[目次]
まえがき/福永由佳 001
第I部 総論 009
第1章 多言語状況をとらえなおす 特に多言語環境概念検証の枠組みから/庄司博史 010
1. はじめに 010
2. 多言語社会とは 011
2.1. 多言語社会の構成要件の相互関係 012
2.2. 多言語能力と多言語意識にとっての多言語環境 013
3. 多言語環境と二つの多言語状況 014
3.1. 多言語環境からみた二つの “ 多言語 ” 状況とその背景にあるもの 015
3.2. 政治からみた二つの多言語状況 017
3.3. 移民言語話者意識にみられる存在主張の根拠の脆弱さ 023
4. 進行中の多言語状況を多言語環境から再考する 025
4.1. 二つの気づき 025
5. 多言語環境への変化を知覚させる要素 027
5.1. 分析の視点 029
5.2. 多言語体験の自覚の契機となりうる事象 030
6. まとめと課題 031
参考文献 032
第2章 国家のマルチリンガリズムを記述するための概念的フレームワークについて/ジョン・ C ・マーハ 035
1. はじめに マルチリンガリズムから社会言語学へ 035
2. 国家の言語的多様性を記述する従来の方法 036
2.1. 19世紀に実施された植民地時代の調査 036
2.2. 20世紀に実施された国家横断的調査 036
2.3. EU と UN によるマルチリンガリズムの推進 037
2.4. 民間の研究機関による言語データの収集 037
2.5. 学術的総合言語調査 038
3. 国家のマルチリンガリズムを記述する概念的フレームワーク 042
3.1. 国勢調査 ― 住民個人レベルのマルチリンガリズム 043
3.2. 標準語とそのバリエーションのマルチリンガリズム 046
3.3. 歴史的マルチリンガリズム 047
3.4. 遺産的言語および準国家的言語のマルチリンガリズム 049
3.5. 特定ジャンルにおけるマルチリンガリズム 050
3.6. コミュニティにおけるマルチリンガリズム 050
3.7. 教育におけるマルチリンガリズム 052
4. 結論:共有するテーマ 052
5. 終わりに 054
参考文献 054
第3章 「多言語社会」の語り方/安田敏朗 058
1. はじめに ― 解釈としての「多言語社会」 058
1.1. 日常の光景となった多言語状況 ―2018 年「歌会始の儀」から 058
1.2. そもそも存在する多言語状況 059
1.3. 忘却される多言語状況 060
2. 言語問題が注目されるとき 062
2.1. 戦争と言語問題 ― 平井昌夫の指摘から 062
2.2. 社会変動と言語問題 ― 長い「戦後」のなかで 064
3. 「多言語」が注目されるとき 065
3.1. 冷戦終結と国民国家論 ―1990 年代の社会変動 065
3.2. バイリンガリズムへの注視 066
4. 「多言語社会」が注目されるとき 069
4.1. 「多言語」をかかげた研究会の発足 069
4.2. 「われわれ」のなかの「言語的多様性」 071
5. 「顕在化する多言語社会日本」という解釈 073
5.1. 「顕在化」の契機は何か 073
5.2. 英語化にともなう「国語」の再強化 074
5.3. あるべき「多言語社会」の模索のために 076
引用文献 078
第4章 多文化共生と「多」言語共生時代 メトロリンガリズムの視点からの社会統合の内実/尾辻恵美 081
1. はじめに: Speak English 081
2. ありふれたメトロリンガリズム 085
2.1.Ordinariness of diversity (多様性の日常性) 085
2.2. 日本における顕在化する多言語社会とメトロリンガリズム 087
2.3. 新宿のバングラデシュ系の雑貨店の場のレパートリー 089
3. セミオティック・アセンブレッジと 2 つの言語イデオロギーの転回 093
3.1. メトロリンガル的な視点からの言語イデオロギーの二つの転回 093
3.2. 第一のイデオロギーの転回:ポスト・マルチリンガリズムへの転回 095
3.3. 第二のイデオロギーの転回:セミオティック転回 096
4. セミオティックなメトロ・リンガフランカ 098
5. メトロリンガリズムの視点からの社会統合 101
6. 「言語」というイデオロギーの再考へむけて 106
参考文献 108
第I 部 各論 113
第1章 日本における英語との「関わり」 余暇活動・自己成長・忍耐力の指標/田嶋美砂子 114
1. はじめに 114
2. 英語との「関わり」:余暇活動 115
3. 英語との「関わり」:自己成長 118
4. 英語との「関わり」:忍耐力の指標 125
5. おわりに 131
参考文献 133
第2章 多言語化する日本人に関する一考察
在日パキスタン人コミュニティの日本人家族成員のデータ分析をもとに/福永由佳 135
1. はじめに ― 可視化されない日本の多言語状況と当事者としての日本人 135
2. 在日パキスタン人コミュニティにおける日本人家族成員 137
3. データ・方法 138
4. 言語資源 139
5. 言語能力 142
6. 領域別使用言語 146
6.1. 使用言語数 147
6.2. 英語とウルドゥー語の使用場面 148
6.3. 使用言語のうち、最も活発に使われる言語 149
7. まとめ 151
参考文献 153
章末資料 言語使用に関する領域と設問 155
第3章 サハリン帰国者の若い世代の顕在化する多言語使用とエスニック・アイデンティティの多重性
/パイチャゼ スヴェトラナ 156
1. はじめに 156
2. 問題の所在 158
2.1. 研究背景 158
2-2. 研究目的と展望 160
3. 北海道・札幌における外国人の状況 162
3.1. 札幌市に居住する外国人・帰国者の統計 162
3.2. 札幌市における外国人・帰国者の児童生徒への学習支援 164
4. 活動・生活から見えてきた問題と展望 167
4.1. アイデンティティ 167
4.2. 言語の使用と学習 168
5. 質問紙及び聞き取り調査より 170
5.1. 調査の対象と方法 170
5.2. 質問紙調査 171
5.3. 聞き取り調査より 173
6. おわりに 176
参考文献 177
第4章 ブラジル人集住地における住民の多国籍化・多言語化 群馬県大泉町の事例を中心に
/拝野寿美子 179
1. はじめに 179
2. 大泉町における外国人住民の増加と多国籍化 180
3. 住民の多国籍化・多言語化への町の対応 182
4. ブラジル人向けビジネスにおける言語使用の諸相 185
5. 多国籍化が進む住民間の関係性 188
6. ポルトガル語を学ぶ日本人 190
6.1. ブラジル人との交流をきっかけに 191
6.2. 教育支援に役立てたい 191
7. おわりに 193
引用文献 195
第5章 法廷通訳と異文化コミュニケーション 正確な通訳と異文化を訳すこと/吉田理加 197
1. はじめに 197
2. コミュニケーションの出来事モデルとメタ語用 199
3. 『法廷通訳ハンドブック実践編』から読み取れる「正確な通訳」 200
4. コミュニケーション論的視点から見た「正確な通訳」 203
4.1. 語用論的等価性を保持した通訳 204
4.2. 社会言語学的視点から見た正確な通訳とは 208
5. 法廷通訳人の実践意識と「正確な通訳」とは 212
5.1. 正確な通訳を達成するために通訳人が果たしている能動的役割 213
5.2. 語用論的前提の差異を通訳する 216
6. まとめ 218
参考文献 220
展望にかえて/庄司博史 223
執筆者紹介 226 |