[目次]
日本語版への序 iv
序 私の台湾菜の旅 1
第1章 序論 「台湾菜」の文化史 5
第1節 「台湾菜」とは何か? 6
第2節 飲食という新たな研究領域 9
1 飲食体系と構造 11
2 飲食マナー(dining manners)と儀式 12
3 飲食の発展と社会、政治経済の変遷 13
4 飲食と集団の記憶、アイデンティティ 14
5 食物における社会的識別、たとえば族群、階級、性別 14
第3節 国民、国民性、国民料理 16
第4節 マクロからミクロへ 物と具現化の研究アプローチ 22
注 29
第2章 植民地の高級料理 ― 日本統治期の「台湾料理」の誕生 35
はじめに 台湾料理―命名された他者 36
第 1 節 台湾料理の登場 37
第 2 節 日本統治期のレストランにおける食の消費 50
1 料理屋と飲食店 50
2 台湾料理、日本料理と西洋料理 53
第 3 節 台菜の文化パフォーマンス ― 「支那料理」から「台湾料理」へ 61
1 大型レストランの勃興 61
2 江山楼の「台湾料理」論 65
3 蓬莱閣(一九二七 ― 一九五五)の登場と影響 71
おわりに 植民地料理のパフォーマンスと変形 78
注 80
第 3 章 古来の台湾の味 ― 庶民の食卓 87
はじめに 台菜の文化パフォーマンスと生活の実践 88
第 1 節 台湾人の家庭料理 89
1 主食と副食 90
1 主食:サツマイモ、米と雑穀 90
2 副食 93
1 野菜と漬物 93
2 肉類と水産物 98
2 調理と味付けの方法 102
1 調理方法 103
2 調味法 108
3 一九五〇年代以前の台湾家庭における日常の料理 111
1 土地の食材を主に食べる 114
2 漬物を活用した料理 115
3 シンプルな調理法、塩からい味付け 115
4 節句料理の再利用 116
4 ベジタリアン文化 116
第 2 節 一般大衆の宴席 ― 節句や慶事の食物と?? 118
1 節句や慶事の食物 119
2 ?? 126
1 プロのスタッフ不在の人脈による協力 129
2 人的ネットワークを総動員 130
3 油脂、肉類の多い豪華な料理 131
3 小結 ― 公共パフォーマンス性を備えた生活の実践 135
第 3 節 日常の点心と街角の軽食 138
1 点心 138
2 街の軽食と夜市の形成 145
3 日本式点心 150
おわりに―民間の「台湾菜」 152
注 154
第 4 章 移植と混交 ― 戦後書き換えられた飲食地図 163
はじめに 国家、移民と食物 164
第 1 節 戦後の激変 ― 経済の困窮と節約運動 168
第 2 節 反共復国思想のもとでの消費管理 ― 酒家と公共食堂 184
1 人力と金銭資源の徴用 190
2 料理組合の役割 194
第 3 節 移植された中国の味 ― レストラン、市場と眷村の飲食 198
1 中国各地の地方料理レストランの集中 199
2 政府宴席の代表 ― 圓山大飯店 205
3 軽食屋台と市場 208
4 眷村と「眷村の味」 212
第 4 節 新しい地図と新しい階層 ― 「中国菜」の混交と現地化 216
1 傅培梅のレシピにおける「中国料理」の再現 217
2 一九六〇年代以降の新興台菜レストラン 224
1 .日本統治期の酒楼文化を踏襲したもの 224
2 .粥と小皿料理 225
3 戦後の料理系統の混交のもとで生まれた新たな「台菜」 230
おわりに 戦後中華料理の周縁的一系統となった「台菜」 234
注 238
第 5 章 エスニシティ、階級と飲食「伝統」の創造 253
はじめに 現代の「台湾菜」が意味するものの変化 254
第 1 節 「四大族群」論と「客家料理」、「先住民料理」の興り 260
1 先住民料理 ― 自然と無垢の神話 263
2 客家料理の興り ― 伝統と階級のせめぎ合い 271
第 2 節 国宴における族群の象徴 284
1 国宴の変化 284
2 「国宴下郷」政策 293
3 「台湾小吃」の形成と「台湾菜」の意味の発展 299
おわりに 台湾化路線に育まれた「台湾小吃」 304
注 308
第 6 章 台湾菜と「故郷の味」 ― 家および文化的記憶の変遷 315
はじめに―飲食エクリチュールにおける個の記憶と集団の記憶 316
第 1 節 「故郷の味」のコミュニケーション的記憶から文化的記憶へ 318
1 「故郷の味」とはなにか 318
2 コミュニケーション的記憶から文化的記憶へ 322
3 台湾の現代飲食文学における「故郷の味」 328
第 2 節 唐魯孫と? 耀 東―家庭の味に対する追求 334
1 台湾において北平の故郷を懐かしむ唐魯孫 334
1 文化的記憶として描かれた中国の飲食の伝統 334
2 離散 ― 家、国と文化的記憶の喪失 343
2 ? 耀 東―中国、香港、台湾における故郷の味の喪失と再建 348
1 流浪の中で失われた「故郷の味」 348
2 台北で改めて再現された( re-staged )「故郷の味」 353
第 3 節 家の身体実践 ― 林海音の飲食エクリチュールにおける調理と食 361
1 林海音の飲食エクリチュール 361
2 「良い食事」の生産者 ― 家庭の料理 364
3 「第一の故郷」の再認識 ― 台湾の飲食を紹介 374
4 二重の離郷者の「故郷の味」 378
おわりに 「故郷の味」の再定義―文化的記憶が定着する場所 387
注 392
第 7 章 結論 ガラスの容器のなかの台湾菜 403
1 「国民料理」の三つの特徴 ― 関係性、パフォーマンス性、商品性 405
2 食物消費における「国民料理」の誕生 408
3 「国民」という境界線の流動と個体の感受性(sensibility) 409
4 ガラスの容器のなかの台湾菜 412
注 416
解説 岩間一弘 417
訳者あとがき 434
引用文献 436
事項索引 465
人名索引 468 |