なぜ美術は教えることができないのか

美術を学ぶ人のためのハンドブック

[著]ジェームズ・エルキンス
[訳]小野康男田畑理恵

いかにして、美術を教えることができるのか。
「美術を教える」とは何か、何をいかにして教え、学んでいるのか、教師も学生も、ほとんど分かっていない。講評で使われる批評の言葉を手がかりに、美術の授業で「起こっていること」を記述することで、私たちが普遍と信じ、行い続けていることの意味を問い直す。
―――「美術を教える」ことについて、誰も口にすることのなかった数々の事実を提示する。

[書評・紹介]
「TOKYO ART BEAT」2023年5月1日、「今月の読みたい本!」
「artscape」2023年5月15日号、「カタログ&ブックス」
『月刊美術』2023年7月、No.574、「ART BOOKS 新刊案内」(サン・アート)
《北日本新聞》2023年6月8日、「つなぐ ひとズームアップ とやま×首都圏」(田畑理恵さんへのインタビュー記事)
《朝日新聞》2023年7月1日、「好書好日」、評者:椹木野衣氏
《美術新聞》1246号(2023年9月5日、美術新聞社/萱原書房)、「話題の本」
『教育美術』2023年10月号(公益財団法人 教育美術振興会)、評者:大嶋彰氏
《図書新聞》2023年11月4日、評者:中村美亜氏

定価=本体 4,000円+税
2023年5月1日四六判並製/444頁/ISBN978-4-88303-558-8


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[目次]

序論  9

第1章 歴史  15
  古代の美術学校  16
  中世の大学  17
  ルネサンスのアカデミー  22
  初期の美術アカデミー  23
  カラッチ一族のアカデミー  33
  バロックのアカデミー  36
  十九世紀のアカデミー  58
  現代のアカデミーとバウハウス  65
  バウハウスを超えて、美術学校  78

第2章 会話  83
  現代の美術指導はアカデミックなのか  87
  さまざまな視覚芸術の間にいかなる関係があるのか  93
  コア・カリキュラムの問題  113
  美術はそれが制作された社会を反映しているのだろうか  126
  平凡な美術を教え学ぶこと  137
  スタジオにおける美術の授業では学べないこと  146
  装飾の問題  167
  人体モデルに何が起こっているのか  174

第3章 理論  181
  教えるとは何だろうか  184
  美術を教えることはできるのだろうか  190
  美術を教えることができないとすれば、何を教えることができるのか  204
  純粋芸術と単なる技術に関する補説  209
  もう一つの補説、美術教育について  211
  主題に戻る:本書における最初の三つの主張  214
  懐疑論と悲観論  219

第4章 批評  223
  一、美術批評とは何か誰も分かっていない  226
  二、批評は短すぎる  239
  三、次々と話題が漂流する批評  246
  四、学生の作品とはかかわりなく、教師も自分の作品を制作する  255
  五、教師はそれぞれ独自の発言をする  257
  六、批評は誘惑のように、感情を思い切り爆発させる  264
  七、下手な翻訳もそうだが、批評は多くのものに似ている  283
  八、教師は技術的なアドバイスをすることで時間を無駄にしている  298
  九、判定的な批評をする教師もいれば、記述的な批評をする教師もいる  306
  十、学生が目の前にいることが混乱を招く  321
  十一、美術作品はたいてい独創性を欠いている  327

第5章 提案  337
  批評を改善するために  338
  質問の連鎖  343
  批評を書き起こすこと  358
  意味を探求すること  364
  批評を比較すること  375

結論  381

  訳者あとがきと解説  387
  索引  001
  註  011