エロスの庭
愛の園の文化史

[著者] ミヒャエル・ニーダーマイヤー
[訳者] 濱中春森貴史

人間と自然とユートピアが出会う場所
人類にとっての根源的メタファーのひとつ、庭。豊饒崇拝や楽園イメージと結びつき、性愛の舞台となってきた庭園の文化史を先史時代から現代まで、文学や美術との関連と共にひもといてゆく。

定価=本体 5,000円+税
2013年1月31日
A5判上製/448頁/ISBN978-4-88303-334-8


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[目次]

緒言  8
序文  11

原史時代と古代の豊饒崇拝、エロティックな庭と神殿の森  17
   地母神、メンヒル、ドルメン  17
   植物と生殖  20
   神のイメージと性  22
   催淫効果のある花の香り、宗教的祭式、愛  26
   庭園や林苑のなかの牧歌的でエロティックな愛のしとね  32
   楽園の庭とエロティックな誘惑  40
   愛の島 ――クレタ文明における性と森  47

ギリシア・ローマ時代の豊饒の森、神殿の庭、愛の園  51
   ヘスペリデスの園  51
   キプロス島のアフロディテの森における神殿での売淫  53
   古代ギリシアのエロスと庭園  67
   ポンペイのエロスと庭園  72
   補説 一八世紀の庭園愛好家と古代美術愛好家によるポンペイの発見  74
   ギリシア・ローマのディオニュソス崇拝にまつわるエロティックな庭園と森  83
   愛の神とその庭園 ――アドニスの小さな庭  95
   勃起した庭園神プリアポス  102
   少年愛の庭 ――体操場と闘技場  113

騎士、放浪芸人、貴婦人への愛、中世の愛の園  117
   イスラムの楽園の庭、宮廷における貴婦人への愛と禁欲  117
   トリスタンとイゾルデの「果樹園」と「至福の谷」における「甘美な愛」  136
   アモルとヴィーナスの愛の教え ――『薔薇物語』における庭園のアレゴリー  143

ルネサンスの官能のよろこびに満ちた愛の園  157
   愛の園の画家たちとボッカッチョの『デカメロン』  157
   フランチェスコ・コロンナの『ポリフィルス狂恋夢』  170
   ヴィチーノ・オルシーニのエロティックな「聖なる森」  180

太陽王の時代から艶なる庭園まで  189
   バロックの分裂 ――拒絶される「毛むくじゃらの老プリアポス」と宮廷のいろごとのはざまで  189
   ヴェルサイユあるいは「朕は国家なり」  193
   シンメトリーと情念  199

シテール島への船出 ――艶なるロココ  217
   庭園における誘惑術  217
   マルク・ブランデンブルクのシテール島 ――ラインスベルクとサンスーシ  226

庭園革命の時代における愛と官能の発見  239
   英国=中国式庭園における情事と新しい「イギリス式」造園術 ――ロココと啓蒙主義のあいだ  239
   遊園 ――快楽の庭  262
   庭園と風景における感傷主義者の恋愛  269
   デッサウ=ヴェルリッツ庭園王国における合理主義的な啓蒙主義者とアルザスの
      シュトゥルム・ウント・ドラング派との対立 ――自然と性  277
   公共の庭園における裸体像とプリアポス支持者に対する闘い  284
   「聖なる衝動よ!」 ――同性愛と庭園  306

エロスとデッサウ=ヴェルリッツ庭園王国  317
   『美しき造園術の勝利』 ――恋愛小説?  317
   「君よ知るや南の国」  319
   城館におけるエロティックな図像モチーフ  328
   「肉体の解放」  336
   誘惑の迷宮にて ――ノイマルクの庭  339
   秘儀への手引き ――イシス/ヴィーナスの世界で  352
   アモルに忠実な美しき野蛮人たち ――南洋の楽園への憧憬  375
   フローラとプリアポスの世界で  383

ウィンター・ガーデン、シュレーバー・ガルテン、自然の庭、愛の園  391
      ――一九・二〇世紀への展望

訳者あとがき  413

原注  1
参考文献  6
人名索引  17


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