 305
  競合するヴィジョン:ヘレラウの全体計画と建築 314
  脅かされる旧世界秩序:テッセノウのオルタナティヴ・デザイン 327

第7章 工作連盟の政策と世界政策
――グローバル経済と〈グッド・デザイン〉に対するドイツ政府の関心  1912−1914年
  ドイツの政治と工作連盟の政策  1912−1914年 335
  工作連盟の方向転換:組織の拡大 343
  工作連盟、政府の政策と利益団体による政略の狭間で  1912−1914年 348
  工作連盟の内部抗争とケルンにおける主導権争い 358
  経済の運命と文化の調和、そしてデザインにおける「定型(Typ)」 369
  異なる意見の調停:工作連盟、政府、そして『ベルリン日報)』 376

終章 結論
  第一次世界大戦、工作連盟のプロパガンダ、そして工芸改革 381
  「統一芸術学校」と第一次世界大戦後の工芸改革 387
  ヴィルヘルム帝政期の落し子バウハウス 394

     補遺A プロイセン州立芸術・工芸・実業学校概要 405
     補遺B ヘルマン・ムテジウスによる十箇条の指針/アンリ・ヴァン・ド・ヴェルドによる十箇条の反論 406

     訳者あとがき 415
     原註 059
     略記号一覧 058
     主要参考文献 026
     図版リスト 020
     事項索引 013
     人名索引 001


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