ウィーン/オーストリア二〇世紀社会史 1890―1990

[著]エルンスト・ハーニッシュ
[訳]岡田浩平

日本とどこか似ているオーストリア!
オーストリアの現代は、二つの世界大戦での敗北、ハプスブルク王朝の崩壊/第一共和制/オーストロ・ファシズム/ヒトラーによる併合/第二共和制と目まぐるしく変わる激動の 100 年――ドイツよりも「味と苦み」のある歴史といえるかもしれない。オーストリア現代史の第一人者が芸術家の作品から庶民の日記にも触れながら生き生きと叙述する。現代ウィーン/オーストリアを理解する最適の歴史書。

定価=本体 14,000円+税
2016年10月25日
A5判上製/904頁/ISBN978-4-88303-408-6


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[目次]

はじめに  19
今とは違った生活――一九〇〇年頃の世界スケッチ  28

第T部 発展のプロット
   第一章 政治文化の歴史的伝統  45
      第一節 「壁にプディングを釘留めするようなものでしかない」  45
      第二節 二つの形成的な局面――バロックとヨーゼフ主義  47
      第三節 世紀の転換期頃の濃縮増幅  55
      第四節 陣営文化――国の祝日の場合  59 
           儀礼的ポーズと儀式のレパートリー/ 61  部分文化のレトリック/ 65
      第五節 ナチズムの政治文化  69
      第六節 デモクラシーの洪水?  75
   第二章 数の戯れ――人口  79
      第一節 人口移動  80
      第二節 誕生と死亡  87
      第三節 伸びる寿命  91
   第三章 経済成長――数の戯れをもう一つ  95
      第一節 地方の工業化  95
      第二節 構造の断裂  97
      第三節 消費社会の限界  100
      第四節 経済構造のなかの変動  103
      第五節 失業という亡霊  106
   第四章 階級と社会階層  111
      第一節 簡潔な概念規定  111
      第二節 最初の接近  113
      第三節 ブルジョアジー――市民階層  118
      第四節 労働者階級  126
           社会民主党系ミリュー/ 131  階級闘争の彼方で/ 138
      第五節 貴族  141
      第六節 農民  149
           農民の伝統的な暮らし方/ 149  多様な生活条件に適応した集団と資産の大きさ/ 151  
           職業身分それとも階級?/ 145 「ファーマー」(比較的大規模経営の農家)への道/ 160
      第七節 商工業  162
           社会保護主義と「中産階級」/ 162  商工業のプロテストと中間層的自意識/ 166
      第八節 サラリーマン  144
           襟カラーによる区別ライン/ 174  
           近代化のエージェント、それとも職業身分的な自負心の表れ?/ 178  接近/ 182
   第五章 政治陣営  187
      第一節 陣営の形成  189
           キリスト教「社会」派/ 190  ドイツ・ナショナル〈民族〉派/ 193  社会民主主義者たち/ 197
      第二節 密集と分散  201
           キリスト教「社会」派/国民党/ 205  社会民主党員/革命的社会主義者/ SPO / 215   
           大ドイツ主義/農村同盟/独立連名/ FPO / 230
      第三節 政治と生活のチャンス  242
   第六章 矛盾したプロセス――オーストリアの国民形成  245
      第一節 二重のアイデンティティー  245
      第二節 「オーストリア的人間」  251
      第三節 生みの苦しみ  259
   第七章 大衆文化  265
      第一節 ビートルズ、あるいは文化論的な論考の多様性  265
      第二節 はじまり  267
           自転車/ 268  自動車/ 268  映画館/ 273  ラジオ/ 278  スポーツ/ 279  
           フォークロア(民間伝承)/ 284
      第三節 普遍的文化の展開  285

第U部 君主制時代
   第一章 組織化した資本主義  295
      第一節 経済各分野――構造的な考察  300
           農業/ 302  工業と手工業/ 306  小売業、交通、サービス業/ 312
      第二節 経済政策  316
      第三節 戦時経済  319
           組織化の遅れと遅々とした歩み/ 320  生産力の低下/ 324  
           階級社会とコーポラティズム的な政策/ 327
   第二章 支配体制――王朝的・官僚的官憲国家  333
      第一節 神の加護あれ、王室に  338
      第二節 玉座と祭壇――教会  341
      第三節 物いわぬ大きな存在――軍隊  348
      第四節 日常の支配者――官僚機構  353
      第五節 皇帝に依存する政府  358
      第六節 たえざる危機にある議会  366
      第七節 強者のゲーム――外交  370
           戦争政策/ 373
   第三章 世紀末の芸術  381
      第一節 教養市民層と芸術  381
      第二節 ウィーンのモダニズム  385
      第三節 四つの例――マーラー、フロイト、ムージル、ロース  394
           グスタフ・マーラーの『第三交響曲』/ 394  ジグムント・フロイトの『夢の解釈』/ 396  
           ロベルト・ムージル『若きテルレスの惑い』(一九〇六年)/ 399  
           建築家アドルフ・ロースのミヒャエラー・プラッツの家(一九一〇/一一年)/ 401
      第四節 「女」という謎  403

第V部 第一共和制 
   第一章 断絶の演出――オーストリア革命  411
      第一節 政治的革命  411
           君主制の崩壊/ 411  新しい国家形成のプロセス/ 418  
           サン・ジェルマンと国境線(一九一九年)/ 423
      第二節 社会的革命  428
      第三節 経済構造の断絶  433
   第二章 安定化を脅かすもの  435
      第一節 経済の停滞  436
           戦後のインフレーション(一九一八〜二二年)/ 438  
           契機の緩慢な上昇(一九二二〜二九年)/ 442
      第二節 政治的な緊張  444
           政治的な暴力の次元/ 448  「防郷団」と「共和国防衛同盟」/ 450  イデオロギーの次元/ 454
   第三章 世界経済危機とデモクラシーの危機  457
      第一節 リスク――工場の墓場  457
      第二節 間歇的に飛びだすクーデタ  465
      第三節 危機のシナリオ  474
   第四章 ドイツ人のキリスト教的連邦国家――「オーストロ・ファシズム」  479
      第一節 権威主義的な、それともファシズム的な?  480
      第二節 カトリックの夢――「身分」対「階級」  486
      第三節 内政上の敵と外交上の敵  490
   第五章 中心地から芸術の田舎へと  501
      第一節 政治から遠く、また近く  501
      第二節 ネオ・バロックと時期はずれの啓蒙主義  508
      第三節 権威主義的な性格――ハンス・ゼップ、ベネディクト・プファフ、オスカー、マリウス・ラッティ  515

第W部 ナチズム支配
   第一章 併合(アンシュルス)  521
      第一節 権力奪取の次元  523
           擬似革命的な権力奪取――下からの「併合」/ 523  
           ドイツ国家の帝国主義的な干渉――外からのアンシュルス/ 529  
           一見合法的な権力奪取――上からのアンシュルス/ 531
      第二節 恒常的な民族の祭典――一九三八年四月一〇日の国民投票  532
   第二章 逆行的な近代化  537
      第一節 平和ブームとナチ戦争経済  543
           国家の管理下の「農民の状態」/ 548  ナチズムの経済秩序/ 551
      第二節 体制統合と社会の動員  552
   第三章 権力の構図  561
      第一節 オーストリア邦、オストマルク、アルペン・ライヒスガウおよびドナウ・ライヒスガウ  561
      第二節 中核と周辺――支配の担い手たち  567
           ナチ党= SS /ゲシュタポ=連結/ 571  国防軍/ カトリック教会/ 582
   第四章 死のさまざまな顔
   ――またいかに国民がナチズムに熱狂し、ナチズムに耐え、ナチズムと戦ったか  587
      第一節 ユダヤ人、ロマ族、病人の迫害  589
      第二節 ダンスに恋愛、そして働く、二人の若い娘のこと  569
      第三節 農村的なミリューや都市の若者たちの間における反抗的な態度  598
      第四節 抵抗運動  602

第X部 第二共和制 
   第一章 逆もどり  611
   第二章 戦後世界  617
      第一節 連合国のオーストリア計画と戦争の終結  617
      第二節 レナー臨時政府、解放と占領という狡い論法  622
      第三節 経済再建の基盤  630
      第四節 フォーグル政府と占領時代の強制圧力  643
      第五節 非ナチ化措置  649
   第三章 長い五〇年代  659
      第一節 保守的な文化パラダイムと対照的なアメリカ的大衆文化  661
      第二節 中庸の喪失、オーストリア的秩序のもとでの芸術  666
      第三節 大きな飛躍  678
      第四節 ポストの比例配分的デモクラシー  685
           大連立の時代(一九四七〜六六年)/ 688  国家条約と中立主義/ 698
   第四章 社会/自由=連立時代――反権威主義の波と消費社会の欲望  705
      第一節 節目――六〇年代なかばと八〇年代なかば  705
      第二節 もっと多くのデモクラシーを  711
           クラウスとチーム・スタッフ/ 711  クライスキーとそのチーム/ 718  
           ダイナミックな中立主義/ 726
      第三節 オーストロ・ケインズ主義――オーストリアは如何にして危機を先延ばししたか  728
      第四節 父親に対する反抗――文化革命  734
           オーストリアへの意地悪な視線/ 734  
           抑圧されていたものの取りもどし――「ウィーン行動主義」/ 743

一九八〇年頃の生活状態  749
      訳者あとがき  757
      一九世紀以降のオーストリア歴史年表  099
      原註  060
      参考文献   020
      事項索引  012
      人名索引  001


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